2018年1月2日火曜日

180101しんぶん赤旗新春痛快対談 志位和夫 浜矩子

日本共産党しんぶん赤旗
2018年1月1日(月)
日曜版新年合併号 新春痛快対談
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik17/2018-01-01/2018010101_01_0.html

市民が社会動かす時代



"おとな"の共産党に期待 同志社大学大学院教授 浜矩子さん

おおらかに力合わせましょう 日本共産党委員長 志位和夫さん


 安倍政権への歯に衣(きぬ)着せぬ批評が評判の浜矩子さん(同志社大学大学院教授)と日本共産党の志位和夫委員長の2018年新春対談。総選挙結果と市民と野党の共闘、安倍晋三首相の政策批判から未来社会論まで大いに語り合いました。

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 志位 あけまして、おめでとうございます。

 浜 おめでとうございます。

 志位 浜さんには、昨年の都議選、総選挙で何度も激励のメッセージをいただき、心から感謝を申し上げます。

 浜 総選挙では安倍政権を追い込みましたね。多くのメディアは「自公勢力の圧勝・大勝」と報じましたが、不正確です。選挙前と比べ、わずかながら自公勢力は小さくなりました。安倍さんにとっては大誤算でした。「市民と立憲野党の共闘」から、立憲民主党が生まれたことも貴重です。彼らが野党第1党になり空気が変わりました。共産党の尽力で共闘体制ができたおかげです。

 「グリーンモンスター」(小池百合子・希望の党前代表)が墓穴を掘ったこともあり、意外と楽しい選挙でした。(笑)

 志位 私もだいたい同じような見方です(笑)。まず自公の「3分の2」は、いろんな仕掛けがあって、かろうじて拾ったものです。とくに小選挙区制です。自民党の比例代表での得票率は33%なのに61%の議席を得た。これは「虚構の多数」ですね。そして何と言っても希望の党の出現で野党共闘が分断されたことが、安倍さんの最大の「援軍」になった。安倍さんは小池百合子さんに足を向けて寝られないでしょう。(笑)

 共産党が議席を減らしたのは大変残念です。私たちの力不足です。次は力をつけて絶対に勝とうと決意しています。

 市民と野党の共闘では共産、立憲、社民の3野党と市民連合が政策合意を結んでたたかい、3野党全体では38議席から69議席に増えました。次につながる大事な成果を得たと思います。

 浜 おっしゃる通りですね。共産党が議席を失われたのは痛恨でしょうし、その巻き返しは当然だと思います。ただ市民の目から見ると、あのときの共産党の対応が本当にありがたかった。自分のところはさておき、市民連合が「闇の軍団」=安倍自公政権と対峙(たいじ)することに全精力をあげてくれたことはとてもよかったです。

 志位 そう評価していただきますと心強い限りで、感謝いたします。

「闇の軍団」の国会乗っ取り止めたことは共闘の成果

総選挙 共産党の貢献

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(写真)しい・かずお=1990年に書記局長、93年衆院選で初当選(衆院議員9期目)、2000年から幹部会委員長。著書に『戦争か平和か 歴史の岐路と日本共産党』、『綱領教室』全3巻(いずれも新日本出版社)など
 

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(写真)はま・のりこ=エコノミスト。三菱総合研究所初代英国駐在員事務所所長、同社政策・経済研究センター主席研究員などを経て2002年から現職。近著に『世界経済の「大激転」混迷の時代をどう生き抜くか』(PHPビジネス新書)、『どアホノミクスの断末魔』(角川新書)など
 志位 今度の総選挙は、市民と野党の共闘が崩壊の危機にひんするという波乱にとんだ展開となりました。私たちの対応としては二つの点が大事だったと思っています。

