刻む2015(1)シールズを追って 絶望の先に見た希望
【記者の視点】デジタル編集部・田崎 基
公開:2015/12/15 09:51 更新:2016/09/16 23:54
神奈川新聞
http://www.kanaloco.jp/sp/article/140314/1/
2015年9月19日午前3時ごろの国会前。安保法制が成立した後も抗議の声は続いた
一回り以上も年の離れた若者たちの言葉に、私はいつだって身につまされてきた。
この夏、安全保障関連法案をめぐる反対運動のうねりの中心にいた学生団体「SEALDs」(シールズ、自由と民主主義のための緊急行動)。その言葉とは、例えば、法律が成立した9月19日未明、国会前でマイクを握り続けた中心メンバー、奥田愛基さん(23)=明治学院大4年=の叫びだ。
「言いたいのは二つ。こんな憲法違反な法案は廃案しかないってこと。主権在民って言葉を信じられるなら、もう一度何かができる。諦めてねーぞ」
冷たい雨が落ちていた。不思議と体は火照っていた。「諦めない」と小声で反芻(はんすう)しながら、胸の内奥でうずみ火がともり続けているのを私は感じていた。
2015年9月18日夜、国会前で声を上げる奥田愛基さん(中央右)。日付が変わり19日未明に安保法制は成立した=国会前
それから3カ月。寒風吹く師走の休日、12月6日、日比谷野外音楽堂(東京都千代田区)で開かれた集会でも、同じだった。
壇上で二十歳の女子大生がマイクを握っていた。横浜在住、明治学院大1年のくるみさん。聴衆を見渡し、語り掛けた。
「本当の絶望は、私たちが声を上げなくなったときにやってきます。そうであるなら、ここから私が見ている光景は希望そのものでしょう」
「民主主義は止まらない。それを望む人たちがいる限り」と書かれた横断幕を手に東京・銀座の街を歩くデモ参加者=2015年12月6日、東京都中央区
心が勇み立ち、ぶるっと体が震える。時になえそうになる気持ちをそうして奮い立たせるため、その場に足を運んでいるのかもしれない、と思った。そうしてこの日もパソコンから原稿と写真と動画を送った。
人 質
ちょうど1年前の2014年12月14日、深夜の編集局で私は徒労感に深いため息をついていた。NHKテレビの開票速報が自民、公明両党の圧勝を伝えていた。与党で衆院の議席の3分の2超を獲得する勢いだという。
唐突に、しかし、したたかな計算の上に仕掛けられた師走の解散総選挙。安倍政権が振った旗は「アベノミクス」だった。
経済の入門書を手にエコノミストの講演会へ出かけた。知るほどにアベノミクスの怪しさが浮かび上がってきた。正面から安倍政権の経済政策に否定的な論陣を張るべきだと思った。記事では「アベノミクスに成果はない。これ以上できることもない。物価は上がり、賃金は上がらず、家計は圧迫され続ける」と書いた。
選挙結果を目の当たりにし、政権の狡猾(こうかつ)さを思い知らされる。政治が経済を人質に取っている、と言ったのは、県内の1部上場企業の幹部だった。
「まるで恫喝(どうかつ)だ。いま安倍政権を倒せば、カンフル剤のような『異次元の金融緩和』が遮断され、日本経済は一瞬にして崩れる。安倍政権は意図して後戻りのできない経済施策を打ち、大企業から選択肢を奪い、政権を維持している。『この道しかない』と」
そして年が明けると、ほとんど経済施策が語られることはなかった。私たちがしつこく問い続けることもなかった。
連 敗
再び「経済」の御(み)旗(はた)が持ち出されたのは安保関連法成立から5日後の9月24日だった。「アベノミクスの第2ステージ」だといい、「新三本の矢」だという。「1億総活躍」「GDP600兆円」と大仰な言葉も並び立てられた。
言葉の軽薄さに憤り、嘆き、落胆した。それはアベノミクスに固執し、しかし、本質的で有効な批判を加え切れなかったことへのいら立ちの裏返しといえた。
再び踊らされるのか。安保法案の審議中は低落傾向だった安倍内閣の支持率はすでに底を打ち、いま持ち直しに向かっている。またしても経済を人質にして。そうであるなら、景気が上向かない方が政権にとっては好都合ではないか、と暗然とした気持ちになる。消費増税の軽減税率をめぐる与党合意が来夏の参院選をにらんでのものであることは明らかだ。
治安維持法になぞらえられる特定秘密保護法、憲法9条を骨抜きにする集団的自衛権の行使容認、米国の戦争に加わることへの道を開く安保関連法と、安倍政権は着実に歩を進める。神奈川新聞だけでなく、朝日新聞や毎日新聞、東京新聞と、リベラルを自認し、現政権に批判的なメディアは負け続けだ。
いや、そもそも戦っているか、と自問する。結果次第で憲法改正が現実味を帯びてくる。それは権力の側が望む改正だ。その危機感がどれだけ私たちにあるだろうかと、わが胸のうちをのぞき込む。
2016年9月22日木曜日
160919「憲法 まだ死んでない」 元SEALDs創設メンバーが語る安保法成立1年
「憲法 まだ死んでない」 元SEALDs創設メンバーが語る安保法成立1年
国会前で大規模抗議集会
http://www.kanaloco.jp/sp/article/200349
公開:2016/09/19 20:49 更新:2016/09/19 21:33
神奈川新聞
多くの反対意見や違憲との指摘を受けつつも強行採決された安全保障関連法。19日で成立から丸1年を迎えた。東京・千代田区の国会前周辺では大規模な抗議行動が行われ、元SEALDsの創設メンバー、林田光弘さん(24)=横浜市=が登壇し、「この国の憲法はまだ死んでいない」と訴えた。発言全文を紹介する。
安全保障関連法の成立から丸1年、国会前で行われた大規模抗議集会で登壇し「嘆くのは早過ぎる!一度だって諦めたことはない」と話す元SEALDsの林田光弘さん=2016年9月19日、東京・千代田区
「自由と民主主義」守るために
安全保障関連法の強行採決から1年がたったきょう、(主催団体の)総がかり(行動実行委員会)の皆さんを始め、市民が作り上げた、この国会前行動にお招きいただいたこと大変うれしく思います。1年間、日本国憲法にある「不断の努力」を行い続けた皆さんの行動一つ一つに、心から敬意を表します。
SEALDsは8月15日を持って解散しました。結成から解散に至るまで、多くの方々に支えていただきました。この場を借りてあらためて感謝申し上げます。
私たちは、個人の集合体としてSEALDsを作りました。そして、SEALDsのメンバーとして行動する中でも、わたし個人の思いを最も尊重しながら行動しました。SEALDsという集合体はなくなりましたが、自由と民主主義を守るために、それぞれの現場で、私たちは行動を続けています。
安全保障関連法の成立から丸1年、国会前で行われた大規模抗議集会の参加者ら=2016年9月19日、東京・千代田区
重ねる「詭弁(きべん)」と「ずさん」
さて、強行採決からのこの1年間を振り返りたいと思います。採決後、安倍首相は「国民の理解を得られるよう説明を続けていく」と約束されていました。これまで違憲であった集団的自衛権の行使容認の根拠は、いまだに私たち市民に、国民に説明されてません。
法律を作る理由としていた「日米関係の強化による抑止力の向上」も、機能するどころか、むしろ東アジアの状況は悪化しています。違憲の立法を違憲のまま押し通し、憲法をないがしろにしたこと。法を作ることによって抑止力が高まるという詭弁。これは改めて、政府の説明責任を追及しなければなりません。
