2016年10月27日木曜日

161027東京新聞 TPP強行に不安の声 北海道・宮崎で地方公聴会

TPP強行に不安の声 北海道・宮崎で地方公聴会

 環太平洋連携協定(TPP)の承認案と関連法案を審議する衆院特別委員会は二十六日、国民の声を聞く地方公聴会を北海道と宮崎県で開いた。出席した農家や消費者の代表たちからは、月内の衆院通過を急ぐ政府・与党への批判が相次いだ。国会の審議が不十分との声が多く、生活に直結するTPPを巡る国民の不安が解消されていない状況が浮き彫りとなった。 (矢野修平、村上一樹)
 審議を急ぐ政府に対して、山居忠彰・北海道農民連盟書記長は「北海道では八月の台風で甚大な被害を受けた。その精神的不安がある中で、TPP承認案を強行採決することには断固反対だ」と話した。
 藤原宏志・宮崎大学名誉教授も「(公述人の)四人の意見を聞いただけで国民の声とするのか。もっと時間をかけて説明する責任が政府と国会にはある」と主張。宮崎県都城市でNPO法人を運営する蒲生芳子さんも「食という大切な話を、待ったなしのような状況で数で押し切っていいのか」と呼び掛けた。
 TPPの影響について宮崎県高千穂町の公聴会では、地元で畜産農家を営む興梠哲法(こうろきてつのり)さんが「攻めの農業ばかり強調するが、攻めよりも守りが課題。農村を守る約束をしてほしい」と要望。地元JA管内の農業就業者の平均年齢は六十七歳。「このままTPPが締結されたら、どんな時代がくるのか。自信を持って後継者に引き継ぐことができる価格補償制度の拡充やセーフティーネットの構築を」と求めた。
 一方、売上高海外比率の高い北海道の東和電機製作所専務取締役の浜出滋人氏は「TPPの影響で当社の市場拡大が望める」として期待を表明した。
 地方公聴会の会場となった札幌市中央区のホテル周辺では、道民ら約百人が集まり、横断幕やプラカードを掲げながら「食の安全を奪うな」などとシュプレヒコールを上げた。同市北区の主婦平田なぎささん(55)は「TPPは日本全体の問題なのに、札幌と宮崎の二カ所しか公聴会を開かず、ごく一部の人しか入れない」と非難した。
 宮崎県高千穂町の公聴会を傍聴した宮崎市のコメ農家、小田治さん(88)は「今日は畜産や食の安全が中心だったが、コメに限っても輸入米の価格偽装など問題は山積み。これで国民の声が届いたとは思えない」と話した。


0 件のコメント:

コメントを投稿