180504 伊勢崎 賢治
日本がいつまでもアメリカと「対等」になれない本当の理由
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/55550
180503 伊勢崎 賢治
憲法9条が日本を危険にさらしてる!? 護憲のジレンマを超える方法
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/55545
170530 伊勢崎 賢治
安倍「加憲」で全世界が知ることとなる日本の「身勝手な論理」
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/51870
2018年5月7日月曜日
2018年4月17日火曜日
180417火垂るの墓批評
https://m.facebook.com/story.php?story_fbid=1791017290937724&id=100000884116760
【「火垂るの墓」 ジブリで最も暗い作品が今も持つ重要性】
4/16(月) 18:56
BBC News
ヘザー・チェン記者
《日本アニメ界の巨人スタジオジブリは、「となりのトトロ」など明るい内容の名作で知られるが、同社が30年前に発表した、第2次世界大戦時を舞台にした「火垂るの墓」は、今も強く心に響くメッセージを持っている。
野坂昭如氏による1967年の同名小説を原作とし、今月5日に死去した伝説的なアニメーション監督でスタジオジブリの共同創設者、高畑勲氏が製作したアニメ映画は、第2次世界大戦末期の日本で必死に生き延びようとする、孤児の兄妹の物語だ。
映画の冒頭から結末は予告されている。独りぼっちの少年、清太は三宮駅で餓死する。所持品から清掃員が見つけたのは、ドロップ缶に入った少量の灰と骨のかけらだった。何の変哲もない缶は近くの野原に投げ捨てられ、空に向かった清太の魂は4歳の妹、節子の魂と再開する。
2人をホタルの群れが囲み、物語は始まる。「昭和20年9月21日夜、僕は死んだ」――清太の声による、耳に残るナレーションが入る。
ジブリ作品の一つではあるものの、「火垂るの墓」は一般的な子供向け映画とは全く違う。明るい気持ちにさせるそれまでの作品とは一線を画し、多くの人が観るのをためらうような悲惨な物語だ。しかし、映画評論家で歴史家の故ロジャー・イーバート氏は、「戦争映画として最も偉大な作品の一つ」だと称賛した。
2000年に書かれた批評で、イーバート氏は、「アニメ映画はその最初期から、子供たちや家族のための『漫画』だった。しかし、それらの映画が存在するのは安全地帯に限られ、涙は誘っても悲しみを味わせることはなかった。『火垂るの墓』による感情体験は、アニメに対する考えを変えさせるほど力強い」と述べた。
第2次世界大戦末期に激しさを増した米軍による空襲は、主人公たちが住む神戸も襲う。
戦争に悲劇は付き物だが、この映画が描く物語の力強さには、高畑監督自身の経験がかかわっている。戦争時に少年だった監督は、当時住んでいた岡山市で大規模な空襲に遭った。
細やかな描写と印象派的な効果によって、高畑監督は戦争が人々に与える影響をリアルによみがえらせている。
米国の編集者で、日本のマンガ・アニメ業界を論じた「Japanamerica(ジャパナメリカ)」の著者、ローランド・ケルツ氏は、「火垂るの墓」のワンシーンについて、非常に悲劇的ながら「心が奪われるような美しさ」があると話す。
ケルツ氏は、「漁師の集団が、湾の向こうで炎に包まれた神戸の街を見つめている。空をなめるように炎が上がるなか、漁師たちの後ろ姿が映し出される」と語る。「惨劇の静けさ。誰も動かないが、彼らの衝撃が伝わってくる。まさにシェルショック状態を表したシーンで、恐ろしいと同時にものすごく美しい」
戦争を生き延びるシンガポール国立大学・日本研究学科のリム・ベン・チュウ准教授は、「火垂るの墓」は現在でも色あせないどころか、重要性がこれまで以上に高まっていると指摘する。
リム氏は、「『火垂るの墓』が注目すべき映画なのは、さまざまなメッセージを含むなかで、命の大切さを強調している点が挙げられる。取り返しのつかない悲劇、戦争中の日本人が耐えなくてならなかった苦難を描いているが、観る人はなぜ第2次世界大戦が起きてしまったのかを自ら問う必要がある」と述べた。
「過去の日本の軍国主義を知ることも、映画中の出来事に対するより良い理解を助け、すべての戦争に対する一般的な人間感情を培う。それは将来の戦争を予防する、より効果的な方法になる」
前出のケルツ氏はこうも語っている。「『火垂るの墓』には、二義性や人生への後悔など豊かな物語性がある。その点だけで今も色あせていない。切羽詰った状況での英雄性や気高さの欠如の物語であり、その点では、ほぼアンチハリウッド映画だ」
「ハリウッド映画なら、困難なときにはヒーローが必要だと信じさせようとするだろう。高畑勲は反対の弱さを表現する。困難なときに最も必要なのは謙虚さ、忍耐、自己抑制だと。それによって生き延びられるのだと」
希望の象徴「火垂るの墓」は、ジブリ映画としては最も暗い映画の一つだと言われているかもしれないが、熱心なファンたちは、「不当な評価を受けている」とするこの作品や、作品から得られる身につまされる教訓について、議論に再び火をつけるのをやめなかった。発表から30年がたった今でも、議論は活発だ。多くの人々にとって、戦争が人々に与える影響は今も、人々から強い反応を生む。
YouTubeのユーザーのとある「火垂るの墓」ファンは、「アニメが過剰な表情や、性的なコンテンツ、陳腐な10代の恋愛ばかりだと思っている人は、『火垂るの墓』を観るといい。自分の間違いが完璧に証明されるだろう」とコメントしている。
米掲示板サイト「レディット」ユーザーのあるファンは、ホタルが象徴するものについて語っている。「ホタルには、主人公たちの街を焼いた焼夷(しょうい)弾と希望と忍耐力を表す二重の意味が込められていて、いつまでも心に残る映画の象徴になっている」。
ジブリのファンのレベッカ・リーさんはフェイスブックに、「トランプ政権が誕生し、世界中で多くの人がナショナリズムに染まるなかで、この映画の必要性はこれまでになく高まっている」と書いた。
「この映画は第2次世界大戦の隠喩で、2人の登場人物が死ぬというだけの映画ではない。『火垂るの墓』は、盲目的で反省のないナショナリズムや、それに従った人々の苦い結末について語っている。この映画は悲しいから傑作なのではなく、得られる教訓によって傑作になっている」》
(英語記事 Grave of the Fireflies: The haunting relevance of Studio Ghibli's darkest film)
https://news.yahoo.co.jp/pickup/6279249
【「火垂るの墓」 ジブリで最も暗い作品が今も持つ重要性】
4/16(月) 18:56
BBC News
ヘザー・チェン記者
《日本アニメ界の巨人スタジオジブリは、「となりのトトロ」など明るい内容の名作で知られるが、同社が30年前に発表した、第2次世界大戦時を舞台にした「火垂るの墓」は、今も強く心に響くメッセージを持っている。
野坂昭如氏による1967年の同名小説を原作とし、今月5日に死去した伝説的なアニメーション監督でスタジオジブリの共同創設者、高畑勲氏が製作したアニメ映画は、第2次世界大戦末期の日本で必死に生き延びようとする、孤児の兄妹の物語だ。
映画の冒頭から結末は予告されている。独りぼっちの少年、清太は三宮駅で餓死する。所持品から清掃員が見つけたのは、ドロップ缶に入った少量の灰と骨のかけらだった。何の変哲もない缶は近くの野原に投げ捨てられ、空に向かった清太の魂は4歳の妹、節子の魂と再開する。
2人をホタルの群れが囲み、物語は始まる。「昭和20年9月21日夜、僕は死んだ」――清太の声による、耳に残るナレーションが入る。
ジブリ作品の一つではあるものの、「火垂るの墓」は一般的な子供向け映画とは全く違う。明るい気持ちにさせるそれまでの作品とは一線を画し、多くの人が観るのをためらうような悲惨な物語だ。しかし、映画評論家で歴史家の故ロジャー・イーバート氏は、「戦争映画として最も偉大な作品の一つ」だと称賛した。
2000年に書かれた批評で、イーバート氏は、「アニメ映画はその最初期から、子供たちや家族のための『漫画』だった。しかし、それらの映画が存在するのは安全地帯に限られ、涙は誘っても悲しみを味わせることはなかった。『火垂るの墓』による感情体験は、アニメに対する考えを変えさせるほど力強い」と述べた。
第2次世界大戦末期に激しさを増した米軍による空襲は、主人公たちが住む神戸も襲う。
戦争に悲劇は付き物だが、この映画が描く物語の力強さには、高畑監督自身の経験がかかわっている。戦争時に少年だった監督は、当時住んでいた岡山市で大規模な空襲に遭った。
細やかな描写と印象派的な効果によって、高畑監督は戦争が人々に与える影響をリアルによみがえらせている。
米国の編集者で、日本のマンガ・アニメ業界を論じた「Japanamerica(ジャパナメリカ)」の著者、ローランド・ケルツ氏は、「火垂るの墓」のワンシーンについて、非常に悲劇的ながら「心が奪われるような美しさ」があると話す。
ケルツ氏は、「漁師の集団が、湾の向こうで炎に包まれた神戸の街を見つめている。空をなめるように炎が上がるなか、漁師たちの後ろ姿が映し出される」と語る。「惨劇の静けさ。誰も動かないが、彼らの衝撃が伝わってくる。まさにシェルショック状態を表したシーンで、恐ろしいと同時にものすごく美しい」
戦争を生き延びるシンガポール国立大学・日本研究学科のリム・ベン・チュウ准教授は、「火垂るの墓」は現在でも色あせないどころか、重要性がこれまで以上に高まっていると指摘する。
リム氏は、「『火垂るの墓』が注目すべき映画なのは、さまざまなメッセージを含むなかで、命の大切さを強調している点が挙げられる。取り返しのつかない悲劇、戦争中の日本人が耐えなくてならなかった苦難を描いているが、観る人はなぜ第2次世界大戦が起きてしまったのかを自ら問う必要がある」と述べた。
「過去の日本の軍国主義を知ることも、映画中の出来事に対するより良い理解を助け、すべての戦争に対する一般的な人間感情を培う。それは将来の戦争を予防する、より効果的な方法になる」
前出のケルツ氏はこうも語っている。「『火垂るの墓』には、二義性や人生への後悔など豊かな物語性がある。その点だけで今も色あせていない。切羽詰った状況での英雄性や気高さの欠如の物語であり、その点では、ほぼアンチハリウッド映画だ」
「ハリウッド映画なら、困難なときにはヒーローが必要だと信じさせようとするだろう。高畑勲は反対の弱さを表現する。困難なときに最も必要なのは謙虚さ、忍耐、自己抑制だと。それによって生き延びられるのだと」
希望の象徴「火垂るの墓」は、ジブリ映画としては最も暗い映画の一つだと言われているかもしれないが、熱心なファンたちは、「不当な評価を受けている」とするこの作品や、作品から得られる身につまされる教訓について、議論に再び火をつけるのをやめなかった。発表から30年がたった今でも、議論は活発だ。多くの人々にとって、戦争が人々に与える影響は今も、人々から強い反応を生む。
YouTubeのユーザーのとある「火垂るの墓」ファンは、「アニメが過剰な表情や、性的なコンテンツ、陳腐な10代の恋愛ばかりだと思っている人は、『火垂るの墓』を観るといい。自分の間違いが完璧に証明されるだろう」とコメントしている。
米掲示板サイト「レディット」ユーザーのあるファンは、ホタルが象徴するものについて語っている。「ホタルには、主人公たちの街を焼いた焼夷(しょうい)弾と希望と忍耐力を表す二重の意味が込められていて、いつまでも心に残る映画の象徴になっている」。
ジブリのファンのレベッカ・リーさんはフェイスブックに、「トランプ政権が誕生し、世界中で多くの人がナショナリズムに染まるなかで、この映画の必要性はこれまでになく高まっている」と書いた。
「この映画は第2次世界大戦の隠喩で、2人の登場人物が死ぬというだけの映画ではない。『火垂るの墓』は、盲目的で反省のないナショナリズムや、それに従った人々の苦い結末について語っている。この映画は悲しいから傑作なのではなく、得られる教訓によって傑作になっている」》
(英語記事 Grave of the Fireflies: The haunting relevance of Studio Ghibli's darkest film)
https://news.yahoo.co.jp/pickup/6279249
2018年1月3日水曜日
180101朝生元旦スペシャル 気になることを動画で伝える
朝生元旦スペシャル 気になることを動画で伝える
https://www.facebook.com/gomizeromirai/videos/1961707360536058/
1月1日 11:00 ·
1-5朝生元旦スペシャル 47分08秒
いきなり村本発言 沖縄を見捨てるな! 20180101
たった10分で沖縄終了、村本は、メディアの在り方を問題提起するも、話題からはずされた?
以下のリンクからも視聴できます
http://www.dailymotion.com/video/x6chfum
1-5朝生元旦スペシャル 47分08秒
https://www.facebook.com/gomizeromirai/videos/1961707360536058/
2-5朝生元旦スペシャル 1時間44秒
https://www.facebook.com/gomizeromirai/videos/1961910327182428/
3-5朝生元旦スペシャル 43分52秒
https://www.facebook.com/gomizeromirai/videos/1961957150511079/
http://www.dailymotion.com/video/x6chli3
4-5朝生元旦スペシャル 39分15秒
https://www.facebook.com/gomizeromirai/videos/1962178077155653/
5-5朝生元旦スペシャル 55分25秒
https://www.facebook.com/gomizeromirai/videos/1961797703860357/
http://www.dailymotion.com/video/x6chijc
なんで改憲しなきゃならない?村本頑張るも集中砲火!
憲法9条と自衛隊20180101
朝まで生テレビ!-今回のテーマ2017年12月31日(日)
深夜1:00~5:50
激論! “平成30年”日本の未来
ド~見る?!“平成”の世界と日本
ド~変わった?!世界と日本
そして、私たちはどこへ向かうのか…
ド~する?!米朝緊張と日本の安全
緊迫する米朝とニッポン!
ド~なる?!国民の安全
これでいいのか?!日本外交・安全保障
ド~なる?!憲法改正と自衛隊
ド~なる?!憲法9条
ド~なる?!戦後平和主義
番組開始から30回目の年越しに
いま、改めて問う“日本・日本人”
番 組 進 行:渡辺 宜嗣(テレビ朝日)
村上 祐子(テレビ朝日)
司 会:田原 総一朗
パネリスト:片山さつき(自民党・参議院議員)
長妻昭(立憲民主党・衆議院議員)
井上達夫(東京大学大学院教授)
落合陽一(筑波大学学長補佐・准教授、メディア・アーティスト)
猿田佐世(「新外交イニシアティブ」事務局長、弁護士)
瀬口清之(キヤノングローバル戦略研究所研究主幹、元日銀北京事務所長)
津田大介(ジャーナリスト、メディア・アクティビスト)
中林美恵子(早稲田大学教授、元米連邦議会職員)
三浦瑠麗(国際政治学者、東京大学政策ビジョン研究センター講師)
村本大輔(お笑いコンビ「ウーマンラッシュアワー」)
森本敏(拓殖大学総長、防衛大臣政策参与)
李相哲(龍谷大学教授)
https://www.facebook.com/gomizeromirai/videos/1961707360536058/
1月1日 11:00 ·
1-5朝生元旦スペシャル 47分08秒
いきなり村本発言 沖縄を見捨てるな! 20180101
たった10分で沖縄終了、村本は、メディアの在り方を問題提起するも、話題からはずされた?