残念ながら、政府は説明責任を果たすことなく、具体的にこの法律の運用を始めています。国連平和維持活動(PKO)での「駆け付け警護」のための訓練も始まりました。駆けつけ警護による自衛隊のリスクは十分に議論されていません。
安全保障関連法の成立から丸1年、国会前で行われた大規模抗議集会で登壇し「嘆くのは早過ぎる!一度だって諦めたことはない」と話す元SEALDsの林田光弘さん=2016年9月19日、東京・千代田区
戦場という生死の境目に立たされる自衛官の命を奪われるリスク、命を奪うリスク、その両方に対して、現政権の対応はあまりに杜撰(ずさん)です。
このままでは現場の自衛官が無責任な政府のもと、危険な目に遭うことなります。この法案について考えることは言うまでもなく、一つの「いのち」について考えることです。向き合うことです。
具体的な細かい議論も当然重要です。しかし、私たちが忘れてはいけないのは、この法律が違憲であるということです。違憲の法律は違憲なのであり、具体的な議論の前に見直すべきは、違憲のまま放置されているこの現状についてです。
憲法は私たちのこの国の根幹です。憲法が定めた不戦の誓いを生かしながら、私たちがどうやって平和を守るのか、築くのか、改めて考えていきましょう。「武力ではなく、対話による安全保障」とは、具体的にどのようなものか。包括的に議論して提案していきましょう。そうすれば東アジアに対する外交や安全保障のいまの現状は、大きく方向性が変わっていくはずです。
さて、民進党に新たなリーダーが選ばれました。野党共闘は安全保障関連法に、そして安倍政権にNOを突きつけるための重要なものです。民進党には野党共闘を引き続き維持していただきたいと思います。
安全保障関連法の成立から丸1年、国会前で行われた大規模抗議集会で登壇し、手を握り合う野党幹部ら=2016年9月19日、東京・千代田区
「1度だって諦めていない」
私は、市民が現状に嘆くには、早すぎると思っています。私たちにはここに集まった皆さんのように、共に立ち上がる仲間がいます。そして何よりこの国の憲法はまだ死んでいない。
私たちは憲法を生かすことで闘えます。路上にでて意思を示しましょう。1票を行使しましょう。思考停止に至ることなく考え続けましょう。野党共闘を推し進めましょう。私たちはまだ1度だって諦めていない。何度だって言いましょう。終わってるならまた始めればいい。
国会前で大規模抗議集会
http://www.kanaloco.jp/sp/article/200349
公開:2016/09/19 20:49 更新:2016/09/19 21:33
神奈川新聞
多くの反対意見や違憲との指摘を受けつつも強行採決された安全保障関連法。19日で成立から丸1年を迎えた。東京・千代田区の国会前周辺では大規模な抗議行動が行われ、元SEALDsの創設メンバー、林田光弘さん(24)=横浜市=が登壇し、「この国の憲法はまだ死んでいない」と訴えた。発言全文を紹介する。
安全保障関連法の成立から丸1年、国会前で行われた大規模抗議集会で登壇し「嘆くのは早過ぎる!一度だって諦めたことはない」と話す元SEALDsの林田光弘さん=2016年9月19日、東京・千代田区
「自由と民主主義」守るために
安全保障関連法の強行採決から1年がたったきょう、(主催団体の)総がかり(行動実行委員会)の皆さんを始め、市民が作り上げた、この国会前行動にお招きいただいたこと大変うれしく思います。1年間、日本国憲法にある「不断の努力」を行い続けた皆さんの行動一つ一つに、心から敬意を表します。
SEALDsは8月15日を持って解散しました。結成から解散に至るまで、多くの方々に支えていただきました。この場を借りてあらためて感謝申し上げます。
私たちは、個人の集合体としてSEALDsを作りました。そして、SEALDsのメンバーとして行動する中でも、わたし個人の思いを最も尊重しながら行動しました。SEALDsという集合体はなくなりましたが、自由と民主主義を守るために、それぞれの現場で、私たちは行動を続けています。
安全保障関連法の成立から丸1年、国会前で行われた大規模抗議集会の参加者ら=2016年9月19日、東京・千代田区
重ねる「詭弁(きべん)」と「ずさん」
さて、強行採決からのこの1年間を振り返りたいと思います。採決後、安倍首相は「国民の理解を得られるよう説明を続けていく」と約束されていました。これまで違憲であった集団的自衛権の行使容認の根拠は、いまだに私たち市民に、国民に説明されてません。
法律を作る理由としていた「日米関係の強化による抑止力の向上」も、機能するどころか、むしろ東アジアの状況は悪化しています。違憲の立法を違憲のまま押し通し、憲法をないがしろにしたこと。法を作ることによって抑止力が高まるという詭弁。これは改めて、政府の説明責任を追及しなければなりません。
残念ながら、政府は説明責任を果たすことなく、具体的にこの法律の運用を始めています。国連平和維持活動(PKO)での「駆け付け警護」のための訓練も始まりました。駆けつけ警護による自衛隊のリスクは十分に議論されていません。
安全保障関連法の成立から丸1年、国会前で行われた大規模抗議集会で登壇し「嘆くのは早過ぎる!一度だって諦めたことはない」と話す元SEALDsの林田光弘さん=2016年9月19日、東京・千代田区
戦場という生死の境目に立たされる自衛官の命を奪われるリスク、命を奪うリスク、その両方に対して、現政権の対応はあまりに杜撰(ずさん)です。
このままでは現場の自衛官が無責任な政府のもと、危険な目に遭うことなります。この法案について考えることは言うまでもなく、一つの「いのち」について考えることです。向き合うことです。
具体的な細かい議論も当然重要です。しかし、私たちが忘れてはいけないのは、この法律が違憲であるということです。違憲の法律は違憲なのであり、具体的な議論の前に見直すべきは、違憲のまま放置されているこの現状についてです。
憲法は私たちのこの国の根幹です。憲法が定めた不戦の誓いを生かしながら、私たちがどうやって平和を守るのか、築くのか、改めて考えていきましょう。「武力ではなく、対話による安全保障」とは、具体的にどのようなものか。包括的に議論して提案していきましょう。そうすれば東アジアに対する外交や安全保障のいまの現状は、大きく方向性が変わっていくはずです。
さて、民進党に新たなリーダーが選ばれました。野党共闘は安全保障関連法に、そして安倍政権にNOを突きつけるための重要なものです。民進党には野党共闘を引き続き維持していただきたいと思います。
安全保障関連法の成立から丸1年、国会前で行われた大規模抗議集会で登壇し、手を握り合う野党幹部ら=2016年9月19日、東京・千代田区
「1度だって諦めていない」
私は、市民が現状に嘆くには、早すぎると思っています。私たちにはここに集まった皆さんのように、共に立ち上がる仲間がいます。そして何よりこの国の憲法はまだ死んでいない。
私たちは憲法を生かすことで闘えます。路上にでて意思を示しましょう。1票を行使しましょう。思考停止に至ることなく考え続けましょう。野党共闘を推し進めましょう。私たちはまだ1度だって諦めていない。何度だって言いましょう。終わってるならまた始めればいい。
2016年9月20日火曜日
160920「辺野古判決」社説、総崩れ!
「辺野古判決」社説、総崩れ!