 第一は、解散の日(9月28日)に、希望の党に民進党が丸ごと合流するという動きになったその日に、私たちが二つのメッセージを発信したということです。

 一つは「逆流と断固たたかう」ということです。希望の党は「自民党の補完勢力」だと批判し、“民進党候補が希望に行った場合は、共産党は候補者を立てる”と宣言しました。もう一つは「共闘を絶対にあきらめない」ことです。“共闘の立場に立つ方々とはしっかり連携する”と表明しました。

 このメッセージは、全国の市民連合のみなさんとも響き合い、“希望の党に行っても希望はない”(笑)と民進党候補への説得が行われました。共闘の立場に立つ流れがうまれ、立憲民主党が結党されました。

 第二は、共闘を再構築する過程で、私たちが安倍政権の暴走政治を許さないという大局にたって、67の小選挙区で候補者を降ろし共闘体制をつくる決断をしたことです。逆流を乗り越え共闘を前に進める貢献となったと思います。

 浜 市民の目から見るともう絶対に巻き戻されたくない。この流れを崩さないように、共産党が“おとな”の大局観と視線をもってうまく運んでいってくれることをすごく期待しています。

 立憲民主党は内部でもいろんなことがありながら、薄氷を踏むように歩んでいる感じがします。そこをうまく“おとな”が手引きをしてくれるという構図があるというのは安心感がありますね。

 志位 あのときの対応は、日本政治の歴史的な分かれ道での、大局に立った決断でした。もし野党共闘つぶしが成功していれば、自公と希望の保守二大改憲推進勢力=「闇の軍団」で国会が乗っ取られてしまった。それを断固阻止するくさびをガンと打ち込んだ。これは、次につながる結果だと思います。

安倍流「働き方改革」は19世紀以前への時代逆行

おぞましい雇用大改悪

 浜 次につなげるという点では、今度の通常国会で、おぞましい安倍流「働き方改革」が議論されていくことになります。どうつぶし、押し戻すのか。これから本当のたたかいになっていきます。

 志位 そうですね。「働き方改革」といいますが、財界にとって都合のいい働かせ方を強要する―「働かせ方大改悪」が正体ですね。いくら働いても残業代を払わない「残業代ゼロ」法案をまた持ち出そうとしています。残業時間の上限規制を行うと言いながら、過労死ラインの月80時間~100時間という残業も合法化しようとしている。「同一労働同一賃金」と言いますが、実際に出そうとしている法案では、企業が能力や貢献度を判断して、「違いに応じた支給」を容認する方向であり、格差固定化を容認するものとなっています。

 浜 まったくそうです。安倍政権の「働き方改革実行計画」には“同一労働同一賃金も長時間労働の是正も「労働生産性の向上」のためにやる”ということが明確に書いてあります。労働者の権利を実現するという視点はみじんもありません。

 志位 とくに「残業代ゼロ制度」―「高度プロフェッショナル制度」は、労働時間規制の概念そのものを外してしまうもので、異次元の雇用ルールの破壊です。

 浜 猛烈な時代逆行です。19世紀以前の働き方を「働き方改革」と称して実現しようとしています。

 「残業代ゼロ制度」を正当化しようと彼らは“時間で制約をかけることは、労働者の能力を開花させることをじゃましている”という論理を持ち出していますね。これは19世紀にだされたマルクスの『資本論』で書かれている資本家の論理――“彼らの働く自由を奪ってはならない”と同じです。こんな論理を21世紀に平気で持ち出してくることに、がく然とします。

 志位 おっしゃるように猛烈な時代逆行です。労働時間規制は19世紀のイギリスの工場法の10時間労働制から始まった。それが8時間労働制となり、労働者の権利を守る一番の要になってきました。資本家たちは労働時間規制に反対したけれど、導入してみたらイギリス資本主義に空前の繁栄の時代が訪れた。労働時間の短縮で労働者階級が健康を取り戻し元気になったからです。それが土台となり、空前の繁栄となったのです。逆にいえば、労働者の権利を切り縮めるようなことをやれば、資本主義社会そのものが成り立たなくなります。

