2016年10月30日日曜日

神戸新聞10月29日共同通信世論調査

安倍政権下での改憲に反対55% 改正「必要」は過半数 2016/10/29

https://www.kobe-np.co.jp/news/zenkoku/compact/201610/sp/0009620516.shtml




共同通信社は28日、憲法公布70年に当たり郵送方式で実施した世論調査の結果をまとめた。安倍晋三首相の下での改憲に55%が反対し、賛成の42%を上回った。7月の参院選で改憲が争点だったかどうかに関し「そう思わない」は71%に上った。「そう思う」は27%だった。一方、改憲が「必要」「どちらかといえば必要」とする改憲派は計58%。9条改正は「必要ない」が49%で、「必要」の45%より多かった。
 改憲派が過半数となる中、安倍政権下での改憲には反対論が根強い現状が鮮明となった。9条改正を宿願とする首相への警戒感もあるとみられる。

安倍政権で改憲「反対」55% 参院選で「争点にならず」71%

東京新聞2016年10月29日 朝刊






 共同通信社は二十八日、憲法公布七十年に当たり郵送方式で実施した世論調査の結果をまとめた。安倍晋三首相の下での改憲に55%が反対し、賛成の42%を上回った。七月の参院選で改憲が争点だったかどうかに関し「そう思わない」は71%に上った。「そう思う」は27%だった。一方、改憲が「必要」「どちらかといえば必要」とする改憲派は計58%。九条改正は「必要ない」が49%で、「必要」の45%より多かった。
 改憲派が過半数となる中、安倍政権下での改憲には反対論が根強い現状が鮮明となった。面接方式のため単純に比較できないが、第二次安倍政権発足から半年となる二〇一三年六月の憲法に関する調査で改憲派は63%だった。
 今回の調査は憲法公布から十一月三日で七十年となるのを踏まえ、八~九月に十八歳以上の男女三千人を対象に実施した。
 七月の参院選の結果、安倍政権下での改憲に賛同する勢力が衆参両院で発議に必要な三分の二以上の議席を占めたことに関し「よくない」は51%。「よい」は46%だった。
 改憲派に理由を聞いたところ「憲法の条文や内容が時代に合わなくなっているから」が66%でトップ。「新たな権利や義務などを盛り込む必要があるから」が22%で続いた。
 憲法改正は「必要ない」「どちらかといえば必要ない」とする護憲派は計40%。理由は「戦争放棄を掲げ、平和が保たれているから」が48%、「改正すれば『軍備拡張』につながる恐れがあるから」が29%だった。


#神戸新聞 10月29日朝刊は必見!
#憲法改正 #自民党改憲草案
各条の賛否世論調査
日の丸賛成79%反対19%
君が代賛成76%反対22%
家族助け合い賛成50%反対18%
緊急事態条項賛成52%反対44% https://t.co/P6zbHDkjTv








神戸新聞10月29日共同通信世論調査
安保関連法制と憲法の関係をどう思う?
安保関連法制は憲法違反で廃止すべき28%
関係はこのままでよい       33%
集団的自衛権行使のため憲法を改正 34%
無回答               5%
容認と憲法改正が憲法違反を上回る。 https://t.co/RaIGMj3ZkI



#神戸新聞 10月29日朝刊は必見!
#憲法改正 #自民党改憲草案

自民党草案をしってますか?

よく知っている    2%
ある程度知っている 21%
あまり知らない   54%
全く知らない    22%
無回答        1% https://t.co/r9AAqgtNgF



神戸新聞10月29日共同通信世論調査

海外で武力行使しなかったのは9条の存在が理由だと思いますか?