http://blog.goo.ne.jp/satoru-kihara/e/a9d913ade40844664e147b3b09ddc50b
16日の「辺野古判決」(福岡高裁那覇支部、多見谷寿郎裁判長)に対する11紙の社説を読みまた(沖縄タイムス、琉球新報、朝日、毎日、読売、日経、中国、北海道、信濃毎日、神戸、京都。いずれも17日付。産経、東京新聞はこの問題での社説なし)。
そこには、「辺野古問題」にとどまらず、米軍基地、「沖縄」に対する「本土」・日本人の考え方・姿勢が象徴的に表れています。
各紙の社説は(沖縄県紙も含め)、まさに総崩れ状態です。肝心な問題がまったく触れられていないからです。それは2つあります。
第1に、日米安保条約(日米軍事同盟)です。
前回のブログで述べたように、今回の不当判決の核心は、憲法より日米安保条約を上に置いたことです。民意(国民主権)・基本的人権の蹂躙、地方自治圧殺もすべてそこに根源があります。今回の判決に限らず、「基地・沖縄問題」すべての元凶がそこにあります。
日米安保をどう考えるのか。それを抜きに「判決」の論評はできないはずです。
ところが、11紙の中で日米安保(条約・体制)に触れた社説はたった1紙しかありませんでした。その他は(タイムス、新報も含め)、「日米安保」という言葉さえ出て来ません。これは驚くべきことです。
1紙とは京都新聞で、こう述べています。「日米安保を享受しながら、沖縄に基地を押しつけている現状に目を向けなければならない」(後述するようにこれも問題のある記述です)。
日本のメディアが、すべて日米安保=軍事同盟を肯定し擁護していることは周知の事実です。しかし、それを固定化させることは許されません。具体的な事実(局面)で、日米安保を問い直すことはメディアの責任ではないでしょうか。今回の「辺野古判決」はまさにその必要がある局面です。
にもかかわらず「日米安保」に一言も触れない。こうしたメディア状況が「日米安保条約支持=80%」という「世論」を作り出していると言っても過言ではありません。その責任は、沖縄県紙も含め、きわめて大きいと言わねばなりません。
日米安保に触れないことは、2つ目の問題と密接に関係しています。
それは、各紙は、全面賛美の「読売」を除いて、すべて「判決」を批判するものの、ではどうすべきか、解決の道は何なのかについては、(県紙を除いて)どの新聞も口をつぐんでいることです。
「本土紙」の論調は、「それでも対話しかない」(「朝日」)、「解決には対話しかない」(「毎日」)、「協議で解決策見いだせ」(「中国」)など、判を押したように「対話・協議」を主張し、それが「解決」への道であるかのように言います。
しかし、これほど無責任で偽善的な主張はありません。「対話・協議」といえば誰からも否定・批判はされない。「県民の気持ちを踏みにじる」(「毎日」)と「判決」を批判すれば沖縄に寄り添っているかのように聞こえる。しかしそれだけではなんの解決にもなりません。
「対話・協議」してどうしようというのか。結局、普天間基地はどうするのか。それを示さなければ社説ではありません。
「『辺野古に基地を建設する以外にない』と(判決がー引用者)言い切ったことに、大きな疑問を感じる」(「朝日」)と言う。では基地は辺野古以外、つまり「本土」に移せと言うのかと思えばそれも言わない。「本土へ移せ」と言えば「本土」の読者の反発を招くからです。あるいはそもそもそうすべきだとは考えていない。
唯一「日米安保」に触れた京都新聞も、「沖縄に基地を押し付けている現状」を指摘しながら、ではどうするのかは言わない。
こうしたメディアの無責任・偽善の根源は、日米安保=軍事同盟体制を肯定していることにあります。
日米安保を肯定するから「普天間基地は無条件で撤去せよ」とは言えない。しかし沖縄に米軍基地が集中している「不正義」は公然と是認できない。かといって「基地は本土へ」とは言えない(言わない)。その逃げ道が「対話・協議」です。
「政府が直視すべきは、県民の理解がなければ辺野古移設は困難だし、基地の安定的な運用は望み得ないという現実だ」(「朝日」)とは、「対話」は「辺野古移設・米軍基地の安定的な運用」のためという本音を示すものです。
日米安保を肯定するなら、したがって「基地の無条件撤去」を主張しないなら、そして沖縄への基地集中を是認しないなら、「基地は本土へ」と言うべきでしょう。そこをあいまいにしたまま「対話・協議」でお茶を濁して逃げるのは、日米安保の犠牲を沖縄に押し付けて「自分とは関係ない」と思っている(思おうとしている)「本土」(日本人)の差別性、植民性を象徴的に示すものです。
しかし、「基地を本土へ」移しても根本的解決にならないことは明白です。本質的な解決のためには、日米安保条約を廃棄して日米安保=軍事同盟体制を打破し、日本から米軍基地を一掃する以外にありません。
その世論を大きく広げていくことが私たちの歴史的責任ではないでしょうか。
http://blog.goo.ne.jp/satoru-kihara/e/a9d913ade40844664e147b3b09ddc50b
16日の「辺野古判決」(福岡高裁那覇支部、多見谷寿郎裁判長)に対する11紙の社説を読みまた(沖縄タイムス、琉球新報、朝日、毎日、読売、日経、中国、北海道、信濃毎日、神戸、京都。いずれも17日付。産経、東京新聞はこの問題での社説なし)。
そこには、「辺野古問題」にとどまらず、米軍基地、「沖縄」に対する「本土」・日本人の考え方・姿勢が象徴的に表れています。
各紙の社説は(沖縄県紙も含め)、まさに総崩れ状態です。肝心な問題がまったく触れられていないからです。それは2つあります。
第1に、日米安保条約(日米軍事同盟)です。
前回のブログで述べたように、今回の不当判決の核心は、憲法より日米安保条約を上に置いたことです。民意(国民主権)・基本的人権の蹂躙、地方自治圧殺もすべてそこに根源があります。今回の判決に限らず、「基地・沖縄問題」すべての元凶がそこにあります。
日米安保をどう考えるのか。それを抜きに「判決」の論評はできないはずです。
ところが、11紙の中で日米安保(条約・体制)に触れた社説はたった1紙しかありませんでした。その他は(タイムス、新報も含め)、「日米安保」という言葉さえ出て来ません。これは驚くべきことです。
1紙とは京都新聞で、こう述べています。「日米安保を享受しながら、沖縄に基地を押しつけている現状に目を向けなければならない」(後述するようにこれも問題のある記述です)。
日本のメディアが、すべて日米安保=軍事同盟を肯定し擁護していることは周知の事実です。しかし、それを固定化させることは許されません。具体的な事実(局面)で、日米安保を問い直すことはメディアの責任ではないでしょうか。今回の「辺野古判決」はまさにその必要がある局面です。
にもかかわらず「日米安保」に一言も触れない。こうしたメディア状況が「日米安保条約支持=80%」という「世論」を作り出していると言っても過言ではありません。その責任は、沖縄県紙も含め、きわめて大きいと言わねばなりません。
日米安保に触れないことは、2つ目の問題と密接に関係しています。
それは、各紙は、全面賛美の「読売」を除いて、すべて「判決」を批判するものの、ではどうすべきか、解決の道は何なのかについては、(県紙を除いて)どの新聞も口をつぐんでいることです。
「本土紙」の論調は、「それでも対話しかない」(「朝日」)、「解決には対話しかない」(「毎日」)、「協議で解決策見いだせ」(「中国」)など、判を押したように「対話・協議」を主張し、それが「解決」への道であるかのように言います。
しかし、これほど無責任で偽善的な主張はありません。「対話・協議」といえば誰からも否定・批判はされない。「県民の気持ちを踏みにじる」(「毎日」)と「判決」を批判すれば沖縄に寄り添っているかのように聞こえる。しかしそれだけではなんの解決にもなりません。
「対話・協議」してどうしようというのか。結局、普天間基地はどうするのか。それを示さなければ社説ではありません。
「『辺野古に基地を建設する以外にない』と(判決がー引用者)言い切ったことに、大きな疑問を感じる」(「朝日」)と言う。では基地は辺野古以外、つまり「本土」に移せと言うのかと思えばそれも言わない。「本土へ移せ」と言えば「本土」の読者の反発を招くからです。あるいはそもそもそうすべきだとは考えていない。
唯一「日米安保」に触れた京都新聞も、「沖縄に基地を押し付けている現状」を指摘しながら、ではどうするのかは言わない。
こうしたメディアの無責任・偽善の根源は、日米安保=軍事同盟体制を肯定していることにあります。