以下のリンクからも視聴できます
http://www.dailymotion.com/video/x6chfum
1-5朝生元旦スペシャル 47分08秒
https://www.facebook.com/gomizeromirai/videos/1961707360536058/
2-5朝生元旦スペシャル 1時間44秒
https://www.facebook.com/gomizeromirai/videos/1961910327182428/
3-5朝生元旦スペシャル 43分52秒
https://www.facebook.com/gomizeromirai/videos/1961957150511079/
http://www.dailymotion.com/video/x6chli3
4-5朝生元旦スペシャル 39分15秒
https://www.facebook.com/gomizeromirai/videos/1962178077155653/
5-5朝生元旦スペシャル 55分25秒
https://www.facebook.com/gomizeromirai/videos/1961797703860357/
http://www.dailymotion.com/video/x6chijc
なんで改憲しなきゃならない?村本頑張るも集中砲火!
憲法9条と自衛隊20180101
朝まで生テレビ!-今回のテーマ2017年12月31日(日)
深夜1:00~5:50
激論! “平成30年”日本の未来
ド~見る?!“平成”の世界と日本
ド~変わった?!世界と日本
そして、私たちはどこへ向かうのか…
ド~する?!米朝緊張と日本の安全
緊迫する米朝とニッポン!
ド~なる?!国民の安全
これでいいのか?!日本外交・安全保障
ド~なる?!憲法改正と自衛隊
ド~なる?!憲法9条
ド~なる?!戦後平和主義
番組開始から30回目の年越しに
いま、改めて問う“日本・日本人”
番 組 進 行:渡辺 宜嗣(テレビ朝日)
村上 祐子(テレビ朝日)
司 会:田原 総一朗
パネリスト:片山さつき(自民党・参議院議員)
長妻昭(立憲民主党・衆議院議員)
井上達夫(東京大学大学院教授)
落合陽一(筑波大学学長補佐・准教授、メディア・アーティスト)
猿田佐世(「新外交イニシアティブ」事務局長、弁護士)
瀬口清之(キヤノングローバル戦略研究所研究主幹、元日銀北京事務所長)
津田大介(ジャーナリスト、メディア・アクティビスト)
中林美恵子(早稲田大学教授、元米連邦議会職員)
三浦瑠麗(国際政治学者、東京大学政策ビジョン研究センター講師)
村本大輔(お笑いコンビ「ウーマンラッシュアワー」)
森本敏(拓殖大学総長、防衛大臣政策参与)
李相哲(龍谷大学教授)
2018年1月2日火曜日
180101首相「タブーに挑み国民守る」櫻井よしこさん「日本の立ち位置は強力」
首相「タブーに挑み国民守る」 櫻井よしこさん「日本の立ち位置は強力」
記念撮影に臨む(左から)我那覇真子さん、半井小絵さん、安倍晋三首相、櫻井よしこさん、田北真樹子記者(酒巻俊介撮影)
平成30(2018)年を迎え、安倍晋三首相は、ジャーナリストの櫻井よしこさん、気象予報士の半井小絵さん、沖縄で活動を続ける我那覇真子さん、産経新聞政治部の田北真樹子記者の女性論客4人を首相公邸に招き、外交・安全保障や憲法改正などについて大いに語った。対談の模様は1月5日午後9時から、櫻井よしこさんが主宰するインターネット番組「言論テレビ」で放映される。
◇
櫻井 明けましておめでとうございます。
安倍 おめでとうございます。
櫻井 平成30年は本当に大事な年になります。安倍首相が政権を奪還して6年目に入り、国際社会における日本の立ち位置は非常に強力なものになりましたが、日本周辺の安全保障環境は非常に厳しいですね。そんな中、昨年秋の衆院選で自民党が大勝したことはよかったと思います。
安倍 昨年の衆院選には批判もありました。ですが、北朝鮮が「政策を変えるので話し合いたい」と言ってくる状況を作るため、国際社会が連携して圧力を強めなければならない。このことを世界に訴えていくには国民の信任を得ることが大切でした。
おかげで選挙後のアジア太平洋経済協力会議(APEC)や東アジア首脳会議(EAS)では各国首脳が私の主張に耳を傾けてくれた。国民から力を得て外交力を発揮することができたと実感しました。
櫻井 今ほど日本が国際社会で存在感を持ったことは過去にないのでは?
安倍 一番というほど傲慢(ごうまん)ではありませんが、長く政権が続いていることで、多くの首脳と胸襟を開いて話をできる関係になったことは大きいですね。
半井 首相はプーチン露大統領やトランプ米大統領ら癖のある外国首脳と親しいので「猛獣使い」とも呼ばれているそうですが、何かコツがあるんでしょうか。
安倍 自然体で対応しているんですけど(笑)。米国は日本が海外から攻撃されたとき、ともに戦ってくれる唯一の同盟国です。どなたが大統領になろうともしっかりと信頼関係を築くことは日本の首相の責任と言ってもよい。幸いトランプ大統領とはお互いに何でも言える関係を作ることができました。ゴルフを2回やって…。これは結構大きいんですよ。多忙な米大統領と半日くらいゆっくりと話ができる。相手の性格も分かりますしね。プーチン大統領とはもう20回会談をし、信頼を重ねていくことができました。
櫻井 いろんな首脳から、トランプ大統領について問い合わせの電話があると聞きましたが?
安倍 そういうことはあまりお話できませんが…。欧州連合(EU)との関係も今ほど緊密だったことはありません。昨年12月には日EUの経済連携協定(EPA)交渉が妥結しました。日本のGDPを1%押し上げると予測されており、アベノミクスに新たなエンジンができました。
櫻井 日本が中心となって価値観を共有する国々と連携できたことは素晴らしいと思います。
安倍 日本はルール作りがあまり得意ではなかっただけに、中心になれたのは大きいですね。
田北 北朝鮮情勢が緊迫化する中、安倍政権で安保法制や特定秘密保護法、テロ等準備罪を整備していて本当によかった。米国と関係強化する上で不可欠な法律だと思います。
安倍 日米関係は、日米史で今が最も強いと申し上げることができます。特定秘密保護法に反対の人たちは「映画が作れなくなる」と批判しましたが、作れなくなった映画があるんでしょうか。しっかりと秘密を守る仕組みができたので、米国から機微な情報を得ることができるようになりました。
また、安保法制により、米国とお互いに助け合うことができるようになりました。助け合えなければ信頼できませんよね。昨年は自衛艦が米艦の防護を初めて行いました。助け合いが可能になったので3つの米空母打撃群が日本海に入り、かつてない大規模な演習ができた。助け合える同盟が強いことを証明した実例だと思います。
我那覇 安倍政権はこれまでできなかったことを実現しました。首相が日本のタブー破りの先頭を切っていることで、言論空間の歪んだ沖縄にいる私も勇気をもらっています。次にやらねばならないタブー破りは何でしょうか?
安倍 日本を守るため、国民の命と暮らしを守るために何をやるべきかを真剣に考えること自体が、タブーの領域だったのでしょうね。これからも国民の命、そして日本を守るために必要な防衛力の姿を追求したいと思っています。
半井 北朝鮮による拉致問題でいえば、スパイ防止法にも踏み込んでいくお考えはありますか?
安倍 スパイ防止法を考えているわけでは全くありませんが、わが国を守るために必要なことをもっと率直に議論すべきではないかと思います。沖縄について一言。沖縄の米軍基地負担軽減を最も進めてきたと思っています。北部訓練場という本土復帰後最大の返還を成し遂げ、地位協定も環境と軍属に関する補足協定ができました。
普天間飛行場移設問題では空中給油機15機を山口・岩国基地に移駐しました。昨年は米軍ヘリから落下物がありました。あってはならないことです。普天間から辺野古に移れば、学校や民家の上で米軍機が飛行することはなくなります。
我那覇 マスコミは「オール沖縄で反基地だ」と報道しますが、私の住む名護市でも多くの人が米軍基地に理解を示しています。その証拠に沖縄県11市のうち9市は保守系市長なんですよ。
今日、初めて安倍首相とお会いしましたが、こんなに人相のよい、かっこいい首相が、沖縄の新聞ではいつも怖い顔で登場するんです。私たちは印象操作されてるなと思いまして。
安倍 …(苦笑)。
我那覇 政府と国民がマスコミに分断されているんです。お互いの素の顔を知るために何かをしなくてはいけないと思います。ぜひ本当の沖縄を見に来てください。
安倍 ありがとうございます。私も沖縄が大好きです。米軍基地については安全確保が第一だと何度も申し上げ、米側も努力しています。県民の皆さんのご理解が進むことを期待しています。
櫻井 首相に期待することには、拉致問題の解決もあります。
半井 私は「めぐみへの誓い-奪還-」という劇で拉致被害者の田口八重子さん役を演じています。八重子さんが飛行機のタラップから降りて兄の飯塚繁雄さんと抱き合う姿をぜひ見たい。拉致問題の進展はどうでしょうか。
安倍 拉致問題には初当選以来ずっと向き合ってきました。残念ながらまだ解決に近づくことができませんが、昨年はトランプ大統領が国連演説で米大統領として初めて拉致問題に言及しました。来日の際もご家族の皆さんや曽我ひとみさんと面談した。米国が拉致問題解決にコミットしたことを明確に示してくれたと思っています。
核・ミサイルだけでなく拉致問題も日米で一緒に取り組んでいきたい。そのためにも国際社会と連携して北朝鮮にしっかり圧力をかけていくことが大切なんです。昨年12月に採択された国連安保理の制裁決議では、石油精製品輸出の9割削減を決めました。北朝鮮の大使館がある国は次々に大使を追放しています。
櫻井 北朝鮮が話し合う方向に近づいているという感触はありますか?
安倍 1~2月をよくみていく必要があります。制裁が効いているという感触は、日本だけでなく米中両国や韓国も持っていると思います。
田北 仮に北朝鮮が対話路線に転じたとき、米中が日本抜きで対話することはあるのでしょうか?
安倍 北朝鮮が対話を求めるのが、どの国であっても国際社会が連携して対応することが大切です。日本は当事者です。拉致問題もあり、ノドンミサイルは日本を射程に入れています。日本抜きに話が進むことはあり得ません。
半井 トランプ大統領に拉致問題について説明されたのでしょうか。
安倍 一昨年11月に米ニューヨークのトランプタワーで初めて会った際に拉致問題を話しました。トランプ大統領だけでなく初めて会う首脳には必ず拉致問題を説明してきました。
我那覇 同じ日本人が拉致されても、目を向けない国民がいるというのは問題です。
安倍 大変根深い問題です。昭和52年に横田めぐみさんが拉致されましたが、当時、すでに別の拉致事件が起こっています。
櫻井 久米裕(ゆたか)さんですね。
安倍 はい。その時は犯人の目星がついていたんですが、処罰に至らなかった。当時はそういう状況だったんです。もし北朝鮮の犯行だと特定できていれば、めぐみさんは拉致されなかったと思います。実際、「北朝鮮は拉致していない」と主張する国会議員もたくさんいました。拉致問題に取り組む私に「変わった人だ」という視線は自民党にもありました。
安倍政権が6年目を迎える今も拉致問題を解決できていないのは痛恨の極みですが、政権の使命として解決のためにこれからも全力を傾けていきます。
櫻井 産経新聞が昭和55年1月に拉致問題を初めて報道しましたが、他の新聞社は報じませんでした。日本は自分たちがおとなしくしていれば他国が害を及ぼすことはないという考えに浸ってきたんでしょうが、国民の意識の変化はお感じになりますか。
安倍 随分理解は深まったと思いますが、まだ北朝鮮と話し合った方がいいという方はたくさんおられます。
櫻井 随分長く話しあってきましたよね。
安倍 北朝鮮と単なる話し合いをしても時間稼ぎに使われてしまうわけです。核開発計画を完全に放棄し、検証可能な形で不可逆的に廃棄していくことにコミットさせる。それを行動に示していくことが必要だと思っています。
半井 私は2~3年前まで政治にほとんど興味がなく、頭の中は「お花畑」だったんですが、それに気づいてやっぱり現実を見なきゃと思いまして。でも、まだ多くの国民は北朝鮮や中国の脅威という現実に目を向けていません。
安倍 中国は隣国であり、最大の貿易相手国です。日中が良好な関係を持つことは両国民にとって間違いなくプラスですし、日中関係は間違いなく改善しています。
その一方で中国が軍事力を拡張しているのも事実です。相当なスピードと言ってもいい。東シナ海や南シナ海では一方的な現状変更を試みています。
しかし、国際社会が共有するルールにのっとって対応することこそが中国が発展する道になると思います。そのためには日米同盟を基本として国際社会と連携しながら、中国が責任ある勢力として発展するよう促していくことが大切だと思っています。そして「自由で開かれたインド太平洋戦略」という私たちの考え方を国際社会に示していくことが大切だと思います。
共通の考え方を持つ日米豪印で連携していく態勢は整いつつあります。日豪は準同盟に近い関係になっています。自由、民主主義、基本的人権、法の支配という普遍的価値を共有する国々とともに、この地域を安定させていくことが、中国を含む地域の国々にとって間違いなくプラスになると思っています。
田北 首相は昨年5月3日、9条を堅持した上で自衛隊を明記する改憲案を提案しましたが、今後の展望をどう描いているのでしょうか?