 浜 間違いなくそうですね。経団連と安倍政権は歴史から何も学んでいない気がします。「異次元金融緩和」とかお金の世界で悪さをしているだけでなく、今度は「人づくり革命」と称して人間にまで手をつけようとしている。「人づくり革命」と「生産性革命」を車の両輪にして、“一億総お国のための活躍社会”をつくろうとしている。許しがたく、絶対に押し戻していかなければと思います。

「規制緩和」で企業劣化

 志位 企業の不祥事が続き、ついに経団連会長の出身企業・東レにまで品質管理の不正が起きました。なぜこうも不祥事が続くのか。その根本を考えると労働の「規制緩和」があります。いま働く人の3人に1人が非正規雇用で、女性と若者では2人に1人です。派遣や期間社員などの使い捨て労働が大企業の中枢でも横行しています。働く人を粗末にしたことが巡り巡って企業の首を絞め、劣化につながっているのです。

 浜 その通りです。その流れに拍車をかけたのが、安倍政権の「稼ぐ力を取り戻す」という言い方です。労働者使い捨て型の経営を強化し、効率も生産性も上げ、安上がりに成果を出す方向に「企業統治」を構築せよ、と企業を追い立てています。そのなかで不正が起きています。「企業統治」とは本来は、企業が稼ぐことばかり考え、社会的な責任を忘れてはいけないという考えです。

 志位 私は、「稼ぐ力」は、大企業は十分すぎるほどあると。(笑)

 浜 そうです。あんなに内部留保を。稼ぎまくって。(笑)

政権がもたらす呼吸困難で日本経済は窒息死に陥る

 志位 大企業の内部留保は400兆円を超えました。上場企業のトップ100社の有価証券報告書を調べてみますと、この4年間で利益を11兆円も増やしている。その配分について分析すると、50%が内部留保の積み増しに回り、44%が株主に回っていて、労働者にはたったの3%です。いくら「稼ぐ力」があっても労働者のところに回らない。長時間労働や不安定雇用で労働市場を荒廃させてしまったからです。

 この巨額の内部留保をいかにして暮らしと経済に還元させるか。私たちは人間らしく働けるルールをつくるべきだと主張しています。残業時間に「週15時間、月45時間」といったきちんとした法的規制をかけ、非正規社員を正社員にする規制強化をはかり、大企業と中小企業の対等な取引ルールをつくっていく。そのことで、大企業に滞留している内部留保400兆円を働く人や中小企業に回るようにしていく。内需・消費が活発になり、経済の好循環が起こると思うんです。

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 浜 いまの日本の状況をみると、私はこのままであれば、まさにおっしゃったようなメカニズムで、企業は本当は回すべきカネをため込むということをやり、稼ぐばかりで還元しない。政策がもたらす呼吸困難によって日本経済が窒息死に至る。そのプロセスに入っている気がしています。

 株式市場をみれば、日本銀行が大多数の大企業の安定大株主になっている。日銀が許容する範囲でしか株価が動かない。こんなものは株式市場とは言いません。お金がまわる市場を、中央銀行の公的な介入で死に至らしめるのは、統制経済につながるファシズム体制です。資本主義としても民主主義としても許されません。まともに機能しない経済活動のしわ寄せは人びとの生活にきます。

 志位 GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)と日本銀行のカネで株を買い支えて、主要な大企業の筆頭株主が日銀になっている。これは資本主義のメカニズムとしても…。

 浜 絶対にありえないです。

 志位 上場企業の大株主500人の保有株式時価総額をみると、この5年間で、9・9兆円から26・3兆円に2・7倍にもなっている。公的なカネで株価をつり上げ、富裕層はもうかったけど、庶民には何一ついいことはありません。

 経団連の榊原定征(さだゆき)会長は、総選挙が終わった翌日、“自民党は安定多数をとったんだから国民に痛みを伴う改革をやれ”と、「社会保障改革」と「消費税増税」の号令をかけました。国民に対しては医療も介護も生活保護もすべて削って激痛を強いながら、自分たちはぬくぬくとお金をため込み、次から次へと不祥事を起こす。「痛みを伴う改革」は大企業の経営陣にこそ必要ですよ。

