9条改憲に首相踏み込む 「学者7割が自衛隊違憲。その状況なくすべき」
2016年2月4日 07時00分
安倍晋三首相は三日の衆院予算委員会で、戦力の不保持を規定した憲法九条二項に直接言及して改憲の必要性を訴えた。「憲法学者の七割が九条一項、二項を読む中で、自衛隊の存在自体に憲法違反の恐れがあると判断している」と指摘。その上で「憲法学者が自衛隊に疑いを持っている状況をなくすべきだという考え方もある」と述べた。
予算委では、自民党の稲田朋美政調会長が、憲法学者の七割が自衛隊の違憲性を指摘しているとの見方を示した。その上で「現実に合わなくなっている九条二項をこのままにしておくことこそが立憲主義の空洞化だ」と訴えた。
これに対し、首相は自衛隊は合憲だとする政府の見解を説明。他国を武力で守る集団的自衛権の容認を柱とする安全保障関連法が憲法学者に違憲と指摘されたことを念頭に「自衛隊の存在、自衛権の行使そのものが憲法違反だと解釈している以上、当然、集団的自衛権も憲法違反になるんだろう」と述べた。
ただ、優先して見直す条項は「国会や国民の議論と理解の深まりの中で、おのずと定まってくる」と述べるにとどめた。九条改憲による集団的自衛権の行使容認や国防軍創設を明記した自民党改憲草案については「党として将来あるべき憲法の姿を示した。私たちの手で憲法を変えていくべきだという考えで発表した」と強調。草案は二〇一二年四月に野党だった自民党がまとめた。
首相は昨年の安保法審議で、九条改憲について「現状では改正せよという状況になっていない」と将来的な課題に位置付けた。安保法をめぐっては、昨年夏に本紙が行った憲法学者アンケートで、回答した二百四人のうち九割が「違憲」と指摘。安倍政権は市民の間に違憲との声が広がる中、九月に安保法を成立させた。
(東京新聞)
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