2016年1月24日日曜日

後藤健二さん殺害から1年「思い伝えたい」音楽劇上演


後藤健二さん殺害から1年
「思い伝えたい」音楽劇上演
毎日新聞 1月24日
稽古する「ケンジ」役の
山本英輝さん(左)、桜
人企画代表の馬場さくら
さん(右)ら=大阪市中
央区で2016年1月2
1日、久保玲撮

 フリージャーナリストの後藤健二さん
(当時47歳)がシリアで過激派組織「イスラム国」(IS)に殺害されたことが明らかになってから2月1日で1年。事件を風化させまいと、大阪市内で今月30、31両日、後藤さんをモデルにした音楽劇が上演される。シリア内戦は終結の兆しが見えず、ISによるテロは世界各地で相次ぐ。劇の出演者は現状を憂いながら、「後藤さんの思いを伝えたい」と練習に励む。

 劇のシナリオは、大阪府豊中市の演出家、馬場さくらさん(42)が2011年、後藤さんから取材現場での体験を聞いて書いた。劇の主人公のケンジは紛争地に入り、取材許可を得るため教会を訪ねる。「お断りします。帰ってください」。そう断るシスターにケンジは取材に対する思いを熱く語る。

 上演は4回目。14年2月には後藤さんをトークライブのゲストに招き、その前で披露した。事件後の昨年3月には追悼公演として演じた。

 今回はシナリオを一部変え、在トルコ日本大使館の外交官を登場人物に加えた。外交官は事件の一報を受け、解放交渉に奔走。「タイムリミットまであと5時間ですよね。そちらでどこまで動けていますか?」。解放の条件や期限をめぐって、めまぐるしく事態が展開した昨年の事件を思い起こさせる場面が随所に挟み込まれる。外交官役の小阪慶(けい)さん(33)は「事件がたどった経過を思い出してもらえるように演じたい」と話す。

 馬場さんは事件の風化に危機感を覚え
る。「忘れてはいないはずだけど、日々の忙しさの中で事件や中東のことを考える余裕はないのかなと。関心を持ち続けるって難しいですよね……」。馬場さんも事件後、半年ぐらいは気持ちの整理が付かず、できるだけ後藤さんのことを思い出さないようにしていた。しかし、「後藤さんやシリアのことを知りたいと思う人がいる限り、伝え続けなきゃいけない」と思い直し、一周忌公演を決めた。

 公演は大阪市中央区平野町3の2の7の
泰和ビル3階「D studio」で30
日午後2時と午後6時、31日午後3時からの3回。30日はフリージャーナリストの西谷文和さん、31日は作家の伊良子序(はじめ)さんのトークライブが公演後にある。前売り2000円、当日2500円(学生500円引き、小学生無料)。予約は専用サイト(http://my.formman.com/form/pc/6TLSLf76uiPbzsmn/)か、主催する演劇集団「桜人企画」(080・5302・7101)。



0 件のコメント:

コメントを投稿