 浜 まさにそうですよね。

グローバル時代の生き方を憲法はちゃんと書いている

21世紀に力持つ条文

 浜 安倍首相が変えようとしている日本国憲法は、ものすごく最先端的で21世紀的なものだと思うんですね。憲法は21世紀のグローバル時代に、人々が共にどう生きるべきかを語ってくれています。とくに前文です。「日本国民は…諸国民との協和による成果と…」という一節の「協和」は、グローバル時代の生き方のキーワードです。

 「日本国民は…平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した」という一節には、相互信頼への深い確信があります。これがなければ、簡単にヒト・モノ・カネが国境を超える時代を共に生きていくことはできません。

 もう一つ、面白いのが、「いづれの国家も、自国のことのみに専念して他国を無視してはならない」というフレーズです。これをだれに読ませるべきかは、みなさんすぐに分かりますよね。(笑)

 グローバル化時代に企業はうまく対応できていません。必死に内部留保をため込んだり、人を安上がりにこき使ったりするのも「グローバル時代は、こうしないと勝ち組になれない」という視野狭窄(きょうさく)的な認識がもたらすパニック対応です。

 しかし本来のグローバル時代の生き方はそうではない。だれも一人では生きていけない時代です。「お互いさま」「おかげさま」の関係で、支えあい、助け合う。そんなフレームをみんなでつくっていく時代なのです。

 それが日本国憲法にはちゃんと書いてある。最先端なんです。それを「古い」「時代遅れだ」といって変えようとするのは信じられない。そういう言い方こそが、今の時代が見えていないのだと思います。

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 志位 その通りですね。同じことは憲法9条にも言えると思います。9条には、「二度と戦争はしない」という決意だけでなく、「世界平和の先駆けになる」という意気込みが込められています。グローバルな広がりを持っていますよね。

 浜 そうですね。

 志位 世界をみると、紛争は平和的に解決するというのが、圧倒的な流れになっています。とくに注目している地域が二つあります。

 一つは、東南アジアです。東南アジア諸国連合(ASEAN)が、東南アジア友好協力条約(TAC)を結び、平和の地域共同体をつくっている。TACは、どんなもめごとも話し合いで解決する、武力行使は絶対にダメという条約です。かつてはいろいろな戦乱があった地域ですが、いまでは「紛争を戦争にしない」という点で徹底しています。ASEANはTACを域外諸国とも結んで世界規模のネットワークをつくっている。これはまさに9条の精神と響きあう流れです。

 もう一つは、ラテンアメリカです。ASEANと同じような中南米カリブ海諸国共同体(CELAC)という平和の地域共同体の枠組みがあります。これも9条と精神は同じだと思います。

 この二つの平和の地域共同体は、両方とも非核地帯になっています。「核兵器のない世界」をつくるという点でも、とても先進的なのです。

 昨年、私は、2回ニューヨークに行き、国連本部で行われた核兵器禁止条約の交渉会議に参加しました。ここでも、核兵器禁止条約の採択にむけて、CELACとASEANは、非同盟諸国、欧州の中立国などとともに、大きな役割を果たしました。

 世界では9条に響き合う流れが広がってきており、9条は時代の最先端をいっています。それなのに、この憲法を変えるというのは実に愚かです。絶対に許してはなりません。

 浜 その通りですね。

安倍首相のトランプ米大統領追随は異様

日米首脳 危険な関係

 志位 世界の動きで、私がたいへんに危険だと思っているのは、トランプ米大統領と安倍首相の2人の関係です。

 トランプ氏は「アメリカ・ファースト」といいますが、これは他国に手を出さないということではありません。シリア攻撃を強行した。アフガニスタンへの米軍を増派した。エルサレムをイスラエルの首都と認定した。北朝鮮に対しても「すべての選択肢はテーブルの上にある」といって先制攻撃もありうると。「自国のために世界中に手を出す」ということなのです。

