トランプ大統領の就任演説は立派だった
小林よしのり
2017年01月21日
http://lite.blogos.com/article/206718/
昨夜2時にトランプ大統領就任の演説を聞いて、何ひとつ違和感はなかった。
グローバリズム戦略から保護主義への転換、国境を高くして企業の国内回帰を促し、雇用を守る政策、さらにケインズ主義の採用によって国内のインフラ投資を進め雇用を生み出す政策、これらの経済対策で中間層を守ることを公約した。
さらに世界の平和よりもまず国内の平和を守ること、だがそのためにもテロリズムとの戦いを続けることを主張していた。
全部納得がいく。実に常識的な戦略転換であって、今のアメリカにも、さらには世界の国々のためにも、脱グローバリズムは評価されてしかるべきである。
移民で成り立つ国と言っても、限界はある。
無制限に移民を受け入れることが、国家の崩壊を招くのなら、制限したり、調節したりするのは当然の政策だ。
日本は今のところ、そうやって国民の秩序の安寧を保っているのだから、我々日本人がアメリカの移民政策を批判できるはずがない。
絵空事の「理念」をポエムのように語らず、やるべきことをしっかり語ったトランプは大したものである。
さっそくTPP離脱、NAFTA見直しを表明したが、有言実行の速さも素晴らしい。
そう思っていたのだが、今朝の「ウェークアップ!ぷらす」という番組では、トランプの就任演説をボロクソに貶している。
誰一人、トランプの保護主義を理解していない。
自由や平等などの絵空事の民主主義の「理念」を言わなかったことが不満だとブーブー言っている。
どこまで馬鹿を貫いてるんだ?
安易に「ポピュリズム」という言葉を使用して、トランプを選んだアメリカ国民を馬鹿にするのも全く不思議。
ポピュリズムが嫌いなら民主主義を批判すればいいのに、民主主義は大好きというのだから頭の中が分裂している。
寡頭政治にせよ、賢人政治にせよと言うのなら、わしも賛成するが、そんな主張をする勇気はないのだろう。
グローバリズムで不安を抱え、疲弊した中間層を立て直すための保護主義のどこが悪いのか?
グローバリズムの発信地であるアメリカとイギリスが、保護主義に舵を切ったのだ。
もしトランプが失敗したり暗殺されたりしても、もうこの流れは止まるまい。
サンダースのような政治家だって若者に支持されていたのだ。
今後10年くらいかけて、脱グローバリズムは進み、やがてナショナリズムの時代が来る。
誰もかれもがグローバリズムは「歴史の不可逆的な流れ」と思い込んでいるが、それは人為的なものに過ぎない。
人為的なイデオロギーだから、人為的に変えられるのである。
トランプ大統領もメイ首相も、保護主義に転換するが、貿易はインターナショナルに進めるのである。
グローバリズムとインターナショナリズムの違いも分からないような日本のアホ知識人が、言論界の「空気」を作っていて、わしのような考えを披露する場所などないだろう。
せいぜいブログか、動画で言っていくしかない。
それにしても安倍政権の遅れ過ぎた新自由主義感覚は、もはや恥である。
いまだにTPPに未練たらたら、格差拡大を放置して、日米同盟が最高の価値だと力説している。
ボケ野郎にしか見えないが、これを国民が支持しているのだからどうしようもない。
では日本はアメリカに追随せず、自由貿易・グローバリズムを追及し、このまま中間層を破壊し続ける覚悟があるのだろうか?
やがて日本も保護主義へ行くべきと言論の空気も変化して、政策を変える政治家や政党が現われるのだろうか?
今のところは自民党も民進党も、TPPに賛成していた通り、新自由主義路線のままである。
共産党だけが不思議なことに保護主義的な主張をしているのだから皮肉なことである。
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