2016年10月27日木曜日

161026NHK TPP 衆院特別委の地方公聴会 期待と反対の意見

TPP 衆院特別委の地方公聴会 期待と反対の意見

TPP協定の国会承認を求める議案などを審議している衆議院の特別委員会は、札幌市と宮崎県高千穂町で地方公聴会を開きました。
このうち札幌市では、TPP協定によって市場が拡大し、水産物などの輸出増加につながるとして、期待する意見が出された一方、コメや酪農など農家の経営に大きな影響を与えるとして、反対する意見が出されました。

この中で、自民党と公明党が推薦した漁業用機器メーカーの浜出滋人専務取締役は「TPP協定に参加することで、マーケットも拡大していくのではないかと期待している。また、海外における特許出願手続きの迅速化が図られ、知的財産保護の観点から安心して海外展開できる環境になることを期待する。中小企業の支援体制も検討してほしい」と述べました。

民進党と共産党が推薦した北海道農業ジャーナリストの会の中原准一幹事は「農産物5項目は、国会決議がなされたものの、TPP協定ではそのすべてについて関税率や制度面でくさびを入れられている。いずれも北海道農業を代表する作物で死活問題だ。国会での慎重審議をお願いし、強行採決で終わるという形にはしてほしくない」と述べました。

自民党と公明党が推薦した北海道漁業協同組合連合会の崎出弘和代表理事専務は「世界的に水産物の需要は増えており、輸出をさらに伸ばしていきたい。ただ、証明書類が多く非常に煩雑なことが課題であり、こうした問題を解決すればさらに輸出を伸ばせる。TPP協定を起爆剤に、販路拡大など生産者団体としての役割を果たしていきたい」と述べました。

民進党と共産党が推薦した北海道農民連盟の山居忠彰書記長は「コメや酪農など北海道農業に甚大な影響を及ぼし、農業経営の継続が困難となり、断固反対だ。黒塗り資料や協定文の誤訳、強行採決に関する山本農林水産大臣の問題発言で国民の不信感は増大している。アメリカの承認手続きも不透明さを増すなか、急ぐ理由はない」と述べました。

宮崎では期待や懸念の意見

宮崎県高千穂町で開かれた地方公聴会では、TPP協定は地域経済の活性化につながると期待する意見が出された一方、輸入農産物の増加による、食の安全に対する影響を懸念する意見が出されました。

この中で、自民党と公明党が推薦した宮崎県の河野俊嗣知事は「日本からアメリカに輸出する牛肉の4割以上は宮崎県産で、攻めるところは積極的に攻めたい。また、県内の企業の競争力強化や雇用創出につながり、経済活性化が期待される。TPP協定によるマイナスの影響を最小限にとどめ、プラスを最大限にしてもらいたい」と述べました。

民進党と共産党が推薦した食文化の普及などに取り組むNPO法人の蒲生芳子代表理事は「農産物がいろいろな国から来ることで、食べ物の価値や命を次の世代につなぐときに、はたして本物を子どもたちにつなげられるか危惧している。企業のコストが優先されたとき、国外から入ってくるものは大丈夫なのか。食の安全の保障は大丈夫なのかと危惧している」と述べました。

自民党と公明党が推薦した畜産農家の興梠哲法さんは「TPP協定に関する情報が少なく、中山間地にどんな影響があるのか不安だ。政府は攻めの農業、競争力強化、輸出ばかりを強調する。中山間地では攻めることより守っていかなければならないことのほうが多い。政府にはTPP協定の影響を抑える対策を行ってもらいたい」と述べました。

民進党と共産党が推薦した宮崎大学の藤原宏志元学長は「反対せざるをえない。国会の公聴会がこれで終わった場合には、国民の意見を十分に聞いたことになるのか。情報が少なく、全体像を把握することも難しい。国の将来を左右しかねない重要な協定がこういう状況で決定されることには大いに不安を覚える」と述べました。

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