 だから世界の首脳は、みんなトランプ氏と距離をもって付き合っています。メイ英首相もエルサレム首都認定では反対していますし、マクロン仏大統領もメルケル独首相も反対です。こんなときも安倍首相だけは一言も批判しない。北朝鮮問題で「すべての選択肢がテーブルにある」というトランプ氏を支持している首脳は、世界でも安倍首相だけだと思います。

 浜 安倍さんには、「いうべきことをいう」という感性はないと思いますね。何をいうべきかもわかっていない。トランプ氏の「アメリカ・ファースト」は、おっしゃる通り、ちょっかい出すところには出すという構えを含むものです。完璧に自国のことのみに専念する。だから自国の利益貫徹を邪魔する者どもはやっつける。そういう発想ですね。そして安倍さんはというと、17年1月の施政方針演説で「世界の真ん中で輝く国創り」といいました。自分が世界の太陽になるのだというわけですよ。

 志位 浜さんは、それを厳しく批判されていましたね。私は、浜さんの批判を読んで、ヒトラーが「世界の冠たるドイツ」といったことを思い出しました。

 浜 そうですね。トランプ氏は、米国が居心地よく生きていけるのであれば、何を犠牲にしてもいいと。かたや安倍さんは、日本が「世界の真ん中で輝く国創り」。お互いに自分のことしか考えない者同士の相思相愛みたいなものです。いうべきことをいいながら、深い信頼で結ばれるのが本当の友情です。それにはおとなの知性と感性が必要ですが、この2人には、それがみじんもありません。

 志位 本当にそう思います。私がいま一番心配しているのは、北朝鮮問題です。北朝鮮の核・ミサイル開発はもとより断固反対ですが、戦争だけは絶対に起こしてはなりません。ペリー元米国防長官は、核戦争になった際の被害は、韓国は朝鮮戦争の10倍に、日本は第2次世界大戦に匹敵すると警告しています。対話による平和解決が唯一の方策です。

 ところが安倍首相は「すべての選択肢はテーブルの上にある」というトランプ氏を支持すると言い切っている。万一、トランプ大統領が先制攻撃の道を選んだら日本はどうなるのか。戦争法=安保法制を発動して、戦争をいっしょにやることになる。恐ろしいことです。甚大な犠牲が出ます。

 浜 ほんとうにそうですよね。もう少しおとなになってもらわないと困ります。無理でしょうけど。

 志位 トランプ氏は衝動的、無軌道に危険なことを言います。「北朝鮮を完全に破壊する」とか。ティラーソン米国務長官などからは、ともかく対話を探るというメッセージも出されている。そんなときでも安倍首相は一貫してトランプ氏をあおっている。たいへんに悪い役割を果たしていると思いますね。

 浜 無責任ですよね。首相をやってはいけない人ですね。

 志位 お引き取りを願うしかないです。

“状況は変えられる”目の当たりにした

市民と野党の共闘

 浜 どうやって退陣していただくか。戦略を練るべきだと思います。市民との連帯、連合、共闘を盛り上げていくことがポイントだと思いますね。

 志位 市民と野党の共闘には、すでに4年におよぶ歴史があります。最初は2014年の沖縄のたたかいです。「オール沖縄」という枠組みが初めてでき、名護市長選、知事選、総選挙で勝つことができました。知事選では自民党県連幹事長を務めたこともある翁長雄志さんを候補者にして、一緒にたたかいました。このとき翁長さんがおっしゃったのが「これからは保守は革新に敬意をもち、革新も保守に敬意をもち、力をあわせていきましょう」という言葉でした。感動しました。

 15年1月の「党旗びらき」のあいさつで、“沖縄で起こったことは、全国で起こりうるという強い予感を抱きました”と話しました。この年に安保法制=戦争法案反対の空前の市民のたたかいが起こり、一人ひとりの市民が自由に声をあげて立ち上がりました。

