2016年2月11日木曜日

ISD条項と憲法76条第2項との整合性

ちょっと難しい話をしてみよう ~ISD条項と憲法76条第2項との整合性~
http://s.ameblo.jp/tukiyamikaren/entry-12126959106.html
昨日緒方議員が執拗なまでに岩城法務相に詰め寄った、ISD条項(ISDS条項とも書かれますが、今回はISD条項で統一させて頂きます)と憲法第76条との関連の事に対して書き連ねてみようかと思います。
ISD条項に関してはこちら↓
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%8A%95%E8%B3%87%E5%AE%B6%E5%AF%BE%E5%9B%BD%E5%AE%B6%E3%81%AE%E7%B4%9B%E4%BA%89%E8%A7%A3%E6%B1%BA
憲法第76条に関してはこちら↓
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%97%A5%E6%9C%AC%E5%9B%BD%E6%86%B2%E6%B3%95%E7%AC%AC76%E6%9D%A1
たぶん先にISD条項の方を読んで頂いた方が理解がしやすいと思います。
ISD条項とは投資家対国家間の紛争解決の手段ではありますが、この条項自体が慣習国際法・条約法に関するウィーン条約27条で認められておらず、運用に当たっては国際法規に順ずる部分が多く、必ずしも各国の国内法規にそぐわない場合も多いとされています。
また憲法第76条で今回問題として挙げられたのが、第2項の特別裁判所の設置の部分にあたります。
衆議院のライブラリーを改めて見直して、緒方議員が問題提起していたのは、国内の判決に不服を抱いてISD条項により、国際連合国際商取引法委員会ないし投資紛争解決国際センター(双方をまとめて仲裁裁判所とさせて頂きます)に訴訟を起こして出た判決とが食い違った場合、どちらの判決が優先されるのか?といった内容だったと思うのですが、先に述べている通り判断基準が国際法規である仲裁裁判所での判決と、国内法に沿って出された日本の最高裁の判決は必ずしも一致するとは限りません。
この場合どちらの判決が優先されるかといえば、過去の判例を元に考えるならば仲裁裁判所で出された判決に従うという形が慣例となっています。
これは何故かというと構図が投資家(国内企業)対投資先国家という構図なので、公平性を考えた場合にどちらかの国内の法に準じるというのは無理筋であり、国際法規に基づいて判断された仲裁裁判所の判決が有効となるケースがほとんどです。
何故こんな単純な話に対して岩城法務相が答弁にまごついたかといえば、仲裁裁判所の位置づけを、憲法第76条の第2項の特別裁判所とをごちゃ混ぜにして質問してたからとしか言いようがありません。
仲裁裁判所は国内における特別裁判所とはまったく性質が違うのです。
また日本国内の機関でもないので、特別裁判所には該当しないというのが結論です。
なので合憲なのか違憲なのかと言えば、憲法第76条第2項に抵触していない以上、合憲であるという判断が正しいと言う事になります。
また仲裁裁判所が特別裁判所ではないというもう1つの根拠として、国内の司法機関からまったく切り離された存在であり、国際司法裁判所とも性質の異なる存在だからといえます。
また仲裁裁判所というのはあくまでもFTA協定や今回署名されたTPPに批准した、賠償による解決を求めるための場所であり、そこには懲罰や刑罰という概念はなく、あくまでも金銭による解決のみを目的としており、そもそもが最高裁判所を筆頭とした国内の裁判所とは性質が異なり、並列して議論する事自体がミスリードでしかないのです。
そして仲裁裁判所で出された結果に対して不服を持ち、再度国内の裁判所に上訴したケースというのは過去に一切なく、言うなればこの仮定自体が現実無視の荒唐無稽な質問だと私は断言します。
何故そういったケースがないかといえば、仲裁裁判所の性質上、そこで既にお金による解決が示されている以上、再度国内に持ち帰って裁判を起こしたとしても、仮にそれが最高裁だとしても、おそらくは仲裁裁判所でおりた判決が有効。といった判決以外に導き出しようがないからです。
なので国内の裁判所の判決と仲裁裁判所の判決とどちらに優位性があるかといえば、国際的な慣例から行けば仲裁裁判所の判決が優位になるという事になります。
ここまでかなりざっくりとした説明をいたしましたが、緒方議員にはこれが理解出来るのでしょうかね?

山田 正彦
https://goo.gl/0REoSB

岩城法務大臣が国会質疑で立ち往生しました。
TPPのISD条項で「日本政府が訴えられた場合、仲裁審判と最高裁判所の判決とどちらが優位なのか」と聞かれて答えられなかったのです。
韓国では米韓FTAの時、裁判官166人が大法院に国司法主権が損なわれるとして不服の申し立てをしたのです。
このことでも明らかなように、TPPは三権分立のもと憲法違反です。
今月22日午後2時半から東京地裁でTPP違憲訴訟の第3回口頭弁論が開かれます。
裁判では孫崎享さんがISDについての意見陳述を致します。
米国からトーマスカトウ氏、内容に最も詳しいサーニャ女史が駆けつけてくれます。
1時半から東京地裁前で門前集会を致します。
TPPに漠然と不安を感じている皆さんにお願いがあります。
是非参加して頂けませんか。
シエア拡散もお願いいたします。


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