2016年1月31日日曜日

20160130浜矩子さん講演会@いかるがホール


同志社大学の浜矩子先生の講演が奈良のいかるがホールであると知り 急きょ行ってきました。当日券をあてにしていたのですが 行ってみると何と当日券は無し。30人くらいがあぶれてましたが 何とか入れてもらい 通路に座りました。座席数700余りのホール、入場した時すでに立ち見 多数、嬉しい熱気に包まれていました。
先生は上下サイケデリックなプリントのお召し物で髪は紫。素敵です。
アベノミクスならぬアホノミクス、最近ではドが付くという、あれは先生が言いだしたんですね。
内容は経済学というより 哲学、経済哲学ともいえるお話でした。
以下 箇条書きにしてみます。無駄に長くて すみません。
経済活動は「人間のために人間がするもの 」つまり人間を幸せにするための営みなのだから 多少なりともそれによって人間を不幸にするということは本質的にあり得ない。だから戦争で経済をまわすということもあり得ない。平和でなければ経済は成り立たない。
経済的合理性という言葉は誤用されている。原発再稼働やブラック企業などがある程度やむを得ないなどという変な理屈にちょろまかされてはいけない。人権を踏みにじるような企業には経済的合理性はみじんも無い。ブラック企業などという言葉は定義矛盾であって企業ではないからブラック、で止めるべきである。
また経済に成長が不可欠であるかのように言うのも間違っている。
だいたい成長という言葉がより良い状態になるという意味を含んでいるが 経済でいう成長とは単に規模が大きくなる、という意味である。
今 問題なのは豊かさの中に貧困があり それが日増しに高まっていること。これを解決するために必要なのは成長ではない。富の分かち合いがヘタクソなのだから それをただすことである。
アベノミクスは「富国強兵」以外の何物でもない。これは推測ではなく 事実。2015年4月 アメリカの議会で演説したその同日午後 笹川平和財団USAで演説した記録が そのサイトにUPされている。(私は見つけられませんでしたが) 内容は アベノミクスと外交安全保障政策は表裏一体であるというもの。司会者が重ねて問うと 「デフレ脱却→GDPが増える→国防費を増やせる」という意味だと何のためらいも無く語った。外交安全政策のために経済政策を使ってはいけないというのは戦後世界で共通の認識であるにもかかわらず。
経済の2大課題 すなわち均衡回復(極端なインフレ、デフレなどを解消すること)と弱者救済は表裏一体である。にもかかわらず デフレ脱却を国民の幸せのためではなく 国防費を増やすためと言い切るのは 「アホさ」を通り越して「邪悪さ」の表れであると言い切れる。
安倍政権がどこに到達しようとしているのか、それは2007年の所信表明演説で述べられたように「戦後レジームからの脱却」である。戦後の体制から抜け出してどこへ行くのか?つまり戦前に戻るのだ。大日本帝国に。
しかし現在の日米同盟、安保体制、は戦後レジームそのものではないか?それを推奨しているのは矛盾があると考えるが 本人は その状況から脱却するために頑張っていると言いたいかもしれない、そのための方便と考えているのかも。
新三本の矢 ①GDP600兆円、現在より2割増やしたい、(国防費を増やせる)②子育て支援(産めよ増やせよ) ③介護離職ゼロ 、一億総活躍→一億総努力せよ、生涯現役(死ぬまで働け) つまりすべて 戦前の大本営発表であって 辻褄が合っている。
TPPが話題になっているが 私はTPPではなくてTYPだと言ってる、つまり「とても、やばい、パートナーシップ」。
これは経済効果もさりながら 戦略的価値(中国排除など)が重要であると安倍は言っている。戦後、経済活動を戦略的意図で使わない、戦略性をもった経済活動をしない、というのが平和のための基本理念であるにもかかわらず。
では アホノミクスを超えて 行くために我々に重要なのは何か。
①一つの原点回帰。「経済活動は人間を幸せにするための営みである」という原点。
②一つのバランス感覚。孔子の言葉「齢70にして己が欲するところに従えども矩を超えず」矩とは社会倫理、行動規範、人間としての真っ当さのこと。経済活動は欲に発するものだが矩との黄金バランスが必要。(だれも矩子を超えられないとも 笑)
③三つの道具。耳、目、手。違う意見を聞く耳、救済を求める声を聞く耳、涙する目、人の痛みに思いを馳せてもらい泣きする目。(これはアダム・スミスの国富論にも書かれている) そして救いを求めるものへ差し伸べる手である。これはチーム・アホノミクスが最も持っていないもの。
以上、浜先生の経済学者としての矜持、経済が人の幸せのためであるという基本 を無視する安倍政権を断じて許さないという強い意思に貫かれた講演でした。
こちらに 別の機会に書かれた素晴らしい記録があるのを 書いた後で見つけました。(T_T) その4まであります。御参考まで。http://www.ne.jp/asahi/seishin/9jyonokai/allsamazama/samazama.15.3.3.html

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