 浜 そうでしたね。

 志位 労働組合の動員が中心だった60年安保闘争のときとも違った自発的な立ち上がりでした。その中で起きたのが「野党は共闘」のコールでした。そこで共産党もこれまでの方針を変えなければと考え、安保法制=戦争法が強行された15年9月19日に「戦争法(安保法制)廃止の国民連合政府をつくろう。そのために野党で選挙協力を行おう」と呼びかけました。この共闘は市民のたたかいが生み出したものなんです。

 浜 そうですね。

 志位 市民のたたかいが生み出した共闘ですから、進める力も市民のたたかいだと思います。とくに今は、安倍政権による9条改定を許さないという一点で空前のたたかいを起こすことが、共闘を進める一番の力になると思っています。

 浜 あの安保法制のときに起きた動きが今、ぐっと広がっていますよね。「21世紀型市民革命」が起きているとつくづく思います。市民という言葉が持っている響きを体現した運動が全国津々浦々で、9条の会だとか実にたくさんあり、艱難(かんなん)辛苦の中、生き生きと活動されています。

 志位 総選挙で希望の党が出てきたとき、そっちに行ってしまおうとする民進党の人たちを共闘の道に戻す力が働きました。これも2年間の共闘の積み重ねがあったからです。そこに自信をもって次につなげていきたいと思っています。

 浜 この間の展開は“状況は変わるんだ”ということをはっきりしめしていますよね。良識ある人ほど「この閉塞(へいそく)的な現状は変えられないのでは」と思いがちですが、状況は変えられる。不可能は可能になる。奇跡は起こる。その一端を目の当たりにしているといっても過言ではないと思うんです。

 志位 一緒に共闘をやるなかで、お互いに変わっていくというのが実感です。野党統一の候補で最初は「共闘」という言葉をいわなかった人も、当選後には「共闘の力で勝利できた」とおっしゃった方もいる。

 浜 なるほど。

 志位 共闘では、お互いに違いがあって当たり前です。しかし、たたかう中で、違いを違いとして認め合い、一致点で協力する、相手をリスペクト(尊重)する精神―おおらかな精神でやっていけば、前途は開けてくると思っています。

 浜 「おおらか」というのは、すごく良い言葉ですね。トランプさんも安倍さんも、おおらかじゃない(笑)。おおらかに互いを認め合えるということは、ゆとりがあるということ。おとなだということでもあります。よい意味で、強き者たちです。一方、闇の軍団は基本的に臆病者の集団。怖くてしょうがないから、抑えにかかる。ある意味でかわいそうな人たちです。奇跡を担われているみなさんは、あらゆる場面でたくさんの奇跡を起こしていただきたいと思っています。

 志位 共闘の問題で一つお話ししたいのは、これまでは共産党が、一部を除いて、一方的に候補者を降ろすという対応をしてきましたが、次の参院選ではあくまで相互推薦・相互支援の共闘をめざすということを決めました。そうしてこそ一番力が出る。共闘相手にもそこを乗り越えてほしいと思うんですね。

 浜 その通りだと思います。うまく力がでる共闘には互恵性がとても重要です。お互いに恩恵を施し合える形をどう築き上げていくか。それが丈夫で長持ちの大原則だと思います。丈夫で長持ちスタイルに向けて共闘のあり方も進化する。これはとても重要なポイントだと思います。進化するから深化する共闘。これは素晴らしい。

 志位 いま始まっている市民と野党の共闘は、日本の政治で初めてのものです。先ほどおっしゃられた「奇跡」を起こしながら、未踏の領域を切り開きたい。難しいことも起きてくるでしょうが、負けないで、おとなの対応で一歩一歩進んでいきたいと思っています。

