2016年12月30日金曜日

161220毎日新聞 <防衛相靖国参拝>「和解の力」に冷や水 与野党から批判

<防衛相靖国参拝>「和解の力」に冷や水 与野党から批判

毎日新聞 
 稲田朋美防衛相が29日に靖国神社を参拝したのは、安倍政権の支持基盤である保守層への配慮からだ。ただ、稲田氏が米ハワイ・真珠湾に同行し、安倍晋三首相が日米の「和解の力」を強調した直後だけに、A級戦犯を祭る靖国への参拝に理解を得るのは容易ではない。中韓両国との関係改善にも冷や水を浴びせかねず、与野党から批判の声が上がった。

【写真特集】靖国神社を参拝する稲田防衛相

 稲田氏は参拝後、特攻隊員だったおじが靖国に合祀(ごうし)されたことに触れ、記者団に「家族や国を守るために出撃した人々の命の積み重ねの上に今の日本があることを忘れてはならない」と語った。

 稲田氏は2006年、A級戦犯を裁いた東京裁判の不当性を主張する「伝統と創造の会」を自民党の有志議員と結成。サンフランシスコ講和条約(1952年)が発効して日本が主権を回復した4月28日と、終戦記念日の8月15日に靖国を参拝してきた。

 それでも、防衛相就任直後の今年の8月15日は参拝を見送った。首相に同行して真珠湾で米国の戦没者を慰霊した以上、靖国参拝は国内の保守層への配慮を示すために必要だとの認識とみられる。ただ、日本の戦争責任を認めることに否定的な靖国への参拝で、外交上の波紋は避けられない。日米外交筋は29日、稲田氏の参拝で「中韓との良好な関係を求めてきたオバマ米政権のメンツを潰したのは間違いない」と語った。

 政府は日中国交正常化45周年の来年に首相の訪中を模索。日韓では北朝鮮の脅威に備え、軍事情報包括保護協定(GSOMIA)を締結するなど安全保障分野の連携が進んでいただけに「歴史認識問題が再燃し、中韓との交流が止まりかねない」(政府関係者)との懸念が出ている。

 自民党幹部は29日、取材に対し「首相が稲田氏を起用したので仕方ないが、防衛相には不適格だ」と批判。公明党幹部も「米国だけでなく中韓との和解はどうあるべきか、政治家としての姿勢が問われる」と語った。民進党の野田佳彦幹事長は「真珠湾に同行した直後の参拝はどういう意味なのか、内外に説明する責任がある」と述べた。【高橋克哉、小田中大】

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