9条があったから      75%
9条があったのとは関係ない 22%
無回答            3% https://t.co/AOJdJSlidx



161028 5年後、再生可能エネルギーは「欧米の全需要」を満たす:IEA報告書




5年後、再生可能エネルギーは「欧米の全需要」を満たす:IEA報告書



国際エネルギー機関(IEA)は、再生可能エネルギーの発電量は2021年までに、米国と欧州の需要をすべて満たせるほど成長するという報告書を発表した。
TEXT BY JOHN TIMMER
TRANSLATION BY MINORI YAGURA/GALILEO

ARS TECHNICA (US)
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PHOTO: blauananas / 123RF
国際エネルギー機関(IEA)は以前、2015年には再生可能エネルギーによる発電設備の総容量が初めて石炭を上回り、再生可能エネルギーにとって画期的な年になったという報告書を発表した。さらに最新の報告書では、米国と欧州では2021年までに、再生可能エネルギーで需要をすべて満たせる量を発電できると予測されている。
2015年の時点では、世界全体の再生可能エネルギーによる発電量に占める割合は、水力発電が依然として最も大きく、70パーセント強だった。一方、風力は15パーセントで、太陽光は4パーセントだった。
2015年には、再生可能エネルギーの容量が世界全体で153GW(ギガワット)増え、2014年と比べると15パーセント増加した。増加分のうち、風力は66GW、太陽光は49GWで、新規導入された再生可能エネルギーのうち75パーセントが太陽光か風力だったことになる(残りは主に水力とバイオマス)。
ただし、2015年に増加した153ギガワットという再生可能エネルギーの発電容量が、そのまますべて発電量になるわけではない。立地のいい再生可能エネルギーの発電施設であっても、設備利用率は30パーセントをやや上回る程度だからだ。つまり、実際の発電量は、潜在的な容量の3分の1にとどまる。従って現在は、再生可能エネルギーの実際の発電量より石炭の発電量のほうが大きい。
しかし、特に欧米市場においては石炭火力の容量は減ってきており、再生可能エネルギーや天然ガスのコストは下がっている。この傾向が続けば、再生エネルギーが石炭による発電量を追い抜く日は早まるだろう。
IEAによる今回の2021年予測には、このことが反映されている。IEAは今回、2021年までの再生可能エネルギーの成長を、2014年時点での予測値を13パーセント上回る値として見積もった。その理由としては、各国の積極的な政策はもちろん、コストの継続的な低下も大きい。風力は2桁台前半の低下が見込まれ、太陽光のコストも25パーセント減になると予想されている。
その結果、2021年までにエネルギー事情は一変すると予測されている。2021年には、再生可能エネルギーによる発電量の3分の1近くを風力と太陽光が占め、水力の割合は60パーセント未満になる見通しだ。
再生可能エネルギーによる発電総容量は、2021年には7,600テラワット時に達すると予測されている。これは、現在米国と欧州で発電されている総量に匹敵する規模である。
IEAは、再生可能エネルギー施設導入の中心になるのは、米国、欧州、中国、インドの4地域になると予想している。ただし、中国とインドでは電力需要も急増するため、2021年までに再生可能エネルギーによる発電だけで需要を満たすことはできない。
一方で米国と欧州では、需要の増加はあるものの、再生可能エネルギーによる追加分が必要となる発電量増加分を上回る見通しだという。

2016年10月29日土曜日

話題にならないTPPの中身。日本の裁判権=国家主権を奪うISD条項を知っていますか?


話題にならないTPPの中身。日本の裁判権=国家主権を奪うISD条項を知っていますか?

http://blog.goo.ne.jp/raymiyatake/e/9b387877f2996343a9489f522877a516



 最近、TPPについて報道されることと言えば、2016年10月中に衆院を通過するか、11月にずれこむかという話だけで、TPPの危険な中身についてはちっとも報道されません。
 報道されると言えば、せいぜい、農業や関税に関係することだけなのですが、TPPの最も危険なところは、日本の市民生活を守る様々な大事な制度が、貿易障壁とされて撤廃されていく可能性があることです。
 なぜなら、TPPの目的は自由貿易を押し進めることにあるため、多国籍企業が日本に進出する際に邪魔になるものはすべて排除されてしまう可能性があるからです。
 そういうTPPの恐ろしい中身が論議されなくてイライラしていたのですが、2016年10月27日、共産党の国会議員の中でも最も頭の切れる議員さんの一人である笠井亮議員が次のようなポイントをついた質疑をしてくれました。