安倍 櫻井さんのセミナーで憲法改正に関する私の考え方を述べさせていただきました。残念ながらこれまで憲法議論は進んでこなかったんですね。
自民党は党是である憲法改正を進めていく責任があります。過去5回の国政選挙で公約に掲げてきましたからね。私はまず一石を投じて議論を活性化させようと思いました。党内議論は活発化し、国民の皆さまにも野党にもご注目をいただいていると思います。
櫻井 あれはすごいくせ玉でしたからね。
安倍 政治は現実ですから、いくらやりたいと言っても改憲の発議には衆参でそれぞれ3分の2超の議員の賛成が必要です。相当高いハードルです。その後、国民投票というもっと高いハードルがあります。
では、国民の皆さんに賛成していただけるところはどこか。私はまず自衛隊の違憲論争に終止符を打つことではないかと思いました。自衛官が息子さんに「お父さん、憲法違反なの?」と言われたというんです。教科書に書いてありますからね。さぞショックだったかと思います。
櫻井 「命をかけて任務を遂行します」と宣誓して自衛官になる人たちは本当にそのように行動します。それなのに「憲法違反なの?」と子供さんに言われるのは本当に辛い。
安倍 朝日新聞の調査によると、憲法学者で自衛隊を合憲と言い切る方は2割ちょっとしかおらず、7割以上が違憲の可能性を完全に否定できないというのが現状です。こうした論争に終止符を打つことが私たちの世代の責任ではないでしょうか。
昨秋の衆院選では初めて4項目に絞って憲法改正したいと考えていることを表明しました。その結果、大勝させていただいたからには当然、党において議論を進めていただけるものと期待しています。
田北 自民党総裁としてどのようなスケジュールを描いているのですか。
安倍 スケジュールを含めて私がいま口を出すとややこしくなる危険性があるので…。国会が発議することなので党にお任せしたいと思っています。
我那覇 沖縄の一県民として「誰が沖縄を守ってくれるのか」と思います。選挙ではいつも基地問題が争点になり、本土の皆さんに「申し訳ありません」と言われるのですが、日本国の安全を沖縄が担っているんだから、むしろ国防を強化すべきです。
安倍 騒音や事故があるので基地を受け入れてくれている方々が負担を感じることは当然あると思います。ですが、もし日本が攻められたとき、自衛隊と米軍が共同対処して命をかけて沖縄を守っていく。このことはぜひご理解いただきたい。訓練は迷惑になることもありますが、それを受け入れてくれる人がいて初めていざというときに対応できるんです。
櫻井 首相がリーダーシップを発揮して平成30年を本当に実りある年にしていただきたいと思います。本日はどうもありがとうございました。
半井 頼りにしております。
安倍 どうぞよろしくお願いします。ありがとうございました。
◇
櫻井よしこ(さくらい・よしこ)ハワイ大歴史学部卒。クリスチャン・サイエンス・モニター紙東京支局員、アジア新聞財団「DEPTH NEWS」東京支局長、日本テレビのニュースキャスターを経てフリージャーナリスト。国家基本問題研究所理事長。
◇
半井小絵(なからい・さえ)早稲田大院アジア太平洋研究科修了。平成13年に気象予報士となり、14年からNHKの気象キャスターを9年間担当する。特定非営利活動法人火山防災推進機構客員研究員。「真相深入り! 虎ノ門ニュース」コメンテーター。
◇
我那覇真子(がなは・まさこ)沖縄県名護市生まれ。高校時代に米国に交換留学。平成24年、早稲田大人間科学部卒。27年に国連人権理事会で翁長雄志沖縄県知事への反論スピーチを行った。「琉球新報、沖縄タイムスを正す県民・国民の会」代表運営委員長。
◇
田北真樹子(たきた・まきこ)米シアトル大コミュニケーション学部卒。平成8年に産経新聞社に入社。前橋支局などを経て12年から政治部。21~24年にニューデリー支局長。25年から「歴史戦」取材班で慰安婦問題などを取材。政治部首相官邸キャップ。
◇
この対談は、1月1日午後0時半から、ニッポン放送で放送されます。
180101しんぶん赤旗新春痛快対談 志位和夫 浜矩子
日本共産党しんぶん赤旗
2018年1月1日(月)
日曜版新年合併号 新春痛快対談
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik17/2018-01-01/2018010101_01_0.html
市民が社会動かす時代
"おとな"の共産党に期待 同志社大学大学院教授 浜矩子さん
おおらかに力合わせましょう 日本共産党委員長 志位和夫さん
安倍政権への歯に衣(きぬ)着せぬ批評が評判の浜矩子さん(同志社大学大学院教授)と日本共産党の志位和夫委員長の2018年新春対談。総選挙結果と市民と野党の共闘、安倍晋三首相の政策批判から未来社会論まで大いに語り合いました。
写真
志位 あけまして、おめでとうございます。
浜 おめでとうございます。
志位 浜さんには、昨年の都議選、総選挙で何度も激励のメッセージをいただき、心から感謝を申し上げます。
浜 総選挙では安倍政権を追い込みましたね。多くのメディアは「自公勢力の圧勝・大勝」と報じましたが、不正確です。選挙前と比べ、わずかながら自公勢力は小さくなりました。安倍さんにとっては大誤算でした。「市民と立憲野党の共闘」から、立憲民主党が生まれたことも貴重です。彼らが野党第1党になり空気が変わりました。共産党の尽力で共闘体制ができたおかげです。
「グリーンモンスター」(小池百合子・希望の党前代表)が墓穴を掘ったこともあり、意外と楽しい選挙でした。(笑)
志位 私もだいたい同じような見方です(笑)。まず自公の「3分の2」は、いろんな仕掛けがあって、かろうじて拾ったものです。とくに小選挙区制です。自民党の比例代表での得票率は33%なのに61%の議席を得た。これは「虚構の多数」ですね。そして何と言っても希望の党の出現で野党共闘が分断されたことが、安倍さんの最大の「援軍」になった。安倍さんは小池百合子さんに足を向けて寝られないでしょう。(笑)
共産党が議席を減らしたのは大変残念です。私たちの力不足です。次は力をつけて絶対に勝とうと決意しています。
市民と野党の共闘では共産、立憲、社民の3野党と市民連合が政策合意を結んでたたかい、3野党全体では38議席から69議席に増えました。次につながる大事な成果を得たと思います。
浜 おっしゃる通りですね。共産党が議席を失われたのは痛恨でしょうし、その巻き返しは当然だと思います。ただ市民の目から見ると、あのときの共産党の対応が本当にありがたかった。自分のところはさておき、市民連合が「闇の軍団」=安倍自公政権と対峙(たいじ)することに全精力をあげてくれたことはとてもよかったです。
志位 そう評価していただきますと心強い限りで、感謝いたします。
「闇の軍団」の国会乗っ取り止めたことは共闘の成果
総選挙 共産党の貢献
写真
(写真)しい・かずお=1990年に書記局長、93年衆院選で初当選(衆院議員9期目)、2000年から幹部会委員長。著書に『戦争か平和か 歴史の岐路と日本共産党』、『綱領教室』全3巻(いずれも新日本出版社)など
写真
(写真)はま・のりこ=エコノミスト。三菱総合研究所初代英国駐在員事務所所長、同社政策・経済研究センター主席研究員などを経て2002年から現職。近著に『世界経済の「大激転」混迷の時代をどう生き抜くか』(PHPビジネス新書)、『どアホノミクスの断末魔』(角川新書)など
志位 今度の総選挙は、市民と野党の共闘が崩壊の危機にひんするという波乱にとんだ展開となりました。私たちの対応としては二つの点が大事だったと思っています。
第一は、解散の日(9月28日)に、希望の党に民進党が丸ごと合流するという動きになったその日に、私たちが二つのメッセージを発信したということです。
一つは「逆流と断固たたかう」ということです。希望の党は「自民党の補完勢力」だと批判し、“民進党候補が希望に行った場合は、共産党は候補者を立てる”と宣言しました。もう一つは「共闘を絶対にあきらめない」ことです。“共闘の立場に立つ方々とはしっかり連携する”と表明しました。
このメッセージは、全国の市民連合のみなさんとも響き合い、“希望の党に行っても希望はない”(笑)と民進党候補への説得が行われました。共闘の立場に立つ流れがうまれ、立憲民主党が結党されました。
第二は、共闘を再構築する過程で、私たちが安倍政権の暴走政治を許さないという大局にたって、67の小選挙区で候補者を降ろし共闘体制をつくる決断をしたことです。逆流を乗り越え共闘を前に進める貢献となったと思います。
浜 市民の目から見るともう絶対に巻き戻されたくない。この流れを崩さないように、共産党が“おとな”の大局観と視線をもってうまく運んでいってくれることをすごく期待しています。
立憲民主党は内部でもいろんなことがありながら、薄氷を踏むように歩んでいる感じがします。そこをうまく“おとな”が手引きをしてくれるという構図があるというのは安心感がありますね。
志位 あのときの対応は、日本政治の歴史的な分かれ道での、大局に立った決断でした。もし野党共闘つぶしが成功していれば、自公と希望の保守二大改憲推進勢力=「闇の軍団」で国会が乗っ取られてしまった。それを断固阻止するくさびをガンと打ち込んだ。これは、次につながる結果だと思います。
安倍流「働き方改革」は19世紀以前への時代逆行
おぞましい雇用大改悪
浜 次につなげるという点では、今度の通常国会で、おぞましい安倍流「働き方改革」が議論されていくことになります。どうつぶし、押し戻すのか。これから本当のたたかいになっていきます。
志位 そうですね。「働き方改革」といいますが、財界にとって都合のいい働かせ方を強要する―「働かせ方大改悪」が正体ですね。いくら働いても残業代を払わない「残業代ゼロ」法案をまた持ち出そうとしています。残業時間の上限規制を行うと言いながら、過労死ラインの月80時間~100時間という残業も合法化しようとしている。「同一労働同一賃金」と言いますが、実際に出そうとしている法案では、企業が能力や貢献度を判断して、「違いに応じた支給」を容認する方向であり、格差固定化を容認するものとなっています。
浜 まったくそうです。安倍政権の「働き方改革実行計画」には“同一労働同一賃金も長時間労働の是正も「労働生産性の向上」のためにやる”ということが明確に書いてあります。労働者の権利を実現するという視点はみじんもありません。
志位 とくに「残業代ゼロ制度」―「高度プロフェッショナル制度」は、労働時間規制の概念そのものを外してしまうもので、異次元の雇用ルールの破壊です。
浜 猛烈な時代逆行です。19世紀以前の働き方を「働き方改革」と称して実現しようとしています。
「残業代ゼロ制度」を正当化しようと彼らは“時間で制約をかけることは、労働者の能力を開花させることをじゃましている”という論理を持ち出していますね。これは19世紀にだされたマルクスの『資本論』で書かれている資本家の論理――“彼らの働く自由を奪ってはならない”と同じです。こんな論理を21世紀に平気で持ち出してくることに、がく然とします。
志位 おっしゃるように猛烈な時代逆行です。労働時間規制は19世紀のイギリスの工場法の10時間労働制から始まった。それが8時間労働制となり、労働者の権利を守る一番の要になってきました。資本家たちは労働時間規制に反対したけれど、導入してみたらイギリス資本主義に空前の繁栄の時代が訪れた。労働時間の短縮で労働者階級が健康を取り戻し元気になったからです。それが土台となり、空前の繁栄となったのです。逆にいえば、労働者の権利を切り縮めるようなことをやれば、資本主義社会そのものが成り立たなくなります。
浜 間違いなくそうですね。経団連と安倍政権は歴史から何も学んでいない気がします。「異次元金融緩和」とかお金の世界で悪さをしているだけでなく、今度は「人づくり革命」と称して人間にまで手をつけようとしている。「人づくり革命」と「生産性革命」を車の両輪にして、“一億総お国のための活躍社会”をつくろうとしている。許しがたく、絶対に押し戻していかなければと思います。
「規制緩和」で企業劣化
志位 企業の不祥事が続き、ついに経団連会長の出身企業・東レにまで品質管理の不正が起きました。なぜこうも不祥事が続くのか。その根本を考えると労働の「規制緩和」があります。いま働く人の3人に1人が非正規雇用で、女性と若者では2人に1人です。派遣や期間社員などの使い捨て労働が大企業の中枢でも横行しています。働く人を粗末にしたことが巡り巡って企業の首を絞め、劣化につながっているのです。
浜 その通りです。その流れに拍車をかけたのが、安倍政権の「稼ぐ力を取り戻す」という言い方です。労働者使い捨て型の経営を強化し、効率も生産性も上げ、安上がりに成果を出す方向に「企業統治」を構築せよ、と企業を追い立てています。そのなかで不正が起きています。「企業統治」とは本来は、企業が稼ぐことばかり考え、社会的な責任を忘れてはいけないという考えです。
志位 私は、「稼ぐ力」は、大企業は十分すぎるほどあると。(笑)
浜 そうです。あんなに内部留保を。稼ぎまくって。(笑)
政権がもたらす呼吸困難で日本経済は窒息死に陥る
志位 大企業の内部留保は400兆円を超えました。上場企業のトップ100社の有価証券報告書を調べてみますと、この4年間で利益を11兆円も増やしている。その配分について分析すると、50%が内部留保の積み増しに回り、44%が株主に回っていて、労働者にはたったの3%です。いくら「稼ぐ力」があっても労働者のところに回らない。長時間労働や不安定雇用で労働市場を荒廃させてしまったからです。
この巨額の内部留保をいかにして暮らしと経済に還元させるか。私たちは人間らしく働けるルールをつくるべきだと主張しています。残業時間に「週15時間、月45時間」といったきちんとした法的規制をかけ、非正規社員を正社員にする規制強化をはかり、大企業と中小企業の対等な取引ルールをつくっていく。そのことで、大企業に滞留している内部留保400兆円を働く人や中小企業に回るようにしていく。内需・消費が活発になり、経済の好循環が起こると思うんです。
写真
浜 いまの日本の状況をみると、私はこのままであれば、まさにおっしゃったようなメカニズムで、企業は本当は回すべきカネをため込むということをやり、稼ぐばかりで還元しない。政策がもたらす呼吸困難によって日本経済が窒息死に至る。そのプロセスに入っている気がしています。
株式市場をみれば、日本銀行が大多数の大企業の安定大株主になっている。日銀が許容する範囲でしか株価が動かない。こんなものは株式市場とは言いません。お金がまわる市場を、中央銀行の公的な介入で死に至らしめるのは、統制経済につながるファシズム体制です。資本主義としても民主主義としても許されません。まともに機能しない経済活動のしわ寄せは人びとの生活にきます。
志位 GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)と日本銀行のカネで株を買い支えて、主要な大企業の筆頭株主が日銀になっている。これは資本主義のメカニズムとしても…。
浜 絶対にありえないです。
志位 上場企業の大株主500人の保有株式時価総額をみると、この5年間で、9・9兆円から26・3兆円に2・7倍にもなっている。公的なカネで株価をつり上げ、富裕層はもうかったけど、庶民には何一ついいことはありません。
