2016年10月13日木曜日

161012朝日新聞 山尾氏「改憲に答弁義務」 首相「答えられない場合も」

山尾氏「改憲に答弁義務」 首相「答えられない場合も」
朝日新聞 2016年10月12日20時46分

http://digital.asahi.com/sp/articles/ASJBD5TZCJBDUTFK01D.html?rm=1169

 民進党の山尾志桜里氏は今年2月の衆院予算委で匿名ブログ「保育園落ちた日本死ね」を紹介し、安倍晋三首相に待機児童問題の改善を迫るなど、両者は因縁浅からぬ関係だ。ヤジや笑い声が議場を包むなか、山尾氏は憲法の各条文を引き、首相に自民党改憲草案について説明するよう迫った。
改憲巡り民進・山尾氏が迫る 首相「答える義務はない」
 山尾氏 今の総理のお話を聞くと、憲法改正というこの国、そして国民にとって最も大切なテーマの一つ、(憲法改正を)するか、しないかも含め、このことについて「答弁をするかどうかは自分の判断だ」と。そういうことですか? 自分次第ですか? この国権の最高機関たる立法府で、行政府の長であるあなたに、一国の総理であるあなたに、憲法改正について、どう考えているのかと、それを我々は聞かせてもらいたいと思っても、聞かせてもらえるかどうかは総理の気分次第だ、と。こういうことですか? 判断は自分にある、と。そういうことですか?
 (「そうだ、そうだ」の声)
 山尾氏 もう一つ申しあげますけれども、総理の論理はやっぱり破綻(はたん)しているといますよ。いよいよ憲法改正が近づいてきたか、きていないか、議論が盛り上がっているか、盛り上がっていないか、それによって答弁する、しないが変わってくるんですか? おかしいんじゃありませんか? パネルを出していただいて良いですか(と手元のパネルを取り出す)。まだ質問しておりません。論評しております。
 (拍手と笑い声)
 山尾氏 私は論理が破綻している理由は自分なりにこう考えています。やはり行政府の長たるあなたには、答弁するのが自由だとおっしゃいますが、答弁する義務は基本的にあると思います。この義務からむりくり逃げようとするから、場当たり的に言い訳をするから、おかしいことになっていると思います。
 まず総理、99条で総理大臣は憲法尊重擁護義務を負っています。そして憲法は前文で、この憲法の普遍の原理に反する一切の憲法を許しておりません。法律だけではありません。今の憲法に反する一切の憲法を排除するとうたっています。そして、いま大きな与党である第1党の自民党から提案されている改憲草案は、普遍の原理に挑戦する大変疑義のある草案です。この改憲草案は現行憲法の普遍の原理に反していないかどうか、憲法尊重擁護義務のあるあなたは答弁の義務があると思いますけれども、いかがですか?
 (拍手)
 首相 ですから私が先ほど申し上げている通り、内閣総理大臣としての所管する事柄について述べる義務はございます。内閣総理大臣としての義務と自民党総裁は別でございまして、これはご了解頂けると思いますよ。ここは内閣総理大臣としての立場であって、そこで「じゃあ、あなたは自民党綱領についてもここで説明してください」と言われても、普通は説明できないわけでありますが……
 ログイン前の続き(山尾氏「綱領は関係ありません」)
 首相 ……例えば、自民党総裁として綱領を説明できますが、内閣総理大臣とししてはですね、基本的に……
 (ヤジ)
 首相 すみません(民進の)辻元(清美)さん、ちょっと冷静に、冷静に。いやさきほどね、山尾さんもおっしゃったように、不規則発言が多いとですね、よく私のしゃべっている言葉が聞こえなくて、しゃべりにくいんです。少し静かにして頂くとしゃべりやすくなり、時間の無駄がなくなるので、要請させていただきたい。
 そこで最初に戻りますが、要するに、要するに、内閣総理大臣として私が所管する事柄についてはこれは述べなければいけないわけであります。しかし、例えばあなたの個人的感想とか様々なことを聞かれますね。それについては義務はないんです。しかしそれは答える場合もあれば、答えられない場合もあります。そこで自民党草案についても、まさに内閣として提出する場合はそうでございます。確かに、私が自民党総裁として既に逐条解説で解説されていることについて、ここでご紹介したことはありました。でもまだ憲法審査会がいよいよ動く前だったから、私は他方、自民党総裁の立場として機運を盛り上げるために紹介したが、これ以上はですね、これ以上は憲法審査会でしっかりと議論が進んでいこうという中において、私が総理としての立場にあって、総裁として述べることはまさに与党においてもまとまっていないことですから、議論が進んでいくことに支障を来すという判断をしたわけで、その判断について山尾さんがどのような認識を持たれたかは別だが、私はそのように判断したということでございます。
 山尾氏 憲法と綱領は全く違うので、的外れな例えば話は止めて下さい。そしてまた「機運を盛り上げるため」とか法的根拠にならない、謎の答弁は止めていただきたいと思います。行政府の長が国権の最高機関である立法府において、総理の気分で答弁したりしなかったりするシーンを現行憲法は許していないと思います。
 (憲法)63条を見て下さい。国会には内閣総理大臣の出席を求め、答弁を直接聞く機会を保障されています(※「内閣総理大臣その他の国務大臣は、両議院の一に議席を有すると有しないとにかかわらず、何時でも議案について発言するため議院に出席することができる。また、答弁または説明のため出席を求められたときは、出席しなければならない」〈憲法63条〉)。
 でも見て下さい。自民党憲法草案はこの63条も変えようとしています。「ただし、職務の遂行上、特に必要がある場合は、この限りではない」。これが万一、成立したら、答弁拒否どころか出席拒否までできることになっています。
 (「とんでもない!」のヤジ)
 山尾氏 総理の思うがまま、総理の政治姿勢そのものではないですか。全国民の代表である私たち立法府は総理に国民の声を届けて、総理の独断をただす役割が、こんな改憲草案が通ったら、立法府の役割を果たせなくなるじゃないですか!
 (拍手)
 山尾氏 これは国民主権という普遍の原理に反する改憲案だと思います。したがって、私も憲法の議論、改正の是非も含めて、総理の言葉を借りれば、「はつらつとした議論」をしたいんですよ。しかし、その「はつらつとした議論」の障害が二つあります。
 一つは破綻した論理を盾にして、憲法の議論から逃げ続ける総理の姿勢です。もう一つは現行憲法の普遍の原理に反しているがゆえに憲法の名に値しない自民党改憲草案です。この二つの障害が除去されれば、私たちはしっかりと、それこそ総理が求めている生き生きした憲法議論ができると思います。総理であれば二つとも取り払うことができると思います。やって頂きたいと思います。

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