「格差と貧困」深まる矛盾 世界に二つの潮流が生まれた

「99%の連帯」が大切

 浜 「21世紀の市民革命」のテーマの一つとして格差と貧困の問題があると思います。米国では1%の富裕層が全米の富の4割を独占しています。日本は蓄積された富の大きさでみても、とてつもなく豊かな経済社会ですよね。そのなかで相対的貧困率は先進国とは思えない高さです。この「豊かさのなかの貧困」、富の偏在問題をどう解消していくのか、対応していかなければならないと思います。

 志位 今の日本社会を分析してみると、富裕層に富が集中し、貧困層が拡大しているだけでなく、所得が500万~1千万円ぐらいの中間層も減っています。安倍政権の5年間で実質賃金は年間12万円も減り、1世帯当たりの家計消費も年間20万円も減った。中間層がどんどんやせ細り、疲弊していっているのが、今の日本社会です。

 米国と一緒です。中間層の疲弊がはっきり出て、そのゆがみがトランプ大統領の誕生につながった。日本も同じような構造になってきていると思いますね。日本でも「99%」という結集はできると思うんです。

 浜 そうですね。ご指摘のように、いまや日本にも「貧困の中の豊かさ」、つまり多数が貧困の中で一握りの人びとの豊かさが突出する姿に近づいているのだとすれば、確かに、結集がむしろやりやすくなってきているのかもしれない。ただそうであればあるほど、日本版トランプ大統領を産み落とすという方向にいかないようにしないと。疲弊する中間層がトランプ氏を産み落とした。日本でもそうした偽ポピュリズムの横行跋扈(ばっこ)や国粋主義への心酔の拡散が起きないようにするためには、どうするか。そこが切迫したテーマになってきますね。

 志位 そのためにも「99%の連帯」が大切だと思うんです。米国ではトランプ氏が出てきたけど、「民主的社会主義者」を名乗るサンダース上院議員も大統領選挙で大健闘した。イギリスでも、ジェレミー・コービンさんという「社会主義者」を名乗る最左派の政治家がイギリス労働党の党首になった。スペインでは、「ポデモス」という左派系の新政党が躍進しています。ギリシャでは「シリザ」(急進左派連合)が政権についています。トランプ的な排外主義の流れと、本当の意味での人民主義の流れの両方が出てきています。後者との連帯を大いに強めたいと考えています。

 浜 そうですね。そこに救いがある。その意味で日本においては、いままさに「市民と野党の共闘」が人間性を尊重する人本主義に向かう道を開いてくれるはずです。

 志位 日本での共闘も人民の権利を守りたたかう国際的な流れの中にある。自らが担い手となって民主主義をつくっていく「参加型の民主主義」という世界の流れに大いに学んでいきたいですね。

浜さんは「真のコミュニズムを実現できれば、21世紀は打開の世紀となるかも」と書いてますね

未来社会を語り合う

 志位 浜さんは「真のコミュニズムを実現させることができれば、21世紀は人類にとって打開の世紀となるかもしれない」(「東京」17年8月13日付)とお書きになっていますね。

 私たちがめざす未来社会とは、生産手段を個々の資本家の手から社会の手に移すことで、生産の目的を「利潤第一」から「社会と人間の発展」に移す。この変革によって労働時間を抜本的に短縮し、すべての人間に自由で全面的な発展を保障する。各人が自由にできる時間を使い、自らの能力を全面的に開花させる。そのことによって社会全体がさらに力をえて発展し、ますます労働時間が短くなるという好循環が生まれる。マルクスは、未来社会について、「各人の自由な発展が、万人の自由な発展の条件であるような一つの結合社会」(『共産党宣言』)と言いましたが、この「自由な発展」が一番のカギなんです。

 若い人にその話をすると「ぜひつくりたい」となります。長時間・使い捨て労働でひどい目にあっていますから。「人間の自由」「人間の解放」をとことん突き詰めたのが、「真のコミュニズム」だと私は思っているんです。

 浜 そうですね。コミュニティー(共同体)とは本来そういうもののはずですよね。「魂の解放を得た人びとの共存の場所」であって、「解き放たれた知性が輝く場所」ということですね。