経団連の榊原定征(さだゆき)会長は、総選挙が終わった翌日、“自民党は安定多数をとったんだから国民に痛みを伴う改革をやれ”と、「社会保障改革」と「消費税増税」の号令をかけました。国民に対しては医療も介護も生活保護もすべて削って激痛を強いながら、自分たちはぬくぬくとお金をため込み、次から次へと不祥事を起こす。「痛みを伴う改革」は大企業の経営陣にこそ必要ですよ。
浜 まさにそうですよね。
グローバル時代の生き方を憲法はちゃんと書いている
21世紀に力持つ条文
浜 安倍首相が変えようとしている日本国憲法は、ものすごく最先端的で21世紀的なものだと思うんですね。憲法は21世紀のグローバル時代に、人々が共にどう生きるべきかを語ってくれています。とくに前文です。「日本国民は…諸国民との協和による成果と…」という一節の「協和」は、グローバル時代の生き方のキーワードです。
「日本国民は…平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した」という一節には、相互信頼への深い確信があります。これがなければ、簡単にヒト・モノ・カネが国境を超える時代を共に生きていくことはできません。
もう一つ、面白いのが、「いづれの国家も、自国のことのみに専念して他国を無視してはならない」というフレーズです。これをだれに読ませるべきかは、みなさんすぐに分かりますよね。(笑)
グローバル化時代に企業はうまく対応できていません。必死に内部留保をため込んだり、人を安上がりにこき使ったりするのも「グローバル時代は、こうしないと勝ち組になれない」という視野狭窄(きょうさく)的な認識がもたらすパニック対応です。
しかし本来のグローバル時代の生き方はそうではない。だれも一人では生きていけない時代です。「お互いさま」「おかげさま」の関係で、支えあい、助け合う。そんなフレームをみんなでつくっていく時代なのです。
それが日本国憲法にはちゃんと書いてある。最先端なんです。それを「古い」「時代遅れだ」といって変えようとするのは信じられない。そういう言い方こそが、今の時代が見えていないのだと思います。
写真
志位 その通りですね。同じことは憲法9条にも言えると思います。9条には、「二度と戦争はしない」という決意だけでなく、「世界平和の先駆けになる」という意気込みが込められています。グローバルな広がりを持っていますよね。
浜 そうですね。
志位 世界をみると、紛争は平和的に解決するというのが、圧倒的な流れになっています。とくに注目している地域が二つあります。
一つは、東南アジアです。東南アジア諸国連合(ASEAN)が、東南アジア友好協力条約(TAC)を結び、平和の地域共同体をつくっている。TACは、どんなもめごとも話し合いで解決する、武力行使は絶対にダメという条約です。かつてはいろいろな戦乱があった地域ですが、いまでは「紛争を戦争にしない」という点で徹底しています。ASEANはTACを域外諸国とも結んで世界規模のネットワークをつくっている。これはまさに9条の精神と響きあう流れです。
もう一つは、ラテンアメリカです。ASEANと同じような中南米カリブ海諸国共同体(CELAC)という平和の地域共同体の枠組みがあります。これも9条と精神は同じだと思います。
この二つの平和の地域共同体は、両方とも非核地帯になっています。「核兵器のない世界」をつくるという点でも、とても先進的なのです。
昨年、私は、2回ニューヨークに行き、国連本部で行われた核兵器禁止条約の交渉会議に参加しました。ここでも、核兵器禁止条約の採択にむけて、CELACとASEANは、非同盟諸国、欧州の中立国などとともに、大きな役割を果たしました。
世界では9条に響き合う流れが広がってきており、9条は時代の最先端をいっています。それなのに、この憲法を変えるというのは実に愚かです。絶対に許してはなりません。
浜 その通りですね。
安倍首相のトランプ米大統領追随は異様
日米首脳 危険な関係
志位 世界の動きで、私がたいへんに危険だと思っているのは、トランプ米大統領と安倍首相の2人の関係です。
トランプ氏は「アメリカ・ファースト」といいますが、これは他国に手を出さないということではありません。シリア攻撃を強行した。アフガニスタンへの米軍を増派した。エルサレムをイスラエルの首都と認定した。北朝鮮に対しても「すべての選択肢はテーブルの上にある」といって先制攻撃もありうると。「自国のために世界中に手を出す」ということなのです。
だから世界の首脳は、みんなトランプ氏と距離をもって付き合っています。メイ英首相もエルサレム首都認定では反対していますし、マクロン仏大統領もメルケル独首相も反対です。こんなときも安倍首相だけは一言も批判しない。北朝鮮問題で「すべての選択肢がテーブルにある」というトランプ氏を支持している首脳は、世界でも安倍首相だけだと思います。
浜 安倍さんには、「いうべきことをいう」という感性はないと思いますね。何をいうべきかもわかっていない。トランプ氏の「アメリカ・ファースト」は、おっしゃる通り、ちょっかい出すところには出すという構えを含むものです。完璧に自国のことのみに専念する。だから自国の利益貫徹を邪魔する者どもはやっつける。そういう発想ですね。そして安倍さんはというと、17年1月の施政方針演説で「世界の真ん中で輝く国創り」といいました。自分が世界の太陽になるのだというわけですよ。
志位 浜さんは、それを厳しく批判されていましたね。私は、浜さんの批判を読んで、ヒトラーが「世界の冠たるドイツ」といったことを思い出しました。
浜 そうですね。トランプ氏は、米国が居心地よく生きていけるのであれば、何を犠牲にしてもいいと。かたや安倍さんは、日本が「世界の真ん中で輝く国創り」。お互いに自分のことしか考えない者同士の相思相愛みたいなものです。いうべきことをいいながら、深い信頼で結ばれるのが本当の友情です。それにはおとなの知性と感性が必要ですが、この2人には、それがみじんもありません。
志位 本当にそう思います。私がいま一番心配しているのは、北朝鮮問題です。北朝鮮の核・ミサイル開発はもとより断固反対ですが、戦争だけは絶対に起こしてはなりません。ペリー元米国防長官は、核戦争になった際の被害は、韓国は朝鮮戦争の10倍に、日本は第2次世界大戦に匹敵すると警告しています。対話による平和解決が唯一の方策です。
ところが安倍首相は「すべての選択肢はテーブルの上にある」というトランプ氏を支持すると言い切っている。万一、トランプ大統領が先制攻撃の道を選んだら日本はどうなるのか。戦争法=安保法制を発動して、戦争をいっしょにやることになる。恐ろしいことです。甚大な犠牲が出ます。
浜 ほんとうにそうですよね。もう少しおとなになってもらわないと困ります。無理でしょうけど。
志位 トランプ氏は衝動的、無軌道に危険なことを言います。「北朝鮮を完全に破壊する」とか。ティラーソン米国務長官などからは、ともかく対話を探るというメッセージも出されている。そんなときでも安倍首相は一貫してトランプ氏をあおっている。たいへんに悪い役割を果たしていると思いますね。
浜 無責任ですよね。首相をやってはいけない人ですね。
志位 お引き取りを願うしかないです。
“状況は変えられる”目の当たりにした
市民と野党の共闘
浜 どうやって退陣していただくか。戦略を練るべきだと思います。市民との連帯、連合、共闘を盛り上げていくことがポイントだと思いますね。
志位 市民と野党の共闘には、すでに4年におよぶ歴史があります。最初は2014年の沖縄のたたかいです。「オール沖縄」という枠組みが初めてでき、名護市長選、知事選、総選挙で勝つことができました。知事選では自民党県連幹事長を務めたこともある翁長雄志さんを候補者にして、一緒にたたかいました。このとき翁長さんがおっしゃったのが「これからは保守は革新に敬意をもち、革新も保守に敬意をもち、力をあわせていきましょう」という言葉でした。感動しました。
15年1月の「党旗びらき」のあいさつで、“沖縄で起こったことは、全国で起こりうるという強い予感を抱きました”と話しました。この年に安保法制=戦争法案反対の空前の市民のたたかいが起こり、一人ひとりの市民が自由に声をあげて立ち上がりました。
浜 そうでしたね。
志位 労働組合の動員が中心だった60年安保闘争のときとも違った自発的な立ち上がりでした。その中で起きたのが「野党は共闘」のコールでした。そこで共産党もこれまでの方針を変えなければと考え、安保法制=戦争法が強行された15年9月19日に「戦争法(安保法制)廃止の国民連合政府をつくろう。そのために野党で選挙協力を行おう」と呼びかけました。この共闘は市民のたたかいが生み出したものなんです。
浜 そうですね。
志位 市民のたたかいが生み出した共闘ですから、進める力も市民のたたかいだと思います。とくに今は、安倍政権による9条改定を許さないという一点で空前のたたかいを起こすことが、共闘を進める一番の力になると思っています。
浜 あの安保法制のときに起きた動きが今、ぐっと広がっていますよね。「21世紀型市民革命」が起きているとつくづく思います。市民という言葉が持っている響きを体現した運動が全国津々浦々で、9条の会だとか実にたくさんあり、艱難(かんなん)辛苦の中、生き生きと活動されています。
志位 総選挙で希望の党が出てきたとき、そっちに行ってしまおうとする民進党の人たちを共闘の道に戻す力が働きました。これも2年間の共闘の積み重ねがあったからです。そこに自信をもって次につなげていきたいと思っています。
浜 この間の展開は“状況は変わるんだ”ということをはっきりしめしていますよね。良識ある人ほど「この閉塞(へいそく)的な現状は変えられないのでは」と思いがちですが、状況は変えられる。不可能は可能になる。奇跡は起こる。その一端を目の当たりにしているといっても過言ではないと思うんです。
志位 一緒に共闘をやるなかで、お互いに変わっていくというのが実感です。野党統一の候補で最初は「共闘」という言葉をいわなかった人も、当選後には「共闘の力で勝利できた」とおっしゃった方もいる。
浜 なるほど。
志位 共闘では、お互いに違いがあって当たり前です。しかし、たたかう中で、違いを違いとして認め合い、一致点で協力する、相手をリスペクト(尊重)する精神―おおらかな精神でやっていけば、前途は開けてくると思っています。
浜 「おおらか」というのは、すごく良い言葉ですね。トランプさんも安倍さんも、おおらかじゃない(笑)。おおらかに互いを認め合えるということは、ゆとりがあるということ。おとなだということでもあります。よい意味で、強き者たちです。一方、闇の軍団は基本的に臆病者の集団。怖くてしょうがないから、抑えにかかる。ある意味でかわいそうな人たちです。奇跡を担われているみなさんは、あらゆる場面でたくさんの奇跡を起こしていただきたいと思っています。
志位 共闘の問題で一つお話ししたいのは、これまでは共産党が、一部を除いて、一方的に候補者を降ろすという対応をしてきましたが、次の参院選ではあくまで相互推薦・相互支援の共闘をめざすということを決めました。そうしてこそ一番力が出る。共闘相手にもそこを乗り越えてほしいと思うんですね。
浜 その通りだと思います。うまく力がでる共闘には互恵性がとても重要です。お互いに恩恵を施し合える形をどう築き上げていくか。それが丈夫で長持ちの大原則だと思います。丈夫で長持ちスタイルに向けて共闘のあり方も進化する。これはとても重要なポイントだと思います。進化するから深化する共闘。これは素晴らしい。
志位 いま始まっている市民と野党の共闘は、日本の政治で初めてのものです。先ほどおっしゃられた「奇跡」を起こしながら、未踏の領域を切り開きたい。難しいことも起きてくるでしょうが、負けないで、おとなの対応で一歩一歩進んでいきたいと思っています。
「格差と貧困」深まる矛盾 世界に二つの潮流が生まれた
「99%の連帯」が大切
浜 「21世紀の市民革命」のテーマの一つとして格差と貧困の問題があると思います。米国では1%の富裕層が全米の富の4割を独占しています。日本は蓄積された富の大きさでみても、とてつもなく豊かな経済社会ですよね。そのなかで相対的貧困率は先進国とは思えない高さです。この「豊かさのなかの貧困」、富の偏在問題をどう解消していくのか、対応していかなければならないと思います。
志位 今の日本社会を分析してみると、富裕層に富が集中し、貧困層が拡大しているだけでなく、所得が500万~1千万円ぐらいの中間層も減っています。安倍政権の5年間で実質賃金は年間12万円も減り、1世帯当たりの家計消費も年間20万円も減った。中間層がどんどんやせ細り、疲弊していっているのが、今の日本社会です。
米国と一緒です。中間層の疲弊がはっきり出て、そのゆがみがトランプ大統領の誕生につながった。日本も同じような構造になってきていると思いますね。日本でも「99%」という結集はできると思うんです。
浜 そうですね。ご指摘のように、いまや日本にも「貧困の中の豊かさ」、つまり多数が貧困の中で一握りの人びとの豊かさが突出する姿に近づいているのだとすれば、確かに、結集がむしろやりやすくなってきているのかもしれない。ただそうであればあるほど、日本版トランプ大統領を産み落とすという方向にいかないようにしないと。疲弊する中間層がトランプ氏を産み落とした。日本でもそうした偽ポピュリズムの横行跋扈(ばっこ)や国粋主義への心酔の拡散が起きないようにするためには、どうするか。そこが切迫したテーマになってきますね。
志位 そのためにも「99%の連帯」が大切だと思うんです。米国ではトランプ氏が出てきたけど、「民主的社会主義者」を名乗るサンダース上院議員も大統領選挙で大健闘した。イギリスでも、ジェレミー・コービンさんという「社会主義者」を名乗る最左派の政治家がイギリス労働党の党首になった。スペインでは、「ポデモス」という左派系の新政党が躍進しています。ギリシャでは「シリザ」(急進左派連合)が政権についています。トランプ的な排外主義の流れと、本当の意味での人民主義の流れの両方が出てきています。後者との連帯を大いに強めたいと考えています。
浜 そうですね。そこに救いがある。その意味で日本においては、いままさに「市民と野党の共闘」が人間性を尊重する人本主義に向かう道を開いてくれるはずです。
志位 日本での共闘も人民の権利を守りたたかう国際的な流れの中にある。自らが担い手となって民主主義をつくっていく「参加型の民主主義」という世界の流れに大いに学んでいきたいですね。
浜さんは「真のコミュニズムを実現できれば、21世紀は打開の世紀となるかも」と書いてますね
未来社会を語り合う
志位 浜さんは「真のコミュニズムを実現させることができれば、21世紀は人類にとって打開の世紀となるかもしれない」(「東京」17年8月13日付)とお書きになっていますね。
私たちがめざす未来社会とは、生産手段を個々の資本家の手から社会の手に移すことで、生産の目的を「利潤第一」から「社会と人間の発展」に移す。この変革によって労働時間を抜本的に短縮し、すべての人間に自由で全面的な発展を保障する。各人が自由にできる時間を使い、自らの能力を全面的に開花させる。そのことによって社会全体がさらに力をえて発展し、ますます労働時間が短くなるという好循環が生まれる。マルクスは、未来社会について、「各人の自由な発展が、万人の自由な発展の条件であるような一つの結合社会」(『共産党宣言』)と言いましたが、この「自由な発展」が一番のカギなんです。