日米安保を肯定するから「普天間基地は無条件で撤去せよ」とは言えない。しかし沖縄に米軍基地が集中している「不正義」は公然と是認できない。かといって「基地は本土へ」とは言えない(言わない)。その逃げ道が「対話・協議」です。
「政府が直視すべきは、県民の理解がなければ辺野古移設は困難だし、基地の安定的な運用は望み得ないという現実だ」(「朝日」)とは、「対話」は「辺野古移設・米軍基地の安定的な運用」のためという本音を示すものです。
日米安保を肯定するなら、したがって「基地の無条件撤去」を主張しないなら、そして沖縄への基地集中を是認しないなら、「基地は本土へ」と言うべきでしょう。そこをあいまいにしたまま「対話・協議」でお茶を濁して逃げるのは、日米安保の犠牲を沖縄に押し付けて「自分とは関係ない」と思っている(思おうとしている)「本土」(日本人)の差別性、植民性を象徴的に示すものです。
しかし、「基地を本土へ」移しても根本的解決にならないことは明白です。本質的な解決のためには、日米安保条約を廃棄して日米安保=軍事同盟体制を打破し、日本から米軍基地を一掃する以外にありません。
その世論を大きく広げていくことが私たちの歴史的責任ではないでしょうか。
東京新聞 安保法1年 言わねばならないこと 米国はまだ満足していない 外交・弁護士・猿田佐世さん
安保法1年 言わねば ならない こと 米国は まだ満足して いない 外交・ 弁護士・ 猿田佐世さん

北朝鮮はこの一年で多数の弾道ミサイルを日本周辺に撃ち込み、核実験を強行した。安倍晋三首相は安全保障関連法の成立で抑止力が高まると、再三、主張してきたのに、実際には機能していない。説明責任を果たすべきだ。軍事に偏らず、金、人、時間などを外交に振り向けることで平和を実現するアプローチをおろそかにしてはならない。
首相は「米国を振り向かせる」ことを外交指針の中心に据えている。安保法を成立させたのも、日米同盟の深化を目的にしていた。
米国は日本に期待していることが一歩一歩進んでいると評価はしているが、満足してはいない。これからは具体的に安保法を運用し、軍事行動に慣れるよう求めてくるだろう。「世界の警察」の地位を保つための戦略の一部を、日本が担ってくれればありがたいと思っているからだ。
安保法制定は中韓両国との緊張を高めたが、安倍政権は一時期に比べてアジア外交に慎重な姿勢で取り組んでいる。韓国とは旧日本軍の慰安婦問題を巡って合意し、中国とは首脳会談を行い、偶発的な軍事衝突を避ける仕組みづくりで一致するなどした。これも、日本と中韓の過度な摩擦を嫌う米国の意向に沿おうとした側面があるのだろう。
ただ、米国と「両思い」になりたいという日本の姿勢には懸念も付きまとう。例えば、中東諸国の人たちは米国に反感を持つ一方、日本に対しては原爆を落とされながらも戦後に発展を遂げた「平和国家」という好意的なイメージを抱いてきた。今後は、米国陣営で戦争する国だという認識を持たれかねない。
<さるた・さよ> 1977年生まれ。日米で弁護士登録。国際人権問題に取り組む。シンクタンク「新外交イニシアティブ(ND)」事務局長。日米両国で政策提言、ロビー活動を展開する。
2016年9月19日月曜日
160919 辺野古判決各紙社説 北野ゆりさんフェイスブックよりシェア
辺野古判決各紙社説 北野ゆりさんフェイスブックよりシェア
goo.gl/y8gaNJ
【辺野古訴訟判決に関する各紙社説】※日経と北國追記載しました
昨朝のサンデーモーニングの5人のコメンテーターが全て辺野古訴訟判決に疑問を呈する図に「サンモニは偏向報道」という保守系の声が続出です。が、地方紙を含む新聞各社の社説を読み比べたところ、ほぼ一社を除いて皆が政権と司法に批判や疑問を呈する格好に。
国を擁護する一社、これを偏向と呼ばずに何を偏向と呼ぶのやら。その一社とは言わずもがな、こちら。
【読売新聞】(9/17)「「辺野古」国勝訴 翁長知事の違法が認定された」http://sp.yomiuri.co.jp/editorial/20160916-OYT1T50146.html
判決を尊重するべきという立場ですが、一方的な押し付けはと理解が得られていないことについて但し書きを加えたのが、北國。
【北國新聞】(9/17)「辺野古で国側勝訴 訴訟合戦の再燃避けたい」「むろん、国の専権事項である国防政策も地域住民の理解が欠かせず、一方的に押しつけることがあってはならないが、自治体より国の政策判断が優先されるべきことは沖縄県側も認めなければならないのではないか。」http://editorial.x-winz.net/ed-25804
なんだ、私たち、圧倒的に多数派なんですね、新聞社社説上では。
【北海道新聞】(9/17)「「辺野古」国勝訴 沖縄の声は変わるまい」「そもそも国と県が3月に受け入れた同じ福岡高裁那覇支部の和解勧告には、国と地方を「対等・協力の関係」とした1999年の地方自治法改正に触れた上で、こう書いてある。
「本来あるべき姿としては、沖縄を含めオールジャパンで最善の解決策を合意して、米国に協力を求めるべきである」
http://editorial.x-winz.net/ed-25868
【岩手日報】(9/17)「辺野古移設訴訟 国は拳を下ろさないか」
「「国は今後、現場で工法などに変更があれば県に届け出る義務もある。その度に訴訟になって「国が勝ち続ける保証はない」とは、高裁が和解勧告を示した際の見解だ。‥国は拳を下ろし、話し合い決着に人事を尽くすべきではないか。」
http://www.iwate-np.co.jp/ronsetu/y2016/m09/r0917.htm
【東奥】(9/18)「誠意ある協議が打開策だ」
「翁長氏に対して国が「辺野古が唯一の解決策」と迫るのは「公約の破棄」を求めるに等しい。民主主義の基盤である選挙そのものを軽視するような行為と言っても過言ではない。外交や防衛が国の所管事項だとしても、首長もまた住民の生命を守る責任を負っているのだ。」http://www.toonippo.co.jp/shasetsu/20160918017944.asp
【信濃毎日新聞】(9/17)「誠実さ欠く政府の姿勢」
「和解条項を都合よく解釈し、政府は一方的に今回の訴訟を起こしている。沖縄との話し合いを軽んじ、移設工事の再開を急ぐ意図があることがはっきり見えた。」http://www.shinmai.co.jp/news/nagano/20160917/KT160916ETI090005000.php
【茨城新聞】(9/17)「辺野古訴訟判決 見えない解決の道筋」
「翁長氏に対して国が「辺野古が唯一の解決策」と迫るのは「公約の破棄」を強要するに等しい。民主主義の基盤である選挙そのものを軽視する行為と言っても過言ではない。」
http://ibarakinews.jp/hp/hpdetail.php?elem=ronsetu
【新潟日報】(9/17)「辺野古移設判決 対話路線へ転換すべきだ」
「今なお返還が実現しない理由は、両政府が沖縄県の民意を無視して辺野古移設にこだわっているからにほかならない。‥沖縄県の米軍専用施設「北部訓練場」では7月、国がヘリコプター離着陸帯(ヘリパッド)の建設に着手した。現場周辺では、反対派の住民と警察の機動隊が連日のように衝突し、けが人や逮捕者が出ている。地元紙の記者が取材中に強制的に排除されたり、拘束されたりする事態も起きた。地元住民の反対を押し切ってヘリパッド建設を強行しようとする国の姿勢は、辺野古移設と二重写しになる。民主主義と地方自治が、危機にひんしていると言っても言い過ぎではない。米軍基地問題は沖縄県だけではなく、国民全体の問題となっていることを強調したい。」
http://www.niigata-nippo.co.jp/sp/opinion/editorial/20160917280208.html
【中日新聞】(9/14)「沖縄ヘリパッド 工事強行に理はあるか」
「沖縄防衛局が工事資材を搬入したのは、自民党の沖縄担当相が大差で敗れた七月の参院選翌日。安倍政権の対沖縄政策への異議が県民から度々示されているにもかかわらず、工事を強行するのは民主主義のあり方としておかしい。」http://www.chunichi.co.jp/article/column/editorial/CK2016091402000113.html
【福井新聞】(9/17)「辺野古訴訟判決 もっと沖縄直視すべきだ」
「日本側から不均衡な日米地位協定の抜本改定を求める動きは全くない。」「県民目線に立てば、日米同盟は沖縄を「踏み台」にして成り立ち、日本の「捨て石」ということになる。