2016年10月28日(金) しんぶん赤旗

論戦ハイライト 衆院TPP特

皆保険制度に深刻な影響

笠井氏が追及

多国籍企業の利益のために、国民皆保険制度に深刻な影響を与え、経済主権を米国に売り渡す環太平洋連携協定(TPP)の姿が浮き彫りになりました。笠井亮議員は27日の衆院TPP特別委員会で、TPP承認案・関連法案の今国会での成立を狙う安倍政権の姿勢を追及しました。

米国から内政干渉

 笠井氏は、TPPが参加12カ国によって署名された2月4日に、日米両政府が書簡で「関連する将来の保健医療制度を含む」事項について「協議する用意があることを確認する」と確認していたことを告発しました。
 笠井 将来の保健医療制度の改変についても協議する用意があると、日米政府間で約束していたのではないか。
 安倍晋三首相 米国政府の意向を受け入れることを約束したものではない。
 「懸念はない」と開き直る首相と塩崎恭久厚労相。笠井氏はこれに反論し、「米側の要望を受けて確認しあったことは明らかだ。保険証1枚で医療が受けられる皆保険制度の根本にかかわる問題だ」と迫りました。
 笠井 米国は、自国の医療業界の対日要求をのませる仕組みを着々と整えてきたのは明らかだ。
 厚労相 いずれも手続きを確認しているだけ。米国の意見を受け入れることを約束したものではない。
 笠井 TPPが署名されたその日に、国民皆保険制度の根幹にかかわる問題で協議する用意があると合意した。日本の医療制度のあらゆる事項について、米国製薬大企業と政府からの内政干渉を丸ごと受けかねない規定だ。国民皆保険制度が内側から壊され、空洞化する危険がある。

経済主権売り渡す

 ISDS(投資家対国家紛争解決)条項は、投資家や多国籍企業が、投資先の国の政府や自治体の政策が協定に違反し損害を被ると判断した場合、国際的な仲裁機関に訴えることができる仕組みです。
 外務省は笠井氏の求めに対して、スウェーデンの大手電力会社がドイツ政府を訴えた事例や、フランスの水道会社がエジプト政府を訴えた事例など、ISDSを使った国際的な仲裁裁判の事例を示しました。
 北米自由貿易協定(NAFTA)のISDS条項に基づき、米国、カナダ、メキシコの3カ国合計で企業側が提訴した訴えは69件。そのうち50件(72%)が米国企業の提訴によるものです。
 さらに米政府は外国企業に訴えられても負けたことがありません。
 笠井 米国通商代表部(USTR)は、農業分野以外にも郵政、保険、知的財産、自動車、東京五輪建設事業などの分野にも米多国籍企業が参入しやすいよう要求してきた。これらを実現するために、TPP発効後、ISDS条項を使い訴えてくることはないと断言できるか。
 岸田文雄外相 ISDS条項を使って提訴されることはないと考えている。
 楽観論に終始する外相。笠井氏は、多国籍企業から訴えられることを口実に、政府が国民の命や健康を守ることに取り組まなくなる「萎縮効果」が出てくると糾弾しました。
 外務省は4月1日に、TPP協定の早期発効に備え「国際経済紛争処理室」をすでに設置しています。
 笠井氏は「実際に訴えられることに備えて対策をとっているではないか」と指摘。「多国籍企業の利益のために、国民の暮らしや権利を犠牲にするISDS条項で経済主権を売り渡してはならない」と強調し、TPP承認案・関連法案の徹底審議を求めました。
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 笠井議員が前半で問題にしている国民皆保険制度は、アメリカなどの民間医療保険会社にとってみれば、貿易障壁になるということなんです。 
 つまり、我々日本に暮らす人間は健康保険制度にみな入っているので、安く医療を受けられますから、外国の医療保険に容易には入ってくれないので、それらの多国籍企業にとっては貿易障害になります。
 後半はそうした場合に、多国籍企業から日本政府や地方自治体が訴えられた場合に、日本に関する裁判なのに、裁判は日本の裁判所ではできず、国際紛争処理に関する特別な裁判所に裁判権を奪われているという問題です。
 そこでは、アメリカは無敗の帝王です。
 そしてアメリカと自由貿易協定を結んでいる国はいずれも巨額の賠償金を支払わされています。
 それなのに、日本政府の答弁は
ISDS条項を使って提訴されることはないと考えている。」
というだけなのです。何という愚かなことでしょうか。
 いえ、愚かというより、アメリカの軍産複合体に追従する安保法制といい、安倍政権は多国籍企業の利益しか考えていないのではないかと思うのです。