若い人にその話をすると「ぜひつくりたい」となります。長時間・使い捨て労働でひどい目にあっていますから。「人間の自由」「人間の解放」をとことん突き詰めたのが、「真のコミュニズム」だと私は思っているんです。
浜 そうですね。コミュニティー(共同体)とは本来そういうもののはずですよね。「魂の解放を得た人びとの共存の場所」であって、「解き放たれた知性が輝く場所」ということですね。
志位 浜さんがいうと文学的だ(笑)。コミュニティーもコミュニズムも語源はラテン語で「コムニス」(共同)。私はトーク集会で「コミュニティーセンターは直訳すると『共産センター』になる」と話しています。(笑)
浜 グローバリズム時代の本当の生き方ではないかと思います。それこそ「日本国憲法の前文には『真のコミュニズム』が語られている」と安倍首相にいってやったら、ビビるでしょうね。(笑)
2018年どう臨む
志位 浜さんの著書を読むと、言葉に非常に敏感で、批判的によく吟味されていて共感を覚えます。例えば「アベノミクス」という用語をはやらせてはいけないということで「アホノミクス」といわれてますね。“あれは経済学じゃない”とおっしゃりたいんだと思います。「戦争法」を「平和安全法制」といい、「共謀罪」も「テロ等準備罪」と言い換える。言葉を置き換えて国民を欺くのが彼らの特徴です。辞典を作ったらいいと思うんですよね。
浜 『アホノミクス用語辞典』(笑)
志位 浜さんは言葉の問題を敏感にズバッとつかみだし、批判する。みていて痛快です。私たちもそういう発信力をもっと身につけ、ごまかしを打ち破っていく必要があります。
浜 国会審議や討論会で政治家が使う言葉と論理の「品質」劣化が著しい。耳をふさぎたくなるレベルです。知性に裏打ちされた議論ができる中身をお持ちなのは、共産党だと思います。「品質」を管理する人には資格が必要です。“無資格者”がやってはいけない。共産党は資格を持った「品質管理責任者」として政治の知的だらしなさをせき止めてほしいですね。相手が相手ですから難しいことではありますが。(笑)
志位 政治の世界では、正確なファクト(事実)、ロジック(論理)、ワード(言葉)を使って、立場は違っても誠実な議論をするべきだと思います。小泉(純一郎元首相)さん以降、まともな議論が難しくなり、安倍さんになってますます困難を極めています。(笑)
浜 完全崩壊ですね。(笑)
志位 こちらが議論のレベルを下げれば国民の政治不信を招きます。「品質管理」をしっかりやって、日本の政治を良くしていくのが私たちの仕事だと思っています。
浜 私の今年の抱負は「アホノミクス」を一段と普及させ、「アベノミクス」という用語を人びとに忘れてもらうことですね(笑)。そして、安倍さんご本人も志位さんとの国会論戦で「アホノミクス」とポロッといってしまう(笑)。その実現をめざして頑張ります。(笑)
志位 もし安倍さんがそう答弁したら、いまその用語の頭には「ど」がついているんですよって、付け加えますよ。(笑)
浜 昨年は「市民と立憲野党の共闘」という言葉が生まれ、「市民」という概念が社会の前面に出てきた。今年はこの「市民」という言葉を掲げ、「21世紀の市民革命」がさらに広がり深まっていくことに、どう貢献できるかを追求していきたい。そして「アホノミクス」を徹底的にやっつけ倒していきます。(笑)
志位 今年は全国的選挙が想定されない年になると思います。私たちとしては、憲法9条改定を食い止め、国会発議を絶対に阻止する。そのためにも安倍9条改憲に反対する3000万人署名をやり遂げたい。「働かせ方大改悪」をはじめとする暮らし破壊の暴走を止め、日本の政治をまともな方向に切り替えるために、いろいろな分野でたたかいを発展させていきたいと思っています。
共産党自身の努力としては、「共産党が好きだから支持する」という積極的支持者を広げていきたい。私たちがめざしている未来社会を丁寧に伝えていきたいです。
浜 「真のコミュニズム」ですね。(笑)
志位 そうです(笑)。そうして19年の参院選と統一地方選で新しい躍進を勝ち取りたい。そのために頑張りたいと思います。ありがとうございました。
浜 ありがとうございました。
2018年1月1日(月)
日曜版新年合併号 新春痛快対談
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik17/2018-01-01/2018010101_01_0.html
市民が社会動かす時代
"おとな"の共産党に期待 同志社大学大学院教授 浜矩子さん
おおらかに力合わせましょう 日本共産党委員長 志位和夫さん
安倍政権への歯に衣(きぬ)着せぬ批評が評判の浜矩子さん(同志社大学大学院教授)と日本共産党の志位和夫委員長の2018年新春対談。総選挙結果と市民と野党の共闘、安倍晋三首相の政策批判から未来社会論まで大いに語り合いました。
写真
志位 あけまして、おめでとうございます。
浜 おめでとうございます。
志位 浜さんには、昨年の都議選、総選挙で何度も激励のメッセージをいただき、心から感謝を申し上げます。
浜 総選挙では安倍政権を追い込みましたね。多くのメディアは「自公勢力の圧勝・大勝」と報じましたが、不正確です。選挙前と比べ、わずかながら自公勢力は小さくなりました。安倍さんにとっては大誤算でした。「市民と立憲野党の共闘」から、立憲民主党が生まれたことも貴重です。彼らが野党第1党になり空気が変わりました。共産党の尽力で共闘体制ができたおかげです。
「グリーンモンスター」(小池百合子・希望の党前代表)が墓穴を掘ったこともあり、意外と楽しい選挙でした。(笑)
志位 私もだいたい同じような見方です(笑)。まず自公の「3分の2」は、いろんな仕掛けがあって、かろうじて拾ったものです。とくに小選挙区制です。自民党の比例代表での得票率は33%なのに61%の議席を得た。これは「虚構の多数」ですね。そして何と言っても希望の党の出現で野党共闘が分断されたことが、安倍さんの最大の「援軍」になった。安倍さんは小池百合子さんに足を向けて寝られないでしょう。(笑)
共産党が議席を減らしたのは大変残念です。私たちの力不足です。次は力をつけて絶対に勝とうと決意しています。
市民と野党の共闘では共産、立憲、社民の3野党と市民連合が政策合意を結んでたたかい、3野党全体では38議席から69議席に増えました。次につながる大事な成果を得たと思います。
浜 おっしゃる通りですね。共産党が議席を失われたのは痛恨でしょうし、その巻き返しは当然だと思います。ただ市民の目から見ると、あのときの共産党の対応が本当にありがたかった。自分のところはさておき、市民連合が「闇の軍団」=安倍自公政権と対峙(たいじ)することに全精力をあげてくれたことはとてもよかったです。
志位 そう評価していただきますと心強い限りで、感謝いたします。
「闇の軍団」の国会乗っ取り止めたことは共闘の成果
総選挙 共産党の貢献
写真
(写真)しい・かずお=1990年に書記局長、93年衆院選で初当選(衆院議員9期目)、2000年から幹部会委員長。著書に『戦争か平和か 歴史の岐路と日本共産党』、『綱領教室』全3巻(いずれも新日本出版社)など
写真
(写真)はま・のりこ=エコノミスト。三菱総合研究所初代英国駐在員事務所所長、同社政策・経済研究センター主席研究員などを経て2002年から現職。近著に『世界経済の「大激転」混迷の時代をどう生き抜くか』(PHPビジネス新書)、『どアホノミクスの断末魔』(角川新書)など
志位 今度の総選挙は、市民と野党の共闘が崩壊の危機にひんするという波乱にとんだ展開となりました。私たちの対応としては二つの点が大事だったと思っています。
第一は、解散の日(9月28日)に、希望の党に民進党が丸ごと合流するという動きになったその日に、私たちが二つのメッセージを発信したということです。
一つは「逆流と断固たたかう」ということです。希望の党は「自民党の補完勢力」だと批判し、“民進党候補が希望に行った場合は、共産党は候補者を立てる”と宣言しました。もう一つは「共闘を絶対にあきらめない」ことです。“共闘の立場に立つ方々とはしっかり連携する”と表明しました。
このメッセージは、全国の市民連合のみなさんとも響き合い、“希望の党に行っても希望はない”(笑)と民進党候補への説得が行われました。共闘の立場に立つ流れがうまれ、立憲民主党が結党されました。
第二は、共闘を再構築する過程で、私たちが安倍政権の暴走政治を許さないという大局にたって、67の小選挙区で候補者を降ろし共闘体制をつくる決断をしたことです。逆流を乗り越え共闘を前に進める貢献となったと思います。
浜 市民の目から見るともう絶対に巻き戻されたくない。この流れを崩さないように、共産党が“おとな”の大局観と視線をもってうまく運んでいってくれることをすごく期待しています。
立憲民主党は内部でもいろんなことがありながら、薄氷を踏むように歩んでいる感じがします。そこをうまく“おとな”が手引きをしてくれるという構図があるというのは安心感がありますね。
志位 あのときの対応は、日本政治の歴史的な分かれ道での、大局に立った決断でした。もし野党共闘つぶしが成功していれば、自公と希望の保守二大改憲推進勢力=「闇の軍団」で国会が乗っ取られてしまった。それを断固阻止するくさびをガンと打ち込んだ。これは、次につながる結果だと思います。
安倍流「働き方改革」は19世紀以前への時代逆行
おぞましい雇用大改悪
浜 次につなげるという点では、今度の通常国会で、おぞましい安倍流「働き方改革」が議論されていくことになります。どうつぶし、押し戻すのか。これから本当のたたかいになっていきます。
志位 そうですね。「働き方改革」といいますが、財界にとって都合のいい働かせ方を強要する―「働かせ方大改悪」が正体ですね。いくら働いても残業代を払わない「残業代ゼロ」法案をまた持ち出そうとしています。残業時間の上限規制を行うと言いながら、過労死ラインの月80時間~100時間という残業も合法化しようとしている。「同一労働同一賃金」と言いますが、実際に出そうとしている法案では、企業が能力や貢献度を判断して、「違いに応じた支給」を容認する方向であり、格差固定化を容認するものとなっています。
浜 まったくそうです。安倍政権の「働き方改革実行計画」には“同一労働同一賃金も長時間労働の是正も「労働生産性の向上」のためにやる”ということが明確に書いてあります。労働者の権利を実現するという視点はみじんもありません。
志位 とくに「残業代ゼロ制度」―「高度プロフェッショナル制度」は、労働時間規制の概念そのものを外してしまうもので、異次元の雇用ルールの破壊です。
浜 猛烈な時代逆行です。19世紀以前の働き方を「働き方改革」と称して実現しようとしています。
「残業代ゼロ制度」を正当化しようと彼らは“時間で制約をかけることは、労働者の能力を開花させることをじゃましている”という論理を持ち出していますね。これは19世紀にだされたマルクスの『資本論』で書かれている資本家の論理――“彼らの働く自由を奪ってはならない”と同じです。こんな論理を21世紀に平気で持ち出してくることに、がく然とします。
志位 おっしゃるように猛烈な時代逆行です。労働時間規制は19世紀のイギリスの工場法の10時間労働制から始まった。それが8時間労働制となり、労働者の権利を守る一番の要になってきました。資本家たちは労働時間規制に反対したけれど、導入してみたらイギリス資本主義に空前の繁栄の時代が訪れた。労働時間の短縮で労働者階級が健康を取り戻し元気になったからです。それが土台となり、空前の繁栄となったのです。逆にいえば、労働者の権利を切り縮めるようなことをやれば、資本主義社会そのものが成り立たなくなります。
浜 間違いなくそうですね。経団連と安倍政権は歴史から何も学んでいない気がします。「異次元金融緩和」とかお金の世界で悪さをしているだけでなく、今度は「人づくり革命」と称して人間にまで手をつけようとしている。「人づくり革命」と「生産性革命」を車の両輪にして、“一億総お国のための活躍社会”をつくろうとしている。許しがたく、絶対に押し戻していかなければと思います。
「規制緩和」で企業劣化
志位 企業の不祥事が続き、ついに経団連会長の出身企業・東レにまで品質管理の不正が起きました。なぜこうも不祥事が続くのか。その根本を考えると労働の「規制緩和」があります。いま働く人の3人に1人が非正規雇用で、女性と若者では2人に1人です。派遣や期間社員などの使い捨て労働が大企業の中枢でも横行しています。働く人を粗末にしたことが巡り巡って企業の首を絞め、劣化につながっているのです。
浜 その通りです。その流れに拍車をかけたのが、安倍政権の「稼ぐ力を取り戻す」という言い方です。労働者使い捨て型の経営を強化し、効率も生産性も上げ、安上がりに成果を出す方向に「企業統治」を構築せよ、と企業を追い立てています。そのなかで不正が起きています。「企業統治」とは本来は、企業が稼ぐことばかり考え、社会的な責任を忘れてはいけないという考えです。
志位 私は、「稼ぐ力」は、大企業は十分すぎるほどあると。(笑)
浜 そうです。あんなに内部留保を。稼ぎまくって。(笑)
政権がもたらす呼吸困難で日本経済は窒息死に陥る
志位 大企業の内部留保は400兆円を超えました。上場企業のトップ100社の有価証券報告書を調べてみますと、この4年間で利益を11兆円も増やしている。その配分について分析すると、50%が内部留保の積み増しに回り、44%が株主に回っていて、労働者にはたったの3%です。いくら「稼ぐ力」があっても労働者のところに回らない。長時間労働や不安定雇用で労働市場を荒廃させてしまったからです。
この巨額の内部留保をいかにして暮らしと経済に還元させるか。私たちは人間らしく働けるルールをつくるべきだと主張しています。残業時間に「週15時間、月45時間」といったきちんとした法的規制をかけ、非正規社員を正社員にする規制強化をはかり、大企業と中小企業の対等な取引ルールをつくっていく。そのことで、大企業に滞留している内部留保400兆円を働く人や中小企業に回るようにしていく。内需・消費が活発になり、経済の好循環が起こると思うんです。
写真
浜 いまの日本の状況をみると、私はこのままであれば、まさにおっしゃったようなメカニズムで、企業は本当は回すべきカネをため込むということをやり、稼ぐばかりで還元しない。政策がもたらす呼吸困難によって日本経済が窒息死に至る。そのプロセスに入っている気がしています。
株式市場をみれば、日本銀行が大多数の大企業の安定大株主になっている。日銀が許容する範囲でしか株価が動かない。こんなものは株式市場とは言いません。お金がまわる市場を、中央銀行の公的な介入で死に至らしめるのは、統制経済につながるファシズム体制です。資本主義としても民主主義としても許されません。まともに機能しない経済活動のしわ寄せは人びとの生活にきます。
志位 GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)と日本銀行のカネで株を買い支えて、主要な大企業の筆頭株主が日銀になっている。これは資本主義のメカニズムとしても…。
浜 絶対にありえないです。
