2016年5月5日木曜日

160504神奈川新聞 平和・人権に思い致す 都内の「5・3憲法集会」に5万人

平和・人権に思い致す 都内の「5・3憲法集会」に5万人
公開:2016/05/04 02:00 更新:2016/05/04 02:00



神奈川新聞
東京臨海広域防災公園で開かれた「5・3憲法集会」。「憲法守れ」「安倍政権退陣」「戦争法廃止」と書かれたプラカードを手にした約5万人(主催者発表)が会場を埋めた


 施行から69年を迎えた憲法記念日の3日、「5・3憲法集会」の会場となった東京・東京臨海広域防災公園を5万人の参加者が埋めた。「戦争しない」「憲法を守れ」「萎縮しない」。思い思いのプラカードや旗を手に、自ら暮らしに憲法を照らし合わせ、平和と人権の大切さに思いを新たにする人たちの姿があった。

一人一人がノーベル賞候補 39歳、主婦


9条に未来を託す鷹巣直美さん

 憲法9条をノーベル平和賞に推す市民運動をつくった座間市の主婦、鷹巣直美さん(39)は「戦争しない 憲法9条を!」と書かれた旗を掲げた。

 前日の2日、ノーベル賞委員会から「9条を保持する日本国民」が平和賞候補になったというメールが届いた。3年連続のノミネート。「国民一人一人が候補者。主権者の私たちはもっと胸を張っていい」。3年で積み上がった賛同の署名は70万筆を超えた。「危機感は年々強まるが、私一人が始めた運動で何かが動き始めた。それは希望だ」

 この日、リレートークに立った101歳のジャーナリストむのたけじさんの言葉を胸に刻んだ。「戦争が始まれば人間は3日で理性を失う」。思いを新たにした。「当たり前に『戦争しない』と口にできる社会を、9条を守り続けることで未来へつなげていきたい」

私が私らしく生きるため 42歳、在日3世


憲法集会に初めて参加した崔江以子さん

 私が私らしく、あなたがあなたらしく生きられるよう、憲法はある。そう思えたとき、遠い存在だった憲法が近くに感じられた。在日コリアン3世の崔(チェ)江以子(カンイジャ)さん(42)は川崎市川崎区から初めて憲法記念日の集会に足を運んだ。

 わが街、桜本に迫ったヘイトスピーチデモの被害を国会で訴え、対策法案の審議を傍聴してきた。「差別をなくす立場に一緒に立ち、真剣な議論がなされている」。そうであるなら個人の尊厳と表現の自由をともに大切にする方策も見つかるはずだ、と希望をみた。

 集会では、朝鮮学校の女子生徒がチマ・チョゴリ姿でヘイトスピーチ対策を訴えた。かすれがちなスピーカーの声に参加者が耳をそばだて、心を寄せているのが分かった。憲法を大切に思う人たちの姿に「憲法は弱い立場の人のためにある、と確かめることができた」。

貫く理念じーんときた 22歳、専門学校生


社会福祉士を志す寺田ともかさん

 中学生のとき、憲法前文を書き写す宿題が出た。勘違いして「全文」をノートにつづった。寺田ともかさん(22)は「自分の国の憲法っていいこと書いてあるな」と思った。

 貫く理念にじーんときた。「人は生きているだけで価値がある」。この春に大学を卒業し、社会福祉士を目指して専門学校に通うのも、そんな原体験があったから。「人が生きるということを支えたい」

 1年前、学生団体SEALDs(シールズ)に加わり、安全保障関連法案に反対の声を上げた。安倍晋三政権は憲法を大事にしていないように思えた。

 自民党の憲法改正草案には真逆のことが書かれていた。「国の役に立っていない人には価値がないと言わんばかり」。7月の参院選は憲法改正が争点になる。「人間の尊厳を守るための重要な選挙になる」と感じている。

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