161029「架空の歴史を信じない」。戦時に軍部を批判した皇族、三笠宮さまが注目される理由


「架空の歴史を信じない」。戦時に軍部を批判した皇族、三笠宮さまが注目される理由





「架空な歴史を信じた人たちは、また勝算なき戦争を始めた人たちでもある」

昭和天皇の末弟で、天皇陛下の叔父にあたる三笠宮崇仁さまが10月27日、亡くなられた。
陸軍の参謀として南京に駐在し、戦中から戦争を批判。戦後も「作られた歴史」への批判を貫いた、そのお言葉にあらためて注目が集まっている。



軍部を鋭く批判 「何とかして戦争を終わらせたい」


時事通信
三笠宮さま(左から2人目)

それは、1994年のことだった。当時、読売新聞が出版していた論壇誌「This is 読売」に史料が公開された。タイトルは「支那事変に対する日本人としての内省」(原文はひらがな部分がカタカナ)。
史料が作られたのは1944年。総力戦体制が進み、軍部批判が最大のタブーとされていた時期に、こんな言葉が綴られている。
軍人に欠如しているものは『内省』と『謙譲』とである。
(日本軍の毒ガス使用を指摘し)『聖戦』とか『正義』とかよく叫ばれ、宣伝される時代程事実は逆に近い様な気がする。
聖戦や、正義という一見すると正しい言葉に対する疑念とともに、日中戦争で「日本軍の暴虐行為、掠奪、強姦、良民への殺傷行為、放火等」があったとする記述もある。
明確な日本軍批判を展開した、この史料の筆者こそ、陸軍大学を卒業後、南京に赴いた三笠宮さまだ。軍内部、さらに皇族の軍部批判は「危険文書」として扱われ、没収、廃棄処分になったという。
なぜここまで軍を批判したのか。同誌のインタビューに率直な思いが語られている。
「何とかして戦争を終結させなければならない」と思い、やむにやまれぬ気持ちでまとめ、タイトルも自身でつけた可能性が高いことを認めている。

南京大虐殺「人数は関係ない」

「南京大虐殺」をめぐる議論についての質問にも答えている。
最近の新聞などで議論されているのを見ますと、なんだか人数のことが問題になっているような気がします。辞典には、虐殺とはむごたらしく殺すことと書いてあります。つまり人数は関係はありません。
戦時の中国でみた、衝撃的な映像についても述べている。
南京の総司令部では、満州にいた日本の部隊の実写映画を見ました。それには、広い野原に中国人の捕虜が、たぶん杭にくくりつけられており、そこに毒ガスが放射されたり、毒ガス弾が発射されたりしていました。
本当に目を覆いたくなる場面でした。これこそ、虐殺以外の何ものでもないでしょう。

貫かれたリベラルな精神


Satoru Ishido / BuzzFeed
「This is 読売」1994年8月号

戦後50余年が過ぎようとしても、厳しく日本人、そして日本軍を批判した三笠宮さまの思いは常に一貫していることがわかる。
「私が感心するのは、外国の政治家には歴史をよく研究している人が多いことです。日本の政治家の方々にも、歴史を十分勉強して頂きたいと思います」
朝日新聞のインタビューに応じた三谷太一郎・東大名誉教授は「明らかに今でいうリベラルです」と、その姿勢を評している。

作られた歴史に向けた批判精神

リベラルな精神は、歴史観にも貫かれた。
戦後、オリエント史研究者として知られた三笠宮さまは、1951年には文藝春秋誌上の対談で「軍国主義的な傾向、あるいはまた、専制主義的な傾向、反ヒューマニズム的傾向が、いまだに残っているというより、むしろまた復活しかけている」という状況にある、という見方を示している。
1959年には、同じく文藝春秋に「紀元節についての私の信念」を掲載する。
その内容は、戦後、2月11日(いまの建国記念の日)が「神武天皇即位の日」だとして、戦前にあった「紀元節」を祝日として復活させようという動きに対して、歴史的な根拠がないと批判するものだった。


