2016年1月31日日曜日

160131読売新聞社説:天皇陛下比訪問

「戦闘に巻き込まれ」の一言で、フィリピンの人たちの死の理由を語っていいのか。なぜ「強い反日感情が残る」のか?本当に「日本への厳しい視線も和らいだ」のか?疑問符だらけの読売新聞社説。

天皇陛下比訪問 友好親善深めた「慰霊の旅」
読売新聞社説 1月31日

http://www.yomiuri.co.jp/editorial/20160130-OYT1T50124.html

 先の大戦の記憶を深く胸に刻み、戦没者の慰霊を続ける天皇陛下の強い思いを体現したご訪問だったと言えるだろう。

 国交正常化60周年を記念してフィリピンを公式訪問した天皇、皇后両陛下は5日間の日程を終え、帰国された。

 両陛下の海外での戦没者慰霊は2005年のサイパン、昨年のパラオに続いて3度目だった。

 日米の激戦地となったフィリピンでの日本人犠牲者は、約52万人に上る。多数のフィリピン人も戦闘に巻き込まれ、約111万人が死亡した。

 今回、印象深かったのは、マニラに近いカリラヤにある日本政府建立の「比島戦没者の碑」を初めて訪問されたことだ。日本から持参した白い菊を供花された。

 両陛下は、元日本兵や遺族ら一人ひとりに「体に気をつけて下さいね」などと、言葉をかけられた。関係者の感慨は、ひとしおだったのではないか。

 両陛下は、皇太子時代の1962年にもフィリピンを訪問されている。強い反日感情が残る中、ご夫妻はフィリピン人犠牲者の遺族と対面し、戦争孤児の施設を訪ねられた。その姿に、日本への厳しい視線も和らいだとされる。

 73年、カリラヤに日本人戦没者の碑が建てられた。そこでの慰霊は、両陛下の念願だったろう。

 両陛下は国立英雄墓地も訪ね、慰霊碑の前で黙とうされた。アキノ大統領主催の晩餐ばんさん会のスピーチで、天皇陛下は、多くのフィリピン人が犠牲になったことに触れ、「日本人が決して忘れてはならないこと」と述べられた。

 過去と真摯しんしに向き合う陛下の姿は、フィリピンの人々の心に、強く焼き付けられたに違いない。

 アキノ大統領は、「貴国は堅実で有能かつ信頼できるパートナーとして、今日まで、わが国の発展を後押しして下さった」と感謝の意を表した。

 今回のフィリピンご訪問は、昨年6月に国賓として来日したアキノ大統領が招請したものだ。大統領は、86年に母親のコラソン・アキノ大統領に同行して来日して以来、両陛下と交流がある。

 今年6月、アキノ大統領は任期を終えて退任する。最後の年が国交正常化60周年と重なった。

 フィリピンは、最も親日的な国の一つとされる。経済分野などで、アジアにおける日本の重要なパートナーでもある。

 今回の両陛下のご訪問を、両国の友好親善をより確かなものにしていく契機としたい。

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