多見谷寿郎裁判長は、米海兵隊の運用面や世界情勢から「県外移転はできない」とする国の判断は尊重すべきとした。外交や防衛は基本的に国の所管事項と明示したが、あまりにも県民実態や感情を理解しない国追従の判断ではないか。裁判長は訴訟と並行して進める予定の「協議」で打開策が見つかる可能性まで否定した。知事が「三権分立という意味で禍根を残す」と言い放ったのは当然だ。」
http://editorial.x-winz.net/ed-25846
【神戸新聞】(9/17)「辺野古判決/沖縄の怒りは増すばかり」
「参院選後、政府の沖縄への強硬な姿勢が目立つ。来年度予算の概算要求では、官房長官が基地問題と沖縄振興の予算額を絡める「リンク論」を容認した。1972年の本土復帰後、沖縄の自立に向けられた振興策の精神を否定するもので、筋違いというしかない。」
http://www.kobe-np.co.jp/column/shasetsu/201609/0009496178.shtml
【京都新聞 】(9/17)「辺野古訴訟判決 司法で決着する問題か」
「安倍政権は県北部の米軍訓練場ヘリコプター離着陸帯の建設工事を強行、さらに沖縄県振興予算を辺野古移設に結びつけ露骨に揺さぶりをかけている。沖縄以外では関心が高まらないことが、安倍政権を強気にさせているのかもしれない。翁長知事は意見陳述で、国の主張は地方自治をないがしろにしており、「沖縄県だけにとどまらない問題」と訴えた。日米安保を享受しながら、沖縄に基地を押しつけている現状に目を向けなければならない。」http://www.kyoto-np.co.jp/info/syasetsu/20160917_4.html
【愛媛新聞】(9/17)「辺野古訴訟で判決 誠実な協議しか真の解決はない」「国が県を訴え、強硬な本音を隠そうともせず「攻撃」する。そんな信じられない事態が、参院選を境に露骨に進む。米軍専用施設「北部訓練場」の工事強行。沖縄振興予算を基地返還と関連付ける「リンク」論の公言と減額。そして辺野古訴訟…。安全保障は誰のためにあるのか。日本が初めて、自ら沖縄に恒久的基地を建設することを黙認していいのか。」「「辺野古が唯一の解決策」と一つ覚えに繰り返して問答無用で基地建設を強行しようとする国の姿勢と、それを追認するように「普天間の危険を除去するには辺野古以外にない」と指摘した司法に、強い失望と憤りを禁じ得ない。」
http://www.ehime-np.co.jp/rensai/shasetsu/ren017201609177439.html
【佐賀新聞】(9/17)「辺野古訴訟」
「民意を代表する知事が国から訴えられ、しかも辺野古移転が遅れれば地域振興予算を減らすとまで圧力を受ける-。そうした強硬な国の姿勢には、地方自治を尊重しようという意思はなかった。
国と地方の関係は、地方分権改革を経て、対等へと生まれ変わったはずではなかったか。翁長知事は「すべてが国の意向で決められれば、地方自治は死ぬ」と主張していたが、まったく同感だ。」
http://editorial.x-winz.net/ed-25816
【南日本新聞】(9/18)「[辺野古判決] 解決は遠のくばかりだ」
「負担軽減を基地の新設を伴わない形で実現するのが沖縄の民意ではないのか。14年の知事選で、翁長氏は「辺野古移設反対」を公約に掲げて前知事を破った。国はその翁長氏に公約をほごにしろと迫っているに等しい。これは民主主義の前提である選挙を無視した振る舞いだ。」http://373news.com/_column/syasetu.php?ym=201609&storyid=78830
【日本経済新聞】(9/17)「「北風」で普天間移設できるか 」
「国は最高裁でも勝つに決まっているとたかをくくらず、県との歩み寄りに努めるべきだ。」
http://www.nikkei.com/article/DGXKZO07373050X10C16A9EA1000/
【朝日新聞】(9/17)「辺野古判決 それでも対話しかない」
「大量の機動隊員に守らせて東村高江の米軍ヘリパッド移設工事に着手し、工事車両を運ぶため自衛隊ヘリを投入した。来年度予算案の概算要求では、菅官房長官らが基地問題と沖縄振興のリンク論を持ち出した。政府が直視すべきは、県民の理解がなければ辺野古移設は困難だし、基地の安定的な運用は望み得ないという現実だ。」
http://digital.asahi.com/articles/DA3S12563189.html?rm=150
【沖縄タイムス】(9/18)「辺野古判決と自治権]対等の精神ないがしろ」「判決も「構造的沖縄差別」を追認しているのである。」 http://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/62646 …
【琉球新報】(9/17)「辺野古訴訟県敗訴 地方分権に逆行 知事は阻止策を尽くせ」「判決は県民の公益性よりも辺野古新基地建設による国益を優先する判断に偏った。「国と地方の関係は対等」と位置付けた1999年の地方自治法改正の流れにも逆行する判決と言わざるを得ない。」
http://ryukyushimpo.jp/editorial/entry-358566.html
goo.gl/y8gaNJ
【辺野古訴訟判決に関する各紙社説】※日経と北國追記載しました
昨朝のサンデーモーニングの5人のコメンテーターが全て辺野古訴訟判決に疑問を呈する図に「サンモニは偏向報道」という保守系の声が続出です。が、地方紙を含む新聞各社の社説を読み比べたところ、ほぼ一社を除いて皆が政権と司法に批判や疑問を呈する格好に。
国を擁護する一社、これを偏向と呼ばずに何を偏向と呼ぶのやら。その一社とは言わずもがな、こちら。
【読売新聞】(9/17)「「辺野古」国勝訴 翁長知事の違法が認定された」http://sp.yomiuri.co.jp/editorial/20160916-OYT1T50146.html
判決を尊重するべきという立場ですが、一方的な押し付けはと理解が得られていないことについて但し書きを加えたのが、北國。
【北國新聞】(9/17)「辺野古で国側勝訴 訴訟合戦の再燃避けたい」「むろん、国の専権事項である国防政策も地域住民の理解が欠かせず、一方的に押しつけることがあってはならないが、自治体より国の政策判断が優先されるべきことは沖縄県側も認めなければならないのではないか。」http://editorial.x-winz.net/ed-25804
なんだ、私たち、圧倒的に多数派なんですね、新聞社社説上では。
【北海道新聞】(9/17)「「辺野古」国勝訴 沖縄の声は変わるまい」「そもそも国と県が3月に受け入れた同じ福岡高裁那覇支部の和解勧告には、国と地方を「対等・協力の関係」とした1999年の地方自治法改正に触れた上で、こう書いてある。
「本来あるべき姿としては、沖縄を含めオールジャパンで最善の解決策を合意して、米国に協力を求めるべきである」
http://editorial.x-winz.net/ed-25868
【岩手日報】(9/17)「辺野古移設訴訟 国は拳を下ろさないか」
「「国は今後、現場で工法などに変更があれば県に届け出る義務もある。その度に訴訟になって「国が勝ち続ける保証はない」とは、高裁が和解勧告を示した際の見解だ。‥国は拳を下ろし、話し合い決着に人事を尽くすべきではないか。」
http://www.iwate-np.co.jp/ronsetu/y2016/m09/r0917.htm
【東奥】(9/18)「誠意ある協議が打開策だ」
「翁長氏に対して国が「辺野古が唯一の解決策」と迫るのは「公約の破棄」を求めるに等しい。民主主義の基盤である選挙そのものを軽視するような行為と言っても過言ではない。外交や防衛が国の所管事項だとしても、首長もまた住民の生命を守る責任を負っているのだ。」http://www.toonippo.co.jp/shasetsu/20160918017944.asp
【信濃毎日新聞】(9/17)「誠実さ欠く政府の姿勢」
「和解条項を都合よく解釈し、政府は一方的に今回の訴訟を起こしている。沖縄との話し合いを軽んじ、移設工事の再開を急ぐ意図があることがはっきり見えた。」http://www.shinmai.co.jp/news/nagano/20160917/KT160916ETI090005000.php
【茨城新聞】(9/17)「辺野古訴訟判決 見えない解決の道筋」
「翁長氏に対して国が「辺野古が唯一の解決策」と迫るのは「公約の破棄」を強要するに等しい。民主主義の基盤である選挙そのものを軽視する行為と言っても過言ではない。」
http://ibarakinews.jp/hp/hpdetail.php?elem=ronsetu
【新潟日報】(9/17)「辺野古移設判決 対話路線へ転換すべきだ」
