前々から噂には聞いていましたが、文部科学省が驚くべき見解を公表しました。
高校生の学校外の政治活動、禁止例示すQ&A集
文部科学省は、高校生の学校外での政治活動を原則容認したことを受け、学校が例外的に活動を制限、禁止できるケースなどを示した「Q&A」集を作成した。
活動に熱中して学業に支障が出ることなどを防ぐため、デモ参加を届け出制にすることもできるとした。近く同省ホームページで公開する。
Q&Aは20あり、放課後や休日の学校外での集会やデモへの参加について「学校への届け出制とすることはできますか?」との問いには、必要で合理的な範囲で制限できるとして届け出制を認める考えを示した。ただ、「行動を把握しておくという判断もあると思うが、活動を萎縮させないよう配慮してほしい」との馳文部科学相の記者会見での発言も参考に載せた。
出典:読売新聞 2016年02月15日 19時38分
高校生がデモ参加するのに届出制に「することができる」のだそうです。

思想良心の自由、政治活動の自由に反するのでダメです

憲法が保障する思想良心の自由、政治活動の自由は、自分の政治思想の表明や実際の活動を「する自由」だけでなく「しない自由」も含んでいます。「する自由」にしても、特定の相手にだけ思想を表明したり、活動をしたりすることも、当然含まれています。例えば、自分が安保法制反対のデモに参加して沿道に対して訴えたからといって、そのことを会社の上司にも同じように訴える必要も義務もないし、自分の恋人や親友にだけ政治的な働きかけをすることも何の問題もないのです。
一方、デモに参加することについて、学校が生徒に一々届出をさせれば、その生徒がどの団体のデモに参加しているのか一目瞭然になってしまい、結局、当該生徒の思想傾向を学校が把握することになります。さらには学校から生徒に対して“教育”と称する干渉のきっかけになります。それは、例え、日時場所等の詳細を届け出ないとしても、分かってしまうでしょう。このような事態は、明らかに、日本国憲法が保障する思想良心の自由、政治活動の自由を侵すものであり、憲法違反であり、許されません。
また、憲法を離れて政治の観点から見ても、学校現場でそのようなことが行われれば、18歳有権者たちは、それを「政治に参加するな」というサインと捉え、嫌気がさして政治参加そのものを止めてしまうでしょう。18歳選挙権は「若者の政治参加の必要性」という、政治的立場を超えた喫緊の課題に対処するべく導入された制度のはずですが、無に帰してしまうのです。
問題の本質は、文科省の官僚たちが、高校生たちを人権享有主体とも、自分たちな対等な主権者としても認めず、管理の対象として見ていることにあるように思います。18歳選挙権の実施に際して、そういう古い体質を一掃することこそ、求められているのではないでしょうか。全国の高校生たちは、文科省や所属の学校がこのような制度を現場に導入しようとしたら、すかさず各地の弁護士会や日本弁護士連合会に相談することをおすすめします。