志位 上場企業の大株主500人の保有株式時価総額をみると、この5年間で、9・9兆円から26・3兆円に2・7倍にもなっている。公的なカネで株価をつり上げ、富裕層はもうかったけど、庶民には何一ついいことはありません。
経団連の榊原定征(さだゆき)会長は、総選挙が終わった翌日、“自民党は安定多数をとったんだから国民に痛みを伴う改革をやれ”と、「社会保障改革」と「消費税増税」の号令をかけました。国民に対しては医療も介護も生活保護もすべて削って激痛を強いながら、自分たちはぬくぬくとお金をため込み、次から次へと不祥事を起こす。「痛みを伴う改革」は大企業の経営陣にこそ必要ですよ。
浜 まさにそうですよね。
グローバル時代の生き方を憲法はちゃんと書いている
21世紀に力持つ条文
浜 安倍首相が変えようとしている日本国憲法は、ものすごく最先端的で21世紀的なものだと思うんですね。憲法は21世紀のグローバル時代に、人々が共にどう生きるべきかを語ってくれています。とくに前文です。「日本国民は…諸国民との協和による成果と…」という一節の「協和」は、グローバル時代の生き方のキーワードです。
「日本国民は…平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した」という一節には、相互信頼への深い確信があります。これがなければ、簡単にヒト・モノ・カネが国境を超える時代を共に生きていくことはできません。
もう一つ、面白いのが、「いづれの国家も、自国のことのみに専念して他国を無視してはならない」というフレーズです。これをだれに読ませるべきかは、みなさんすぐに分かりますよね。(笑)
グローバル化時代に企業はうまく対応できていません。必死に内部留保をため込んだり、人を安上がりにこき使ったりするのも「グローバル時代は、こうしないと勝ち組になれない」という視野狭窄(きょうさく)的な認識がもたらすパニック対応です。
しかし本来のグローバル時代の生き方はそうではない。だれも一人では生きていけない時代です。「お互いさま」「おかげさま」の関係で、支えあい、助け合う。そんなフレームをみんなでつくっていく時代なのです。
それが日本国憲法にはちゃんと書いてある。最先端なんです。それを「古い」「時代遅れだ」といって変えようとするのは信じられない。そういう言い方こそが、今の時代が見えていないのだと思います。
写真
志位 その通りですね。同じことは憲法9条にも言えると思います。9条には、「二度と戦争はしない」という決意だけでなく、「世界平和の先駆けになる」という意気込みが込められています。グローバルな広がりを持っていますよね。
浜 そうですね。
志位 世界をみると、紛争は平和的に解決するというのが、圧倒的な流れになっています。とくに注目している地域が二つあります。
一つは、東南アジアです。東南アジア諸国連合(ASEAN)が、東南アジア友好協力条約(TAC)を結び、平和の地域共同体をつくっている。TACは、どんなもめごとも話し合いで解決する、武力行使は絶対にダメという条約です。かつてはいろいろな戦乱があった地域ですが、いまでは「紛争を戦争にしない」という点で徹底しています。ASEANはTACを域外諸国とも結んで世界規模のネットワークをつくっている。これはまさに9条の精神と響きあう流れです。
もう一つは、ラテンアメリカです。ASEANと同じような中南米カリブ海諸国共同体(CELAC)という平和の地域共同体の枠組みがあります。これも9条と精神は同じだと思います。
この二つの平和の地域共同体は、両方とも非核地帯になっています。「核兵器のない世界」をつくるという点でも、とても先進的なのです。
昨年、私は、2回ニューヨークに行き、国連本部で行われた核兵器禁止条約の交渉会議に参加しました。ここでも、核兵器禁止条約の採択にむけて、CELACとASEANは、非同盟諸国、欧州の中立国などとともに、大きな役割を果たしました。
世界では9条に響き合う流れが広がってきており、9条は時代の最先端をいっています。それなのに、この憲法を変えるというのは実に愚かです。絶対に許してはなりません。
浜 その通りですね。
安倍首相のトランプ米大統領追随は異様
日米首脳 危険な関係
志位 世界の動きで、私がたいへんに危険だと思っているのは、トランプ米大統領と安倍首相の2人の関係です。
トランプ氏は「アメリカ・ファースト」といいますが、これは他国に手を出さないということではありません。シリア攻撃を強行した。アフガニスタンへの米軍を増派した。エルサレムをイスラエルの首都と認定した。北朝鮮に対しても「すべての選択肢はテーブルの上にある」といって先制攻撃もありうると。「自国のために世界中に手を出す」ということなのです。
だから世界の首脳は、みんなトランプ氏と距離をもって付き合っています。メイ英首相もエルサレム首都認定では反対していますし、マクロン仏大統領もメルケル独首相も反対です。こんなときも安倍首相だけは一言も批判しない。北朝鮮問題で「すべての選択肢がテーブルにある」というトランプ氏を支持している首脳は、世界でも安倍首相だけだと思います。
浜 安倍さんには、「いうべきことをいう」という感性はないと思いますね。何をいうべきかもわかっていない。トランプ氏の「アメリカ・ファースト」は、おっしゃる通り、ちょっかい出すところには出すという構えを含むものです。完璧に自国のことのみに専念する。だから自国の利益貫徹を邪魔する者どもはやっつける。そういう発想ですね。そして安倍さんはというと、17年1月の施政方針演説で「世界の真ん中で輝く国創り」といいました。自分が世界の太陽になるのだというわけですよ。
志位 浜さんは、それを厳しく批判されていましたね。私は、浜さんの批判を読んで、ヒトラーが「世界の冠たるドイツ」といったことを思い出しました。
浜 そうですね。トランプ氏は、米国が居心地よく生きていけるのであれば、何を犠牲にしてもいいと。かたや安倍さんは、日本が「世界の真ん中で輝く国創り」。お互いに自分のことしか考えない者同士の相思相愛みたいなものです。いうべきことをいいながら、深い信頼で結ばれるのが本当の友情です。それにはおとなの知性と感性が必要ですが、この2人には、それがみじんもありません。
志位 本当にそう思います。私がいま一番心配しているのは、北朝鮮問題です。北朝鮮の核・ミサイル開発はもとより断固反対ですが、戦争だけは絶対に起こしてはなりません。ペリー元米国防長官は、核戦争になった際の被害は、韓国は朝鮮戦争の10倍に、日本は第2次世界大戦に匹敵すると警告しています。対話による平和解決が唯一の方策です。
ところが安倍首相は「すべての選択肢はテーブルの上にある」というトランプ氏を支持すると言い切っている。万一、トランプ大統領が先制攻撃の道を選んだら日本はどうなるのか。戦争法=安保法制を発動して、戦争をいっしょにやることになる。恐ろしいことです。甚大な犠牲が出ます。
浜 ほんとうにそうですよね。もう少しおとなになってもらわないと困ります。無理でしょうけど。
志位 トランプ氏は衝動的、無軌道に危険なことを言います。「北朝鮮を完全に破壊する」とか。ティラーソン米国務長官などからは、ともかく対話を探るというメッセージも出されている。そんなときでも安倍首相は一貫してトランプ氏をあおっている。たいへんに悪い役割を果たしていると思いますね。
浜 無責任ですよね。首相をやってはいけない人ですね。
志位 お引き取りを願うしかないです。
“状況は変えられる”目の当たりにした
市民と野党の共闘
浜 どうやって退陣していただくか。戦略を練るべきだと思います。市民との連帯、連合、共闘を盛り上げていくことがポイントだと思いますね。
志位 市民と野党の共闘には、すでに4年におよぶ歴史があります。最初は2014年の沖縄のたたかいです。「オール沖縄」という枠組みが初めてでき、名護市長選、知事選、総選挙で勝つことができました。知事選では自民党県連幹事長を務めたこともある翁長雄志さんを候補者にして、一緒にたたかいました。このとき翁長さんがおっしゃったのが「これからは保守は革新に敬意をもち、革新も保守に敬意をもち、力をあわせていきましょう」という言葉でした。感動しました。
15年1月の「党旗びらき」のあいさつで、“沖縄で起こったことは、全国で起こりうるという強い予感を抱きました”と話しました。この年に安保法制=戦争法案反対の空前の市民のたたかいが起こり、一人ひとりの市民が自由に声をあげて立ち上がりました。
浜 そうでしたね。
志位 労働組合の動員が中心だった60年安保闘争のときとも違った自発的な立ち上がりでした。その中で起きたのが「野党は共闘」のコールでした。そこで共産党もこれまでの方針を変えなければと考え、安保法制=戦争法が強行された15年9月19日に「戦争法(安保法制)廃止の国民連合政府をつくろう。そのために野党で選挙協力を行おう」と呼びかけました。この共闘は市民のたたかいが生み出したものなんです。
浜 そうですね。
志位 市民のたたかいが生み出した共闘ですから、進める力も市民のたたかいだと思います。とくに今は、安倍政権による9条改定を許さないという一点で空前のたたかいを起こすことが、共闘を進める一番の力になると思っています。
浜 あの安保法制のときに起きた動きが今、ぐっと広がっていますよね。「21世紀型市民革命」が起きているとつくづく思います。市民という言葉が持っている響きを体現した運動が全国津々浦々で、9条の会だとか実にたくさんあり、艱難(かんなん)辛苦の中、生き生きと活動されています。
志位 総選挙で希望の党が出てきたとき、そっちに行ってしまおうとする民進党の人たちを共闘の道に戻す力が働きました。これも2年間の共闘の積み重ねがあったからです。そこに自信をもって次につなげていきたいと思っています。
浜 この間の展開は“状況は変わるんだ”ということをはっきりしめしていますよね。良識ある人ほど「この閉塞(へいそく)的な現状は変えられないのでは」と思いがちですが、状況は変えられる。不可能は可能になる。奇跡は起こる。その一端を目の当たりにしているといっても過言ではないと思うんです。
志位 一緒に共闘をやるなかで、お互いに変わっていくというのが実感です。野党統一の候補で最初は「共闘」という言葉をいわなかった人も、当選後には「共闘の力で勝利できた」とおっしゃった方もいる。
浜 なるほど。
志位 共闘では、お互いに違いがあって当たり前です。しかし、たたかう中で、違いを違いとして認め合い、一致点で協力する、相手をリスペクト(尊重)する精神―おおらかな精神でやっていけば、前途は開けてくると思っています。
浜 「おおらか」というのは、すごく良い言葉ですね。トランプさんも安倍さんも、おおらかじゃない(笑)。おおらかに互いを認め合えるということは、ゆとりがあるということ。おとなだということでもあります。よい意味で、強き者たちです。一方、闇の軍団は基本的に臆病者の集団。怖くてしょうがないから、抑えにかかる。ある意味でかわいそうな人たちです。奇跡を担われているみなさんは、あらゆる場面でたくさんの奇跡を起こしていただきたいと思っています。
志位 共闘の問題で一つお話ししたいのは、これまでは共産党が、一部を除いて、一方的に候補者を降ろすという対応をしてきましたが、次の参院選ではあくまで相互推薦・相互支援の共闘をめざすということを決めました。そうしてこそ一番力が出る。共闘相手にもそこを乗り越えてほしいと思うんですね。
浜 その通りだと思います。うまく力がでる共闘には互恵性がとても重要です。お互いに恩恵を施し合える形をどう築き上げていくか。それが丈夫で長持ちの大原則だと思います。丈夫で長持ちスタイルに向けて共闘のあり方も進化する。これはとても重要なポイントだと思います。進化するから深化する共闘。これは素晴らしい。
志位 いま始まっている市民と野党の共闘は、日本の政治で初めてのものです。先ほどおっしゃられた「奇跡」を起こしながら、未踏の領域を切り開きたい。難しいことも起きてくるでしょうが、負けないで、おとなの対応で一歩一歩進んでいきたいと思っています。
「格差と貧困」深まる矛盾 世界に二つの潮流が生まれた
「99%の連帯」が大切
浜 「21世紀の市民革命」のテーマの一つとして格差と貧困の問題があると思います。米国では1%の富裕層が全米の富の4割を独占しています。日本は蓄積された富の大きさでみても、とてつもなく豊かな経済社会ですよね。そのなかで相対的貧困率は先進国とは思えない高さです。この「豊かさのなかの貧困」、富の偏在問題をどう解消していくのか、対応していかなければならないと思います。
志位 今の日本社会を分析してみると、富裕層に富が集中し、貧困層が拡大しているだけでなく、所得が500万~1千万円ぐらいの中間層も減っています。安倍政権の5年間で実質賃金は年間12万円も減り、1世帯当たりの家計消費も年間20万円も減った。中間層がどんどんやせ細り、疲弊していっているのが、今の日本社会です。
米国と一緒です。中間層の疲弊がはっきり出て、そのゆがみがトランプ大統領の誕生につながった。日本も同じような構造になってきていると思いますね。日本でも「99%」という結集はできると思うんです。
浜 そうですね。ご指摘のように、いまや日本にも「貧困の中の豊かさ」、つまり多数が貧困の中で一握りの人びとの豊かさが突出する姿に近づいているのだとすれば、確かに、結集がむしろやりやすくなってきているのかもしれない。ただそうであればあるほど、日本版トランプ大統領を産み落とすという方向にいかないようにしないと。疲弊する中間層がトランプ氏を産み落とした。日本でもそうした偽ポピュリズムの横行跋扈(ばっこ)や国粋主義への心酔の拡散が起きないようにするためには、どうするか。そこが切迫したテーマになってきますね。
志位 そのためにも「99%の連帯」が大切だと思うんです。米国ではトランプ氏が出てきたけど、「民主的社会主義者」を名乗るサンダース上院議員も大統領選挙で大健闘した。イギリスでも、ジェレミー・コービンさんという「社会主義者」を名乗る最左派の政治家がイギリス労働党の党首になった。スペインでは、「ポデモス」という左派系の新政党が躍進しています。ギリシャでは「シリザ」(急進左派連合)が政権についています。トランプ的な排外主義の流れと、本当の意味での人民主義の流れの両方が出てきています。後者との連帯を大いに強めたいと考えています。
浜 そうですね。そこに救いがある。その意味で日本においては、いままさに「市民と野党の共闘」が人間性を尊重する人本主義に向かう道を開いてくれるはずです。
志位 日本での共闘も人民の権利を守りたたかう国際的な流れの中にある。自らが担い手となって民主主義をつくっていく「参加型の民主主義」という世界の流れに大いに学んでいきたいですね。
浜さんは「真のコミュニズムを実現できれば、21世紀は打開の世紀となるかも」と書いてますね
未来社会を語り合う
志位 浜さんは「真のコミュニズムを実現させることができれば、21世紀は人類にとって打開の世紀となるかもしれない」(「東京」17年8月13日付)とお書きになっていますね。
私たちがめざす未来社会とは、生産手段を個々の資本家の手から社会の手に移すことで、生産の目的を「利潤第一」から「社会と人間の発展」に移す。この変革によって労働時間を抜本的に短縮し、すべての人間に自由で全面的な発展を保障する。各人が自由にできる時間を使い、自らの能力を全面的に開花させる。そのことによって社会全体がさらに力をえて発展し、ますます労働時間が短くなるという好循環が生まれる。マルクスは、未来社会について、「各人の自由な発展が、万人の自由な発展の条件であるような一つの結合社会」(『共産党宣言』)と言いましたが、この「自由な発展」が一番のカギなんです。