「今なお返還が実現しない理由は、両政府が沖縄県の民意を無視して辺野古移設にこだわっているからにほかならない。‥沖縄県の米軍専用施設「北部訓練場」では7月、国がヘリコプター離着陸帯(ヘリパッド)の建設に着手した。現場周辺では、反対派の住民と警察の機動隊が連日のように衝突し、けが人や逮捕者が出ている。地元紙の記者が取材中に強制的に排除されたり、拘束されたりする事態も起きた。地元住民の反対を押し切ってヘリパッド建設を強行しようとする国の姿勢は、辺野古移設と二重写しになる。民主主義と地方自治が、危機にひんしていると言っても言い過ぎではない。米軍基地問題は沖縄県だけではなく、国民全体の問題となっていることを強調したい。」
http://www.niigata-nippo.co.jp/sp/opinion/editorial/20160917280208.html
【中日新聞】(9/14)「沖縄ヘリパッド 工事強行に理はあるか」
「沖縄防衛局が工事資材を搬入したのは、自民党の沖縄担当相が大差で敗れた七月の参院選翌日。安倍政権の対沖縄政策への異議が県民から度々示されているにもかかわらず、工事を強行するのは民主主義のあり方としておかしい。」http://www.chunichi.co.jp/article/column/editorial/CK2016091402000113.html
【福井新聞】(9/17)「辺野古訴訟判決 もっと沖縄直視すべきだ」
「日本側から不均衡な日米地位協定の抜本改定を求める動きは全くない。」「県民目線に立てば、日米同盟は沖縄を「踏み台」にして成り立ち、日本の「捨て石」ということになる。
多見谷寿郎裁判長は、米海兵隊の運用面や世界情勢から「県外移転はできない」とする国の判断は尊重すべきとした。外交や防衛は基本的に国の所管事項と明示したが、あまりにも県民実態や感情を理解しない国追従の判断ではないか。裁判長は訴訟と並行して進める予定の「協議」で打開策が見つかる可能性まで否定した。知事が「三権分立という意味で禍根を残す」と言い放ったのは当然だ。」
http://editorial.x-winz.net/ed-25846
【神戸新聞】(9/17)「辺野古判決/沖縄の怒りは増すばかり」
「参院選後、政府の沖縄への強硬な姿勢が目立つ。来年度予算の概算要求では、官房長官が基地問題と沖縄振興の予算額を絡める「リンク論」を容認した。1972年の本土復帰後、沖縄の自立に向けられた振興策の精神を否定するもので、筋違いというしかない。」
http://www.kobe-np.co.jp/column/shasetsu/201609/0009496178.shtml
【京都新聞 】(9/17)「辺野古訴訟判決 司法で決着する問題か」
「安倍政権は県北部の米軍訓練場ヘリコプター離着陸帯の建設工事を強行、さらに沖縄県振興予算を辺野古移設に結びつけ露骨に揺さぶりをかけている。沖縄以外では関心が高まらないことが、安倍政権を強気にさせているのかもしれない。翁長知事は意見陳述で、国の主張は地方自治をないがしろにしており、「沖縄県だけにとどまらない問題」と訴えた。日米安保を享受しながら、沖縄に基地を押しつけている現状に目を向けなければならない。」http://www.kyoto-np.co.jp/info/syasetsu/20160917_4.html
【愛媛新聞】(9/17)「辺野古訴訟で判決 誠実な協議しか真の解決はない」「国が県を訴え、強硬な本音を隠そうともせず「攻撃」する。そんな信じられない事態が、参院選を境に露骨に進む。米軍専用施設「北部訓練場」の工事強行。沖縄振興予算を基地返還と関連付ける「リンク」論の公言と減額。そして辺野古訴訟…。安全保障は誰のためにあるのか。日本が初めて、自ら沖縄に恒久的基地を建設することを黙認していいのか。」「「辺野古が唯一の解決策」と一つ覚えに繰り返して問答無用で基地建設を強行しようとする国の姿勢と、それを追認するように「普天間の危険を除去するには辺野古以外にない」と指摘した司法に、強い失望と憤りを禁じ得ない。」
http://www.ehime-np.co.jp/rensai/shasetsu/ren017201609177439.html
【佐賀新聞】(9/17)「辺野古訴訟」
「民意を代表する知事が国から訴えられ、しかも辺野古移転が遅れれば地域振興予算を減らすとまで圧力を受ける-。そうした強硬な国の姿勢には、地方自治を尊重しようという意思はなかった。
国と地方の関係は、地方分権改革を経て、対等へと生まれ変わったはずではなかったか。翁長知事は「すべてが国の意向で決められれば、地方自治は死ぬ」と主張していたが、まったく同感だ。」
http://editorial.x-winz.net/ed-25816
【南日本新聞】(9/18)「[辺野古判決] 解決は遠のくばかりだ」
「負担軽減を基地の新設を伴わない形で実現するのが沖縄の民意ではないのか。14年の知事選で、翁長氏は「辺野古移設反対」を公約に掲げて前知事を破った。国はその翁長氏に公約をほごにしろと迫っているに等しい。これは民主主義の前提である選挙を無視した振る舞いだ。」http://373news.com/_column/syasetu.php?ym=201609&storyid=78830
【日本経済新聞】(9/17)「「北風」で普天間移設できるか 」
「国は最高裁でも勝つに決まっているとたかをくくらず、県との歩み寄りに努めるべきだ。」
http://www.nikkei.com/article/DGXKZO07373050X10C16A9EA1000/
【朝日新聞】(9/17)「辺野古判決 それでも対話しかない」
「大量の機動隊員に守らせて東村高江の米軍ヘリパッド移設工事に着手し、工事車両を運ぶため自衛隊ヘリを投入した。来年度予算案の概算要求では、菅官房長官らが基地問題と沖縄振興のリンク論を持ち出した。政府が直視すべきは、県民の理解がなければ辺野古移設は困難だし、基地の安定的な運用は望み得ないという現実だ。」
http://digital.asahi.com/articles/DA3S12563189.html?rm=150
【沖縄タイムス】(9/18)「辺野古判決と自治権]対等の精神ないがしろ」「判決も「構造的沖縄差別」を追認しているのである。」 http://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/62646 …
【琉球新報】(9/17)「辺野古訴訟県敗訴 地方分権に逆行 知事は阻止策を尽くせ」「判決は県民の公益性よりも辺野古新基地建設による国益を優先する判断に偏った。「国と地方の関係は対等」と位置付けた1999年の地方自治法改正の流れにも逆行する判決と言わざるを得ない。」
http://ryukyushimpo.jp/editorial/entry-358566.html
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2016年9月18日日曜日
160918 中村哲さんに聞いた
アフガニスタンという国で、
9条をバックボーンに活動を続けてきた
久しぶりに帰国された、医師の中村哲さんにお会いしました。
もちろん、みなさんご存知のように、中村さんは「ペシャワール会」の代表として、
パキスタン、アフガニスタンで、さまざまな活動に携わっておられます。
その中村さんに、現地での活動状況と、特に憲法9条との関連について、お伺いしました。
もちろん、みなさんご存知のように、中村さんは「ペシャワール会」の代表として、
パキスタン、アフガニスタンで、さまざまな活動に携わっておられます。
その中村さんに、現地での活動状況と、特に憲法9条との関連について、お伺いしました。

写真:細谷忠彦
なかむら・てつ
1946年福岡市生まれ。九州大学医学部卒。NGO「ペシャワール会」現地代表、PMS(ペシャワール会医療サービス)総院長。専門は神経内科(現地では内科・外科もこなす)。国内の診療所勤務を経て、1984年パキスタン北西辺境州の州都のペシャワールに赴任。ハンセン病を中心としたアフガン難民の診療に携わったのをきっかけに、井戸・水路工事による水源確保事業など現地での支援活動を続ける。著書に『医者、用水路を拓く−−アフガンの大地から世界の虚構に挑む』(石風社)『アフガニスタンで考える−−国際貢献と憲法九条』(岩波ブックレット)など。
1946年福岡市生まれ。九州大学医学部卒。NGO「ペシャワール会」現地代表、PMS(ペシャワール会医療サービス)総院長。専門は神経内科(現地では内科・外科もこなす)。国内の診療所勤務を経て、1984年パキスタン北西辺境州の州都のペシャワールに赴任。ハンセン病を中心としたアフガン難民の診療に携わったのをきっかけに、井戸・水路工事による水源確保事業など現地での支援活動を続ける。著書に『医者、用水路を拓く−−アフガンの大地から世界の虚構に挑む』(石風社)『アフガニスタンで考える−−国際貢献と憲法九条』(岩波ブックレット)など。