時事通信
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1959年は、神武天皇即位から2619年にあたるという主張を、後代の人の作為であったことは明らかになったとした上で述べる。
私はむしろ日本の建国を何年何月何日と規定することこそ、祖国の悠久な歴史をみずから否認し、なまはんかの外国かぶれをした論であると思う
「歴史研究者として、架空の年代を国の権威をもって国民に押しつける企て」に反対して、科学的根拠を求める。「学問研究の百年の計を一瞬にして誤るおそれのある」建国記念日の設置案には、深い反省を求める。それが三笠宮さまの姿勢だった。
歴史観の根底には、日本の建国が一人の英雄の手によって、一時にできあがったものではないこと。何万年という時代を重ねて、成し遂げてきた、複雑な社会的発展の結果という考え方がある。

架空の歴史を信じてはいけない理由

なぜ架空の歴史を信じてはいけないのか。それは架空の歴史を信じた人たちが、無謀な戦争を始めた人たちと重なったという日本の過ちに対する、深い反省からだろう。
この論文の最後に三笠宮さまが書いた、強いメッセージをそのまま引用する。
架空な歴史—それは華やかではあるがーを信じた人たちは、また勝算なき戦争—大義名分はりっぱであったがーを始めた人たちでもあったのである。
もちろん私自身も旧陸軍軍人の一人としてこれらのことには大いに責任がある。だからこそ、再び国民をあのような一大惨禍に陥れないように努めることこそ、生き残った旧軍人としての私の、そしてまた今は学者としての責務だと考えている。

バズフィード・ジャパン ニュース記者
Satoru Ishidoに連絡する メールアドレス:Satoru.Ishido@buzzfeed.com.

2016年10月27日木曜日

161027東京新聞 TPP強行に不安の声 北海道・宮崎で地方公聴会

TPP強行に不安の声 北海道・宮崎で地方公聴会

 環太平洋連携協定(TPP)の承認案と関連法案を審議する衆院特別委員会は二十六日、国民の声を聞く地方公聴会を北海道と宮崎県で開いた。出席した農家や消費者の代表たちからは、月内の衆院通過を急ぐ政府・与党への批判が相次いだ。国会の審議が不十分との声が多く、生活に直結するTPPを巡る国民の不安が解消されていない状況が浮き彫りとなった。 (矢野修平、村上一樹)
 審議を急ぐ政府に対して、山居忠彰・北海道農民連盟書記長は「北海道では八月の台風で甚大な被害を受けた。その精神的不安がある中で、TPP承認案を強行採決することには断固反対だ」と話した。
 藤原宏志・宮崎大学名誉教授も「(公述人の)四人の意見を聞いただけで国民の声とするのか。もっと時間をかけて説明する責任が政府と国会にはある」と主張。宮崎県都城市でNPO法人を運営する蒲生芳子さんも「食という大切な話を、待ったなしのような状況で数で押し切っていいのか」と呼び掛けた。
 TPPの影響について宮崎県高千穂町の公聴会では、地元で畜産農家を営む興梠哲法(こうろきてつのり)さんが「攻めの農業ばかり強調するが、攻めよりも守りが課題。農村を守る約束をしてほしい」と要望。地元JA管内の農業就業者の平均年齢は六十七歳。「このままTPPが締結されたら、どんな時代がくるのか。自信を持って後継者に引き継ぐことができる価格補償制度の拡充やセーフティーネットの構築を」と求めた。
 一方、売上高海外比率の高い北海道の東和電機製作所専務取締役の浜出滋人氏は「TPPの影響で当社の市場拡大が望める」として期待を表明した。
 地方公聴会の会場となった札幌市中央区のホテル周辺では、道民ら約百人が集まり、横断幕やプラカードを掲げながら「食の安全を奪うな」などとシュプレヒコールを上げた。同市北区の主婦平田なぎささん(55)は「TPPは日本全体の問題なのに、札幌と宮崎の二カ所しか公聴会を開かず、ごく一部の人しか入れない」と非難した。
 宮崎県高千穂町の公聴会を傍聴した宮崎市のコメ農家、小田治さん(88)は「今日は畜産や食の安全が中心だったが、コメに限っても輸入米の価格偽装など問題は山積み。これで国民の声が届いたとは思えない」と話した。