若い人にその話をすると「ぜひつくりたい」となります。長時間・使い捨て労働でひどい目にあっていますから。「人間の自由」「人間の解放」をとことん突き詰めたのが、「真のコミュニズム」だと私は思っているんです。
浜 そうですね。コミュニティー(共同体)とは本来そういうもののはずですよね。「魂の解放を得た人びとの共存の場所」であって、「解き放たれた知性が輝く場所」ということですね。
志位 浜さんがいうと文学的だ(笑)。コミュニティーもコミュニズムも語源はラテン語で「コムニス」(共同)。私はトーク集会で「コミュニティーセンターは直訳すると『共産センター』になる」と話しています。(笑)
浜 グローバリズム時代の本当の生き方ではないかと思います。それこそ「日本国憲法の前文には『真のコミュニズム』が語られている」と安倍首相にいってやったら、ビビるでしょうね。(笑)
2018年どう臨む
志位 浜さんの著書を読むと、言葉に非常に敏感で、批判的によく吟味されていて共感を覚えます。例えば「アベノミクス」という用語をはやらせてはいけないということで「アホノミクス」といわれてますね。“あれは経済学じゃない”とおっしゃりたいんだと思います。「戦争法」を「平和安全法制」といい、「共謀罪」も「テロ等準備罪」と言い換える。言葉を置き換えて国民を欺くのが彼らの特徴です。辞典を作ったらいいと思うんですよね。
浜 『アホノミクス用語辞典』(笑)
志位 浜さんは言葉の問題を敏感にズバッとつかみだし、批判する。みていて痛快です。私たちもそういう発信力をもっと身につけ、ごまかしを打ち破っていく必要があります。
浜 国会審議や討論会で政治家が使う言葉と論理の「品質」劣化が著しい。耳をふさぎたくなるレベルです。知性に裏打ちされた議論ができる中身をお持ちなのは、共産党だと思います。「品質」を管理する人には資格が必要です。“無資格者”がやってはいけない。共産党は資格を持った「品質管理責任者」として政治の知的だらしなさをせき止めてほしいですね。相手が相手ですから難しいことではありますが。(笑)
志位 政治の世界では、正確なファクト(事実)、ロジック(論理)、ワード(言葉)を使って、立場は違っても誠実な議論をするべきだと思います。小泉(純一郎元首相)さん以降、まともな議論が難しくなり、安倍さんになってますます困難を極めています。(笑)
浜 完全崩壊ですね。(笑)
志位 こちらが議論のレベルを下げれば国民の政治不信を招きます。「品質管理」をしっかりやって、日本の政治を良くしていくのが私たちの仕事だと思っています。
浜 私の今年の抱負は「アホノミクス」を一段と普及させ、「アベノミクス」という用語を人びとに忘れてもらうことですね(笑)。そして、安倍さんご本人も志位さんとの国会論戦で「アホノミクス」とポロッといってしまう(笑)。その実現をめざして頑張ります。(笑)
志位 もし安倍さんがそう答弁したら、いまその用語の頭には「ど」がついているんですよって、付け加えますよ。(笑)
浜 昨年は「市民と立憲野党の共闘」という言葉が生まれ、「市民」という概念が社会の前面に出てきた。今年はこの「市民」という言葉を掲げ、「21世紀の市民革命」がさらに広がり深まっていくことに、どう貢献できるかを追求していきたい。そして「アホノミクス」を徹底的にやっつけ倒していきます。(笑)
志位 今年は全国的選挙が想定されない年になると思います。私たちとしては、憲法9条改定を食い止め、国会発議を絶対に阻止する。そのためにも安倍9条改憲に反対する3000万人署名をやり遂げたい。「働かせ方大改悪」をはじめとする暮らし破壊の暴走を止め、日本の政治をまともな方向に切り替えるために、いろいろな分野でたたかいを発展させていきたいと思っています。
共産党自身の努力としては、「共産党が好きだから支持する」という積極的支持者を広げていきたい。私たちがめざしている未来社会を丁寧に伝えていきたいです。
浜 「真のコミュニズム」ですね。(笑)
志位 そうです(笑)。そうして19年の参院選と統一地方選で新しい躍進を勝ち取りたい。そのために頑張りたいと思います。ありがとうございました。
浜 ありがとうございました。
2017年12月30日土曜日
枝野幸男"菅官房長を高く評価する理由"
枝野幸男"菅官房長を高く評価する理由"
「菅さんは歴代の3本の指に入る」
http://president.jp/articles/-/24078?display=b
野党第一党の党首となった枝野幸男氏の動向が注目されている。今年10月、総選挙投票日の20日前に民進党所属の枝野氏は、「立憲民主党」の設立を表明。小池百合子都知事率いる希望の党の惨敗を尻目に54議席を獲得。だが、国会では自民党とその他大勢という一強多弱の構図は同じ。立憲民主党の目指す道とは――。
「あれっと思ったのは結党の当日、10月3日です」
立憲民主党 代表 枝野幸男氏
――どなたが立憲民主党と命名されたのですか。
【枝野】私です。
――党名には、どういう思いがこもっているのでしょうか。
【枝野】立憲主義を守るというのが、結党の経緯で、重要な立ち位置・柱だと思いました。立憲主義があまりにも忘れ去られていることへの危機感が背景にあり、それで「立憲」という言葉を改めて掲げないと、という思いです。
――安倍政権では立憲主義がないがしろにされているという考えですか。
【枝野】明らかにないがしろにされていると思います。少なくともそれまで政府見解でも否定されていた集団的自衛権の解釈変更は、立憲主義で許されている範囲、憲法解釈の変更で許される範囲を超えている。立憲主義は憲法による権力の制約をしている。安倍政権では憲法に縛られている側(権力=政府)が自分を縛っている憲法の解釈を不合理に緩めたといえます。これでは縛っている意味がない。権力が権力たる正当性の根拠は、憲法で与えられており、その憲法を守らなければ、権力としての正当性がないということです。
――突然の結党で、準備不足だったと思います。選挙期間中に手ごたえを感じたのは、いつごろからですか。
【枝野】あれっと思ったのは、結党の当日、10月3日です。その前日に私1人で結党の記者会見をやり、翌朝、東京都の選挙管理委員会に総務省あての設立届を提出し、夕方、有楽町で初めての街頭演説をやりました。ほとんど準備も告知もしていないのに、たくさんの人が集まっていた。しかも幅広い層の人で、その熱がすごかったんです。僕はそのときに1番手ごたえを感じた。悲壮感でいっぱいだった記者会見から、頑張れば一定の結果を出せるという確信を持たせてくれました。
――選挙で多く支持された理由をどう分析していますか。
【枝野】国民の顕在化されていなかったニーズ――政治に対する不信・不満というものに応える、あるいは応えてくれるのではないかと期待される存在と、認めていたのではと思っています。
民進党などは政権を取ることが目的化しているかのように受け止められていたのだと思います。政党の合従連衡が繰り返される中で、それぞれの政党の主張、立ち位置があいまいになっていたのではないか。それに対して立憲民主党は明確な主張を掲げ、いわゆる野党同士の数合わせへのアンチテーゼの立ち位置にあると受け止められた。それが、国民の潜在的な期待に応えることにつながったと思っています。
「私は宏池会、石橋湛山の流れにある。“左派”ではない」
――立憲民主党の理念あるいは立ち位置を、再確認させてください。
(右)菅義偉官房長官(共同通信イメージズ=写真)
【枝野】1つ目は立憲主義を回復させる。2つ目は、いわゆる草の根の民主主義、まっとうな民主主義を取り戻す。民主主義とは、たまたま議会で多数派を取った者が、選挙民から白紙委任をされたことではないのです。個別のテーマになると、議会の多数派の意思と民意がずれるのはむしろ普通なのだから、しっかりとその草の根の声に耳を傾けて、政治を進めるべきです。3つ目は、トリクルダウン型(富裕層がさらに豊かになれば、しずくがこぼれ落ちて全体も豊かになるという考え方)の経済社会運営ではなくて、ボトムアップ型の経済再生を図る。
――立ち位置というと、どうしても右派、左派、あるいは中道という言い方のほうが、わかりやすい。そういう捉え方は古いのでしょうか。
【枝野】私は、そういう概念とは別次元に立っていると思っています。右か左かではなくて、上からか下からかというのが、国際的に見ても、21世紀の対立軸だと思います。
つまり、豊かなものをより豊かにしてトリクルダウンを起こすという考え方か、むしろ社会を下から支えて押し上げる。つまり、格差を小さくしていくことによって、消費も拡大していき、経済を成長させていくボトムアップ型かが、この対立軸だと思います。
――それならば「中道左派」みたいな言い方のほうが、わかりやすいのでは。
【枝野】日本における左派の定義は、国際的なものとは違うと思います。それに所得分配政策は、それこそ自民党の保守本流もやってきた。その分配政策に重要度を置くという意味では、私自身は宏池会(池田勇人元首相が設立した自民党の派閥)の思想的な流れにある。あるいは石橋湛山(第55代首相)の流れにあると、自分は思っています。彼らを左派とは言わないですよね。
――憲法改正論議が本格化します。これに対する基本的な姿勢は。
【枝野】憲法がいい方向に変わるのであって、なおかつ変える必要があるのであれば、それには積極的に取り組みます。悪く変わることに対しては、断固として戦います。少なくとも憲法第9条違反の法律をつくってそれを追認するようなことは、立憲主義論としてありえない。今の集団的自衛権の考え方は、自衛権行使の限界が不明確かつ広範にすぎる。したがって「立法論」としてもありえないという立場です。
自民と同じ「自衛力強化」「米軍との関係強化」
――国民の大多数が自衛隊の存在自体については認めていると思います。単純に自衛隊の存在を明記することにも反対ですか。
【枝野】単純に明記してしまうと、今回以上に解釈が変わります。例えば9条第3項に自衛隊なり自衛権を認めると書き込めば、1項、2項、ほとんど無効化します。したがって、フルスペックの集団的自衛権が可能になると解釈するのが、普通です。そもそもが、集団的自衛権の一部行使を認めているのですから、自衛隊を書き込めば少なくとも現状の安保法制を容認することになる。このように解釈によって、歯止めがきかなくなることが問題なのです。
――どうやって安全保障体制を構築するのか、それが伝わってきません。
【枝野】伝わらないのは当たり前で、大きく違わないからです。われわれも北朝鮮に対しては、対話以上に圧力が必要だし、万が一の場合に備えて、自衛力は強化すべきであると考えています。米軍との関係も強化すべきであると。これも自民党と変わりはなく、大きな方向性としては共通です。責任ある政党として、やみくもに与党に反対しているわけではありません。
――日米安保条約が日本の安全保障にとって軸になるとお考えですか。
【枝野】もちろんです。個別的自衛権の範囲内での自衛隊は合憲だし、日米安保は健全に強化すべきである。それが立憲民主の立場です。
――経済政策については、どのような施策をお考えですか。
【枝野】低賃金で人手不足の公的サービス分野に財政出動し、そのことによって賃金を引き上げる。2つ目、労働法制の規制を強化する。そのことによって格差の拡大防止と是正を図る。分配なくして成長なしです。
――賃金引き上げなどの財源は。
【枝野】当面は公共事業の予算を回せばいいんです。公共事業の財源である建設国債を減らし、赤字国債で財源を調達する。赤字国債なら、そういうところに予算を投じることができます。現状で緊縮政策は取れません。今の消費不況の状況で、財政支出の規模を小さくすれば、それこそ不況が深刻化します。緊縮財政が取れないということは、増税、とくに大衆増税はできない。それは緊縮財政と同じことですから。
――2019年10月実施予定の消費増税については、「凍結」という立場ですね。
【枝野】凍結の1番の理由は、今は消費不況であり、しかも心理的な要因がすごく大きい。消費税率を引き上げたら、必ず消費不況を加速させるからです。消費不況から脱却して、消費が着実に右肩上がりになるような状況をつくらなければ、消費税率は上げられない。それから、法人税を減税しておいて大衆増税するのでは、納税者の理解を得られない。おカネに色はなく、増税で財政的な余裕ができると、結局、社会保障以外の分野にも予算をと、無駄遣いへと戻っていく可能性がある。
「総理を守り支える」という意味で、有能な菅官房長官
――枝野代表は現場感覚があると評価されることがあります。民主党政権時代には、官房長官を務め、東日本大震災も経験された。そういう経験から出てきているんでしょうか。
【枝野】現場感覚、そうですかね。それは、私のキャラクターだと思います。イデオロギーとか、空理空論とかに一貫して関心がないので。
時事通信フォト=写真
――菅義偉官房長官はどう映りますか。
【枝野】総理を守り支えるという意味では、大変有能な、歴代稀に見る、3本の指に入る官房長官だと思います。それが日本にとって幸せかどうかというのはまた別ですが。
――官房長官の仕事の難しさとは。
【枝野】霞が関の調整や、政府与党の調整などの総合的な調整です。それは場合によっては強引に結論を押し付けなければならないこともあります。また、それで不満が前に噴き出しすぎては困るわけです。そういったことを目配りしながら、結論をしっかりと出していっているという意味で菅長官は大変有能な人だと思います。ただ支え、守る対象である安倍晋三首相の向かう方向が間違っていると思うので、せっかくの能力が生かされていないと思います。
――福島第一原発の事故の際、当時官房長官だった枝野さんが全然寝ていないとネットで騒がれました。官房長官とはそれほど大変な仕事なのですか。
【枝野】震災と原発事故のときは特殊な状況ですから、ちょっと比較ができる状況ではないです。ただ、霞が関を総合調整するときの、各役所の癖があるわけですよね。この役所はこういうことに弱いとか、この役所はこういうふうに自分たちの主張を通そうとしてくるとか、そういう感覚は、あのときに知りました。役所によって全然感覚が違うのです。だから、相手を読んで先手を打つことを覚えました。
――今回の新党の立ち上げという大きな決断の中で学ばれたことは。
【枝野】今回の出来事で言えば、結果論ですが、やはりぶれてはいけないということ、その1点です。筋を通すことが大事である一方で、政治は“妥協”でもある。みんなが自分の主張を押し通し続けていたら、何もまとまらないので、基本的には妥協の芸術なんですね。だが、許される妥協の範囲と、越えてはいけない線があって、越えてはいけない一線を越えたら、筋を曲げた、ぶれたということになる。そのラインを見極めるというのは、政治家にとってものすごく難しいが、ラインを越えることになると思ったときには、ぶれないでやってきたつもりです。
――立憲民主党は女性に多く支持されているように見えます。
【枝野】民主党以来の懸案を、今クリアできているんです。圧倒的に男性のほうの支持率が高かったのが、初めて女性のほうが高くなったんですよね。
枝野幸男(えだの・ゆきお)