アフガニスタンの人々の「生活」を
取り戻すために
編集部
中村
そうですか。ありがとうございます。そう言っていただけると、とても嬉しいです。あの本は、土木工事のかなり専門的なことを重点に書いたもので、一般の方が読んで面白いのかな、と、少し心配していたんです。
編集部
いえいえ、いい喩えにはならないかもしれませんが、まるでハードボイルド小説を読んでいるみたいにスリリングで。
中村
それはとても嬉しいです。“面白い”と言われるのが、何よりの励みになりますね。
編集部
船戸与一さんの小説みたいでしたよ。まあ、船戸ハードボイルドには、癖のある悪人ばかりが登場しますが、この『医者、用水路を拓く』には、悪人がほとんど出てこない。とても読後感の爽やかなハードボイルド…(笑)。いや、中身はほんとうにハードですけれど。
中村
そうですか。そういう読まれ方もあるんですね。なにはともあれ、面白く読んでいただけたのは、とても嬉しいことです。
編集部
この本では、「ペシャワール会」(編集部注・中村医師のパキスタンやアフガニスタンでの活動を支えるために、1983年に作られた組織。パキスタンのペシャワールにちなんで名付けられた)が行っている、用水路建設について詳しく触れておられますね。現在ではむしろ、医療よりも水源確保により多くの力を注いでいる、という印象を受けますが。
中村
そうですね。現在は、アフガニスタンでの灌漑事業に主力を注いでいますので、毎日が土木作業です。ほとんど用水路建設にかかりきりで、野外での作業ばかりなんですよ。それで、ごらんのように真っ黒です。ナニ人か分からない、なんてしょっちゅう言われますね。この用水路建設事業は、僕が言い出しっぺなので、仕方なしに土木技師をやっているわけです。
編集部
医療よりも用水路建設が優先、ということですか。アフガニスタンは、現在、それほど水源が枯渇している状況にあるのですか。
中村
そうです。2000年から始まったアフガニスタンの大干ばつは、凄まじいものでした。アフガンの人々の生活を、根底から突き崩してしまったといってもいいと思います。我々ペシャワール会は、彼らの元の生活を、まず取り戻すことが、なによりも先決ではないかと考えたわけです。

まず「生き延びる」ための支援を
編集部
日本政府はよく国際貢献と言いますが、どうもそれがズレている感じがします。中村さんたちがなさっているような事業に、もっとお金を出すべきじゃないか、なんて単純に思ってしまいますけど。
中村
端的に言えば、人々が生存するための、生きていくための事業に対する支援。これがなんと言っても第一だと思いますけどね。我々は、日本政府からは一円の援助も受けていませんが、どうも、日本政府の援助の仕方は、あまりそういう生存への援助にはなっていないんじゃないか、と思いますね。いや、日本政府に限ったことじゃなく、アメリカやほかの国際組織のやり方にも、僕は違和感を覚えることが多いんです。
編集部
生存への援助になっていない?
中村
そう。例えば欧米の団体などでは、男女平等を訴えるグループもあれば、情報網の完備だとか言って、通信網やネットの整備に力を注ぐ人たちもいます。いまや、首都カーブルの一角には、インターネットカフェなんかまでできています。
もちろん、それが悪いとは言いませんが、そんなことよりももっと以前に、まずみんなが生きていかなくちゃ、ということが不思議なくらい話題にならない。どうしても、政治的な動きだけが伝えられて、それにしたがって、僕に言わせれば無駄なところへ援助資金が投下されている、そんなふうに見えるんです。完全に、情報操作としか言いようがないですよ。まず、生き延びることが、いちばん大切なはずでしょ?
編集部
援助すべきところが違うんじゃないか、と。
中村
例えば、アフガンの大干ばつにしても、それを防ぐために何をすべきか、というところをよく考えて援助の方向を決める。それは、みんなが納得することなんですね。アフガンでは、ほんとうに生きていけない人たちが増大している。なにしろ、2500万人の人口のうち、1200万人がこの干ばつで被害を受け、500万人が飢餓線上、100万人が餓死寸前という状況にあるのがアフガニスタンですよ。そこへ、男女平等だとか情報網の整備だとか言っても、それがどうだと言うんですか。
編集部
まず、命を、ですね。
中村
アフガンに限って言いますと、生き延びることに対する支援でしょうね。単に学校教育――自分の国の教育もきちんとできていないのに、よその国の教育がどうのこうの言ったって仕方ない。まず、生きられるようにしてあげる協力ですよ。これには、誰もが納得するんじゃないでしょうかね。
編集部
それが、中村さんたちペシャワール会が目指したことなんですね。
中村
そうです。大干ばつの後、我々の診療所にやってくる患者は、子どもたちがほんとうに多かった。その背景には、栄養失調と水不足があるんです。それが、子どもたちを直撃したんですよ。水不足で農業ができなくなり、村そのものが消えてしまったところも珍しくない。それが、アフガン全土で起こった現実です。うちのダラエルヌールの診療所の近所でも、一時、2軒を残して完全に無人化したこともあったほどです。全部、難民化したんですよ。
編集部
それで、水資源確保のために、井戸掘りを始められたわけですね。
中村
そうですね。井戸掘りを始めたのが、2000年の7月でした。それは、すでに1670本になりました。そのおかげで、40万人以上が村を離れずにすんだんです。
編集部
それがさらに、用水路の建設へと発展していった…。
中村
もちろん、診療をやめたわけではありませんが、ある意味、医療だけでは限界があると感じたんです。水がなければ農業が続けられない。日々の糧を得ることができないんですから、生きて行きようがない。それに、きれいな水がなければ、伝染病などが蔓延するのを防ぐことだってできない。だから、我々の現在の仕事は、用水路の建設と医療の2本立てなんです。

数字だけを見ることには、
何の意味もない
編集部
用水路建設の進み具合はいかがですか。そうとうの難工事の連続だったようですが
中村
2003年3月から始めて、現在まで16.5キロを完成させています。これで、合計5000ヘクタール弱の農地を潤せる計算になります。漠然としたことしかいえませんが、この用水路1本で、数十万人が食えることになるのは確実です。
編集部
ここまで来るには大変だったでしょうね。
中村
ほんとうに、最初は手探り状態。その中で、日本各地の取水方式が、とても参考になりました。日本方式と言っても、江戸時代や戦国時代の技術を、アフガンで再生しているんです。ほとんど機械が使えないような状況の中では、こんな日本古来の人力に頼った技術が、思わぬ効果を発揮するんですね。
編集部
そういう活動を、ほかの団体がなぜもっと行わないんでしょうか。
中村
たとえば国連の機関なんかも、すべてを数字で置き換えてしまうんですね。ソ連軍の侵攻と撤退とそれに伴う内戦や大混乱、さらにはその後の大干ばつなどで、故郷を捨てざるを得なかった難民が大発生しました。それに対し、国連などが“帰還事業”を行い、「200万人のうち、130万人を1年間で帰した」なんて発表するんですよ。そうすると、ほんとうは難民は70万人しか残っていないはずじゃないですか。ところが実際は、300万人の難民が現実に存在している。
僕らは言うんです。「むしろ、難民は増えている」と。「復興帰還プロジェクトなんて、帰ってそこで人々が生活できる基盤を作らないと成立しないんだ」と、僕らが盛んに言うもんだから、それで反感を買ってしまう、という面もあるんでしょうね。国際機関は、とにかく数字を示して自分たちの活動の成果を誇示しようとします。そうすることが、次期の予算やなんかにも影響してきますからね。
編集部
スタンスが違うわけですね。お聞きしていると、まずどんな事業に資金や援助をつぎ込むかを、もっと見極めなくては、という気がしますね。優先順位を、きちんとつけて重要なところから始めていく。
中村
そうです。まず生きることです。あとは、はっきり言って、タリバンが天下を取ろうが反タリバン政権になろうが、それはアフガンの内政問題なんですね。そのスタンスさえ崩さなければ、我々を攻撃する連中なんかいませんよ。それどころか、政府、反政府どちらの勢力も、我々を守ってくれるわけです。

「平和国家」日本に期待されていること
編集部
現地では、NGOとか国際機関なんかが襲撃されるということは、かなりあるんですか?