161026NHK TPP 衆院特別委の地方公聴会 期待と反対の意見

TPP 衆院特別委の地方公聴会 期待と反対の意見

TPP協定の国会承認を求める議案などを審議している衆議院の特別委員会は、札幌市と宮崎県高千穂町で地方公聴会を開きました。
このうち札幌市では、TPP協定によって市場が拡大し、水産物などの輸出増加につながるとして、期待する意見が出された一方、コメや酪農など農家の経営に大きな影響を与えるとして、反対する意見が出されました。

この中で、自民党と公明党が推薦した漁業用機器メーカーの浜出滋人専務取締役は「TPP協定に参加することで、マーケットも拡大していくのではないかと期待している。また、海外における特許出願手続きの迅速化が図られ、知的財産保護の観点から安心して海外展開できる環境になることを期待する。中小企業の支援体制も検討してほしい」と述べました。

民進党と共産党が推薦した北海道農業ジャーナリストの会の中原准一幹事は「農産物5項目は、国会決議がなされたものの、TPP協定ではそのすべてについて関税率や制度面でくさびを入れられている。いずれも北海道農業を代表する作物で死活問題だ。国会での慎重審議をお願いし、強行採決で終わるという形にはしてほしくない」と述べました。

自民党と公明党が推薦した北海道漁業協同組合連合会の崎出弘和代表理事専務は「世界的に水産物の需要は増えており、輸出をさらに伸ばしていきたい。ただ、証明書類が多く非常に煩雑なことが課題であり、こうした問題を解決すればさらに輸出を伸ばせる。TPP協定を起爆剤に、販路拡大など生産者団体としての役割を果たしていきたい」と述べました。

民進党と共産党が推薦した北海道農民連盟の山居忠彰書記長は「コメや酪農など北海道農業に甚大な影響を及ぼし、農業経営の継続が困難となり、断固反対だ。黒塗り資料や協定文の誤訳、強行採決に関する山本農林水産大臣の問題発言で国民の不信感は増大している。アメリカの承認手続きも不透明さを増すなか、急ぐ理由はない」と述べました。

宮崎では期待や懸念の意見

宮崎県高千穂町で開かれた地方公聴会では、TPP協定は地域経済の活性化につながると期待する意見が出された一方、輸入農産物の増加による、食の安全に対する影響を懸念する意見が出されました。

この中で、自民党と公明党が推薦した宮崎県の河野俊嗣知事は「日本からアメリカに輸出する牛肉の4割以上は宮崎県産で、攻めるところは積極的に攻めたい。また、県内の企業の競争力強化や雇用創出につながり、経済活性化が期待される。TPP協定によるマイナスの影響を最小限にとどめ、プラスを最大限にしてもらいたい」と述べました。

民進党と共産党が推薦した食文化の普及などに取り組むNPO法人の蒲生芳子代表理事は「農産物がいろいろな国から来ることで、食べ物の価値や命を次の世代につなぐときに、はたして本物を子どもたちにつなげられるか危惧している。企業のコストが優先されたとき、国外から入ってくるものは大丈夫なのか。食の安全の保障は大丈夫なのかと危惧している」と述べました。

自民党と公明党が推薦した畜産農家の興梠哲法さんは「TPP協定に関する情報が少なく、中山間地にどんな影響があるのか不安だ。政府は攻めの農業、競争力強化、輸出ばかりを強調する。中山間地では攻めることより守っていかなければならないことのほうが多い。政府にはTPP協定の影響を抑える対策を行ってもらいたい」と述べました。

民進党と共産党が推薦した宮崎大学の藤原宏志元学長は「反対せざるをえない。国会の公聴会がこれで終わった場合には、国民の意見を十分に聞いたことになるのか。情報が少なく、全体像を把握することも難しい。国の将来を左右しかねない重要な協定がこういう状況で決定されることには大いに不安を覚える」と述べました。