衆院補選 野党共闘に課題残す
中日新聞 2016年4月25日
http://www.chunichi.co.jp/article/column/editorial/CK2016042502000119.html
与野党一騎打ちとなった衆院北海道5区補選は自民党候補の勝利に終わった。民進、共産など野党四党は候補者を一本化して臨んだが及ばず、夏の参院選に向けた野党共闘に課題を残す形となった。
夏の参院選を控え、安倍政権はほっと胸をなで下ろしているに違いない。二選挙区で投開票が行われた衆院補選。町村信孝前衆院議長の死去に伴う北海道5区は、自民党公認の和田義明氏(44)が野党統一候補の池田真紀氏(43)を破り、補選全敗を回避した。
二〇一四年の第三次安倍内閣発足後初の国政選挙である。安全保障関連法や経済・子育て政策などが争点だったが、政権が積極的に信任されたというよりも、町村氏の地盤を娘婿である和田氏が守り抜いたといった方がいいだろう。
通例なら、自民党候補が有利に戦いを進める「弔い合戦」だが、安全保障関連法廃止と立憲主義回復を掲げて共闘し、激しい選挙戦に持ち込んだのが民進、共産、社民、生活の野党四党である。
敗北したとはいえ、野党共闘の有効性が確認された選挙戦ではなかったか。野党の力が分散しては安倍自民党の「一強」に対抗することは、とてもできまい。
野党四党が候補者を統一して推薦し合う共闘の形は、参院選でも一つのモデルとなるはずだ。
参院選では三十二ある改選一人区が勝敗の行方を左右する。すでに半数以上で野党統一候補の擁立で合意しているが、残る選挙区でも共闘を模索してほしい。
課題も浮き彫りになった。
与党陣営は野党共闘を「理念も政策もバラバラ」と執拗(しつよう)に攻撃した。今回の補選にとどまらず、参院選でも同様の批判を展開するだろう。それにどう対抗するのか。
政権批判を糾合することは一強多弱の政治状況を転換し、政治の誤りを正すには当然だが、有権者に浸透しなければ意味がない。
現政権の問題点を粘り強く訴えると同時に、安倍政治に代わるビジョンを示すことも重要だ。四党間に理念・政策の違いがあるのは当然だが、共通政策づくりに向けた協議も急ぐべきである。
一方、不倫が発覚した宮崎謙介元自民党衆院議員の辞職に伴う京都3区では、民進党公認の前衆院議員、泉健太氏(41)が勝った。
今年三月に発足した民進党初の議席だが、敵失での議席獲得でもある。勝利に浮かれてばかりもいられまい。野党勢力結集に指導力を発揮できるのか、民進党にとっては、これからが正念場である。
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