 志位 浜さんがいうと文学的だ(笑)。コミュニティーもコミュニズムも語源はラテン語で「コムニス」(共同)。私はトーク集会で「コミュニティーセンターは直訳すると『共産センター』になる」と話しています。(笑)

 浜 グローバリズム時代の本当の生き方ではないかと思います。それこそ「日本国憲法の前文には『真のコミュニズム』が語られている」と安倍首相にいってやったら、ビビるでしょうね。(笑)

2018年どう臨む

 志位 浜さんの著書を読むと、言葉に非常に敏感で、批判的によく吟味されていて共感を覚えます。例えば「アベノミクス」という用語をはやらせてはいけないということで「アホノミクス」といわれてますね。“あれは経済学じゃない”とおっしゃりたいんだと思います。「戦争法」を「平和安全法制」といい、「共謀罪」も「テロ等準備罪」と言い換える。言葉を置き換えて国民を欺くのが彼らの特徴です。辞典を作ったらいいと思うんですよね。

 浜 『アホノミクス用語辞典』(笑)

 志位 浜さんは言葉の問題を敏感にズバッとつかみだし、批判する。みていて痛快です。私たちもそういう発信力をもっと身につけ、ごまかしを打ち破っていく必要があります。

 浜 国会審議や討論会で政治家が使う言葉と論理の「品質」劣化が著しい。耳をふさぎたくなるレベルです。知性に裏打ちされた議論ができる中身をお持ちなのは、共産党だと思います。「品質」を管理する人には資格が必要です。“無資格者”がやってはいけない。共産党は資格を持った「品質管理責任者」として政治の知的だらしなさをせき止めてほしいですね。相手が相手ですから難しいことではありますが。(笑)

 志位 政治の世界では、正確なファクト(事実)、ロジック(論理)、ワード(言葉)を使って、立場は違っても誠実な議論をするべきだと思います。小泉(純一郎元首相)さん以降、まともな議論が難しくなり、安倍さんになってますます困難を極めています。(笑)

 浜 完全崩壊ですね。(笑)

 志位 こちらが議論のレベルを下げれば国民の政治不信を招きます。「品質管理」をしっかりやって、日本の政治を良くしていくのが私たちの仕事だと思っています。

 浜 私の今年の抱負は「アホノミクス」を一段と普及させ、「アベノミクス」という用語を人びとに忘れてもらうことですね(笑)。そして、安倍さんご本人も志位さんとの国会論戦で「アホノミクス」とポロッといってしまう(笑)。その実現をめざして頑張ります。(笑)

 志位 もし安倍さんがそう答弁したら、いまその用語の頭には「ど」がついているんですよって、付け加えますよ。(笑)

 浜 昨年は「市民と立憲野党の共闘」という言葉が生まれ、「市民」という概念が社会の前面に出てきた。今年はこの「市民」という言葉を掲げ、「21世紀の市民革命」がさらに広がり深まっていくことに、どう貢献できるかを追求していきたい。そして「アホノミクス」を徹底的にやっつけ倒していきます。(笑)

 志位 今年は全国的選挙が想定されない年になると思います。私たちとしては、憲法9条改定を食い止め、国会発議を絶対に阻止する。そのためにも安倍9条改憲に反対する3000万人署名をやり遂げたい。「働かせ方大改悪」をはじめとする暮らし破壊の暴走を止め、日本の政治をまともな方向に切り替えるために、いろいろな分野でたたかいを発展させていきたいと思っています。

 共産党自身の努力としては、「共産党が好きだから支持する」という積極的支持者を広げていきたい。私たちがめざしている未来社会を丁寧に伝えていきたいです。

 浜 「真のコミュニズム」ですね。(笑)

 志位 そうです(笑)。そうして19年の参院選と統一地方選で新しい躍進を勝ち取りたい。そのために頑張りたいと思います。ありがとうございました。

 浜  ありがとうございました。


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