中村
何回も、見聞きしたことはありますよ。でも、我々ペシャワール会が襲われたことは一度もありません
編集部
それだけ、ペシャワール会の活動が現地の方々に浸透しているということでしょうか。
中村
そうですね。アフガンの人たちは、親日感情がとても強いですしね。それに、我々は宗教というものを、大切にしてきましたから。
編集部
宗教とは、やはりイスラム教…。
中村
おおむね、狙われたのはイスラム教というものに無理解な活動、例えば、女性の権利を主張するための女性平等プログラムだとか。現地でそんなことをすると、まず女性が嫌がるんです。キリスト教の宣教でやっているんじゃないか、と思われたりして。
編集部
宗教的対立感情みたいなものですか?
中村
いや、対立感情は、むしろ援助する側が持っているような気がしますね。優越感を持っているわけですよ。ああいうおくれた宗教、おくれた習慣を是正してやろうという、僕から言わせれば思い上がり、もっときつくいえば、“帝国主義的”ですけどね。そういうところの団体が、かなり襲撃されています。民主主義を波及させるというお題目は正しいんでしょうけれど、やっていることは、ソ連がアフガン侵攻時に唱えていたことと五十歩百歩ですよ。
編集部
ペシャワール会は、そういうことからは無縁であったということですね。
中村
そうです。それに僕はやっぱり、日本の憲法、ことに憲法9条というものの存在も大きいと思っています。
編集部
憲法9条、ですか。
中村
ええ、9条です。昨年、アフガニスタンの外務大臣が日本を訪問しましたね。そのとき、彼が平和憲法に触れた発言をしていました。アフガンの人たちみんなが、平和憲法やとりわけ9条について知っているわけではありません。でも、外相は「日本にはそういう憲法がある。だから、アフガニスタンとしては、日本に軍事活動を期待しているわけではない。日本は民生分野で平和的な活動を通じて、我々のために素晴らしい活動をしてくれると信じている」というようなことを語っていたんですね。
編集部
平和国家日本、ですね。
中村
ある意味「美しき誤解」かもしれませんが、そういうふうに、日本の平和的なイメージが非常な好印象を、アフガンの人たちに与えていることは事実です。日本人だけは、別格なんですよ。
編集部
日本人と他国の人たちを区別している?
中村
極端なことを言えば、欧米人に対してはまったく躊躇がない。白人をみれば「やっちゃえ」という感覚はありますよ。でもね、そういう日本人への見方というのも、最近はずいぶん変わってきたんです。
編集部
それは、なぜ、いつごろから、どのように変わってきたんですか?
中村
いちばんのキッカケは湾岸戦争。そして、もっとも身近なのは、もちろんアフガン空爆です。アメリカが要請してもいない段階で、日本は真っ先に空爆を支持し、その行動にすすんで貢献しようとした。その態度を見て、ガッカリしたアフガン人はほんとうに多かったんじゃないでしょうかね。
編集部
せっかくの親日感情が、そのために薄らいでしまったんですね。
中村
それでも、いまでもほかの国に比べたら、日本への感情はとても親しいものです。この感情を大事にしなければならないと思うんです。湾岸戦争のときに、「日本は血も汗も流さずお金だけばら撒いて、しかも国際社会から何の感謝もされなかった。それが、トラウマになっている」なんて、自民党の議員さんたちはよく言うようですけど、なんでそんなことがトラウマになるんですか。「お金の使い方が間違っていた」と言うのならいいのですが、「もっと血と汗を流せ」という方向へ行って、とうとうイラクへは自衛隊まで派遣してしまった。僕は、これはとても大きな転回点だったと思っています。
これまでは、海外に軍事力を派遣しない、ということが日本の最大の国際貢献だったはずなのに、とうとうそれを破ってしまったんです。これは、戦争協力ですよね。そんなお金があるんだったら、福祉だの農業復興だの何だの、ほかに使い道はいくらでもあるというのに。
編集部
ほんとうにそうですね。お金をどのように使うか、国際貢献とか国際援助とかいうのなら、最初に中村さんがおっしゃったように、まず「生存」のために使うべきですよね。
中村
日本は、軍事力を用いない分野での貢献や援助を果たすべきなんです。現地で活動していると、力の虚しさ、というのがほんとうに身に沁みます。銃で押さえ込めば、銃で反撃されます。当たり前のことです。でも、ようやく流れ始めた用水路を、誰が破壊しますか。緑色に復活した農地に、誰が爆弾を撃ち込みたいと思いますか。それを造ったのが日本人だと分かれば、少し失われた親日感情はすぐに戻ってきます。それが、ほんとうの外交じゃないかと、僕は確信しているんですが。

9条は、僕らの活動を支えてくれる
リアルで大きな力
編集部
そう言えば、雑誌『SIGHT』(07年1月)のインタビューで、「9条がリアルで大きな力だったという現実。これはもっと知られるべきなんじゃないか」とおっしゃっていましたね。
中村
そうなんですよ。ほんとうにそうなんです。僕は憲法9条なんて、特に意識したことはなかった。でもね、向こうに行って、9条がバックボーンとして僕らの活動を支えていてくれる、これが我々を守ってきてくれたんだな、という実感がありますよ。体で感じた想いですよ。
武器など絶対に使用しないで、平和を具現化する。それが具体的な形として存在しているのが日本という国の平和憲法、9条ですよ。それを、現地の人たちも分かってくれているんです。だから、政府側も反政府側も、タリバンだって我々には手を出さない。むしろ、守ってくれているんです。9条があるから、海外ではこれまで絶対に銃を撃たなかった日本。それが、ほんとうの日本の強味なんですよ。
編集部
その体で実感した9条を手放すことには、どうしても納得できない。
中村
具体的に、リアルに、何よりも物理的に、僕らを守ってくれているものを、なんで手放す必要があるんでしょうか。危険だと言われる地域で活動していると、その9条のありがたさをつくづく感じるんです。日本は、その9条にのっとった行動をしてきた。だから、アフガンでも中東でも、いまでも親近感を持たれている。これを外交の基礎にするべきだと、僕は強く思います。
編集部
お話を伺って、中村さんたちの活動は、それこそ「ノーベル平和賞」に十分に値するものじゃないかと、とても強く感じました。これからも、ほんとうにお体や健康にお気をつけて、素晴らしい活動をお続けください。
本日は、長時間、ほんとうにありがとうございました。
中村
はい、こちらこそありがとうございました。第2期用水路建設に向けて、もっと日焼けしてきます(笑)。
160918 アフガニスタン 干ばつの大地に用水路を拓く
アフガニスタン 干ばつの大地に用水路を拓く~治水技術 7年の記録~
2012年6月DVD発売!
http://www.ndn-news.co.jp/shop/pickup/Kanbatsunodaichi.html
「百の診療所より一本の用水路を!」戦乱の干ばつのアフガニスタンで、 無謀とも思える土木工事に挑んだ一人の日本人医師・中村哲。 2003年3月から7年の歳月をかけて全長25.5キロの用水路を完工、 3000ヘクタールの農地が甦った。 現地農民の自立のために近代工法を最小限に抑え、日本の江戸時代に 完成した伝統工法を採用しての治水事業は、農業土木の原点とも評価 される。 戦乱の地に真の平和をもたらすものは何か、静かに問いかける7年間の記録。
監督 谷津賢二
朗読 菅原文太
企画 ペシャワール会
製作 日本電波ニュース社
(DVD 74分)
価格 2,500円+税(送料別)
ライブラリー価格 7,500円+税(送料別)
ダイジェスト版 Youtube
アフガニスタン 干ばつの大地に用水路を拓く(4分15秒)
https://m.youtube.com/watch?feature=youtu.be&v=y2Du_SLRhhI
この人に聞きたい
中村哲さんに聞いた
http://www.magazine9.jp/interv/tetsu/tetsu.php
アフガニスタンという国で、
9条をバックボーンに活動を続けてきた
久しぶりに帰国された、医師の中村哲さんにお会いしました。
もちろん、みなさんご存知のように、中村さんは「ペシャワール会」の代表として、
パキスタン、アフガニスタンで、さまざまな活動に携わっておられます。
その中村さんに、現地での活動状況と、特に憲法9条との関連について、お伺いしました。
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この人に聞きたい
中村哲さんに聞いた
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9条をバックボーンに活動を続けてきた
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もちろん、みなさんご存知のように、中村さんは「ペシャワール会」の代表として、
パキスタン、アフガニスタンで、さまざまな活動に携わっておられます。
その中村さんに、現地での活動状況と、特に憲法9条との関連について、お伺いしました。
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