立憲民主党 代表
1964年、宇都宮市生まれ。東北大学法学部卒業後、24歳で弁護士。29歳で政治家に転身し、衆議院議員に初当選(以後、当選9回)。中学、高校と合唱部に所属し、現在も趣味はカラオケ。双生児の男児の父親。
「菅さんは歴代の3本の指に入る」
http://president.jp/articles/-/24078?display=b
野党第一党の党首となった枝野幸男氏の動向が注目されている。今年10月、総選挙投票日の20日前に民進党所属の枝野氏は、「立憲民主党」の設立を表明。小池百合子都知事率いる希望の党の惨敗を尻目に54議席を獲得。だが、国会では自民党とその他大勢という一強多弱の構図は同じ。立憲民主党の目指す道とは――。
「あれっと思ったのは結党の当日、10月3日です」
立憲民主党 代表 枝野幸男氏
――どなたが立憲民主党と命名されたのですか。
【枝野】私です。
――党名には、どういう思いがこもっているのでしょうか。
【枝野】立憲主義を守るというのが、結党の経緯で、重要な立ち位置・柱だと思いました。立憲主義があまりにも忘れ去られていることへの危機感が背景にあり、それで「立憲」という言葉を改めて掲げないと、という思いです。
――安倍政権では立憲主義がないがしろにされているという考えですか。
【枝野】明らかにないがしろにされていると思います。少なくともそれまで政府見解でも否定されていた集団的自衛権の解釈変更は、立憲主義で許されている範囲、憲法解釈の変更で許される範囲を超えている。立憲主義は憲法による権力の制約をしている。安倍政権では憲法に縛られている側(権力=政府)が自分を縛っている憲法の解釈を不合理に緩めたといえます。これでは縛っている意味がない。権力が権力たる正当性の根拠は、憲法で与えられており、その憲法を守らなければ、権力としての正当性がないということです。
――突然の結党で、準備不足だったと思います。選挙期間中に手ごたえを感じたのは、いつごろからですか。
【枝野】あれっと思ったのは、結党の当日、10月3日です。その前日に私1人で結党の記者会見をやり、翌朝、東京都の選挙管理委員会に総務省あての設立届を提出し、夕方、有楽町で初めての街頭演説をやりました。ほとんど準備も告知もしていないのに、たくさんの人が集まっていた。しかも幅広い層の人で、その熱がすごかったんです。僕はそのときに1番手ごたえを感じた。悲壮感でいっぱいだった記者会見から、頑張れば一定の結果を出せるという確信を持たせてくれました。
――選挙で多く支持された理由をどう分析していますか。
【枝野】国民の顕在化されていなかったニーズ――政治に対する不信・不満というものに応える、あるいは応えてくれるのではないかと期待される存在と、認めていたのではと思っています。
民進党などは政権を取ることが目的化しているかのように受け止められていたのだと思います。政党の合従連衡が繰り返される中で、それぞれの政党の主張、立ち位置があいまいになっていたのではないか。それに対して立憲民主党は明確な主張を掲げ、いわゆる野党同士の数合わせへのアンチテーゼの立ち位置にあると受け止められた。それが、国民の潜在的な期待に応えることにつながったと思っています。
「私は宏池会、石橋湛山の流れにある。“左派”ではない」
――立憲民主党の理念あるいは立ち位置を、再確認させてください。
(右)菅義偉官房長官(共同通信イメージズ=写真)
【枝野】1つ目は立憲主義を回復させる。2つ目は、いわゆる草の根の民主主義、まっとうな民主主義を取り戻す。民主主義とは、たまたま議会で多数派を取った者が、選挙民から白紙委任をされたことではないのです。個別のテーマになると、議会の多数派の意思と民意がずれるのはむしろ普通なのだから、しっかりとその草の根の声に耳を傾けて、政治を進めるべきです。3つ目は、トリクルダウン型(富裕層がさらに豊かになれば、しずくがこぼれ落ちて全体も豊かになるという考え方)の経済社会運営ではなくて、ボトムアップ型の経済再生を図る。
――立ち位置というと、どうしても右派、左派、あるいは中道という言い方のほうが、わかりやすい。そういう捉え方は古いのでしょうか。
【枝野】私は、そういう概念とは別次元に立っていると思っています。右か左かではなくて、上からか下からかというのが、国際的に見ても、21世紀の対立軸だと思います。
つまり、豊かなものをより豊かにしてトリクルダウンを起こすという考え方か、むしろ社会を下から支えて押し上げる。つまり、格差を小さくしていくことによって、消費も拡大していき、経済を成長させていくボトムアップ型かが、この対立軸だと思います。
――それならば「中道左派」みたいな言い方のほうが、わかりやすいのでは。
【枝野】日本における左派の定義は、国際的なものとは違うと思います。それに所得分配政策は、それこそ自民党の保守本流もやってきた。その分配政策に重要度を置くという意味では、私自身は宏池会(池田勇人元首相が設立した自民党の派閥)の思想的な流れにある。あるいは石橋湛山(第55代首相)の流れにあると、自分は思っています。彼らを左派とは言わないですよね。
――憲法改正論議が本格化します。これに対する基本的な姿勢は。
【枝野】憲法がいい方向に変わるのであって、なおかつ変える必要があるのであれば、それには積極的に取り組みます。悪く変わることに対しては、断固として戦います。少なくとも憲法第9条違反の法律をつくってそれを追認するようなことは、立憲主義論としてありえない。今の集団的自衛権の考え方は、自衛権行使の限界が不明確かつ広範にすぎる。したがって「立法論」としてもありえないという立場です。
自民と同じ「自衛力強化」「米軍との関係強化」
――国民の大多数が自衛隊の存在自体については認めていると思います。単純に自衛隊の存在を明記することにも反対ですか。
【枝野】単純に明記してしまうと、今回以上に解釈が変わります。例えば9条第3項に自衛隊なり自衛権を認めると書き込めば、1項、2項、ほとんど無効化します。したがって、フルスペックの集団的自衛権が可能になると解釈するのが、普通です。そもそもが、集団的自衛権の一部行使を認めているのですから、自衛隊を書き込めば少なくとも現状の安保法制を容認することになる。このように解釈によって、歯止めがきかなくなることが問題なのです。
――どうやって安全保障体制を構築するのか、それが伝わってきません。
【枝野】伝わらないのは当たり前で、大きく違わないからです。われわれも北朝鮮に対しては、対話以上に圧力が必要だし、万が一の場合に備えて、自衛力は強化すべきであると考えています。米軍との関係も強化すべきであると。これも自民党と変わりはなく、大きな方向性としては共通です。責任ある政党として、やみくもに与党に反対しているわけではありません。
――日米安保条約が日本の安全保障にとって軸になるとお考えですか。
【枝野】もちろんです。個別的自衛権の範囲内での自衛隊は合憲だし、日米安保は健全に強化すべきである。それが立憲民主の立場です。
――経済政策については、どのような施策をお考えですか。
【枝野】低賃金で人手不足の公的サービス分野に財政出動し、そのことによって賃金を引き上げる。2つ目、労働法制の規制を強化する。そのことによって格差の拡大防止と是正を図る。分配なくして成長なしです。
――賃金引き上げなどの財源は。
【枝野】当面は公共事業の予算を回せばいいんです。公共事業の財源である建設国債を減らし、赤字国債で財源を調達する。赤字国債なら、そういうところに予算を投じることができます。現状で緊縮政策は取れません。今の消費不況の状況で、財政支出の規模を小さくすれば、それこそ不況が深刻化します。緊縮財政が取れないということは、増税、とくに大衆増税はできない。それは緊縮財政と同じことですから。
――2019年10月実施予定の消費増税については、「凍結」という立場ですね。
【枝野】凍結の1番の理由は、今は消費不況であり、しかも心理的な要因がすごく大きい。消費税率を引き上げたら、必ず消費不況を加速させるからです。消費不況から脱却して、消費が着実に右肩上がりになるような状況をつくらなければ、消費税率は上げられない。それから、法人税を減税しておいて大衆増税するのでは、納税者の理解を得られない。おカネに色はなく、増税で財政的な余裕ができると、結局、社会保障以外の分野にも予算をと、無駄遣いへと戻っていく可能性がある。
「総理を守り支える」という意味で、有能な菅官房長官
――枝野代表は現場感覚があると評価されることがあります。民主党政権時代には、官房長官を務め、東日本大震災も経験された。そういう経験から出てきているんでしょうか。
【枝野】現場感覚、そうですかね。それは、私のキャラクターだと思います。イデオロギーとか、空理空論とかに一貫して関心がないので。
時事通信フォト=写真
――菅義偉官房長官はどう映りますか。
【枝野】総理を守り支えるという意味では、大変有能な、歴代稀に見る、3本の指に入る官房長官だと思います。それが日本にとって幸せかどうかというのはまた別ですが。
――官房長官の仕事の難しさとは。
【枝野】霞が関の調整や、政府与党の調整などの総合的な調整です。それは場合によっては強引に結論を押し付けなければならないこともあります。また、それで不満が前に噴き出しすぎては困るわけです。そういったことを目配りしながら、結論をしっかりと出していっているという意味で菅長官は大変有能な人だと思います。ただ支え、守る対象である安倍晋三首相の向かう方向が間違っていると思うので、せっかくの能力が生かされていないと思います。
――福島第一原発の事故の際、当時官房長官だった枝野さんが全然寝ていないとネットで騒がれました。官房長官とはそれほど大変な仕事なのですか。
【枝野】震災と原発事故のときは特殊な状況ですから、ちょっと比較ができる状況ではないです。ただ、霞が関を総合調整するときの、各役所の癖があるわけですよね。この役所はこういうことに弱いとか、この役所はこういうふうに自分たちの主張を通そうとしてくるとか、そういう感覚は、あのときに知りました。役所によって全然感覚が違うのです。だから、相手を読んで先手を打つことを覚えました。
――今回の新党の立ち上げという大きな決断の中で学ばれたことは。
【枝野】今回の出来事で言えば、結果論ですが、やはりぶれてはいけないということ、その1点です。筋を通すことが大事である一方で、政治は“妥協”でもある。みんなが自分の主張を押し通し続けていたら、何もまとまらないので、基本的には妥協の芸術なんですね。だが、許される妥協の範囲と、越えてはいけない線があって、越えてはいけない一線を越えたら、筋を曲げた、ぶれたということになる。そのラインを見極めるというのは、政治家にとってものすごく難しいが、ラインを越えることになると思ったときには、ぶれないでやってきたつもりです。
――立憲民主党は女性に多く支持されているように見えます。
【枝野】民主党以来の懸案を、今クリアできているんです。圧倒的に男性のほうの支持率が高かったのが、初めて女性のほうが高くなったんですよね。
枝野幸男(えだの・ゆきお)
立憲民主党 代表
1964年、宇都宮市生まれ。東北大学法学部卒業後、24歳で弁護士。29歳で政治家に転身し、衆議院議員に初当選(以後、当選9回)。中学、高校と合唱部に所属し、現在も趣味はカラオケ。双生児の男児の父親。
171228「一丁目一番地で裏切った人が…」共産・志位氏に聞く
「一丁目一番地で裏切った人が…」共産・志位氏に聞く
聞き手・石松恒
朝日新聞 2017年12月28日3時12分
https://digital.asahi.com/sp/articles/ASKDT6V2FKDTUTFK019.html?rm=344
野党勢力が細分化されるなかで、「野党共闘」はどこに向かうのか――。共闘を引っ張ってきた共産党は先の衆院選で、野党の共倒れを避けようと、自発的に小選挙区の候補者を取り下げた。その結果、野党全体の議席数は増えたが、共産は21から12に激減した。次の参院選に向け、「共闘と党の躍進の両立」をめざすことにしたという志位和夫委員長に聞いた。
――共産党にとって衆院選は厳しい結果でした。
「野党が共闘して勝利を、という努力の最中に、民進党が希望の党と合流して、重大な逆流が持ち込まれた。それを乗り越えるため、67の小選挙区で候補者を取り下げた結果、共産、立憲民主、社民3党では公示前の38から69に伸びた。一方的(に候補者を取り下げる)対応をやったことに悔いはなく、正しかったと確信している」
「野党共闘と党の躍進は両立できる」と衆院選を総括しましたが、本当にできますか。
「可能だ。今度の衆院選でも、市民と野党の共闘が安倍政権に代わる受け皿だと広く有権者に伝わる戦いができたところでは、両立する結果が出ている。無所属の野党統一候補を各党が支援した新潟3、4区では野党候補が勝ち、共産党も比例票を伸ばした」
「党の力不足は率直に認めなければならない。『共産党は政策はいいけどちょっと』という人が多く、いろんな誤解もある。『他に入れるところがないから』ではなく、綱領、理念、歴史、丸ごと共産党のよさを伝え、積極的な支持者を広げる取り組みをはじめた。SNSを使ったサポーター制度やしんぶん赤旗の電子版もはじめる。党独自の努力が必要だと痛感している」
――共産党への疑問が解けないのはなぜですか。
「つぶれたソ連のような覇権主義・専制主義の体制をめざすのか、中国のような1党制をめざすのか、という誤解がかなり広くある。実際にはソ連や中国の干渉をはねのけてきた自主独立の歴史がある。自由と民主主義を将来にわたって継承、発展させると綱領に明記している。誤解を解くには我々の側の努力がいる」
――そのために党の自己改革が必要だと。
「そうです。私や小池晃書記局長、党三役も参加して、党への疑問や意見にこたえる双方向の対話集会を全国津々浦々でやっていく。安保法制廃止をめざして2015年9月から共闘をすすめてきたが、それを前にすすめるうえでも党のよさを丸ごと伝える活動がいよいよ大事だ」
――思い切って党名を変えたらどうですか。
「変えるつもりはない。人類の歴史は資本主義で終わりでなく、社会主義・共産主義にすすむという理想を刻んだ名前だ。党名を変えるときは、国民に顔向けできない誤りをやったときだ。平和と民主主義を命がけで守り抜いてきた95年の歴史に自信を持っている」
――綱領はどうですか?
「いま変えなければならないと感じるところはない。むしろ内外情勢に非常になじみ、綱領のめざす方向がいよいよ力を発揮していると感じている」
――19年の参院選では「一方的な対応は取らない」と決めました。候補者の取り下げには応じないということですか。
「次の参院選では、互いに譲り合い支援しあう、相互支援の本格共闘をめざす。一方的な対応はやらないと、先の中央委員会総会で決めた。総会決定は党大会決定につぐ重い決定で、執行部や委員長である私も決定や実践に責任を負う。共闘相手の政党にも、ぜひ乗り越えてもらいたいところだ」
――16年参院選も結局は候補者を降ろしました。
「共闘でたたかう最初の選挙であり、まず成功体験を積むことが大事だと考えた。次の参院選は、市民と野党の共闘をさらに発展させ、32の1人区で野党統一候補を実現する。自公を破る戦いを全国的に展開する決意でのぞむが、一方的な対応はやらない」
――相互支援や共通公約で合意できなければ候補者は降ろさないと。
「そうです」
――与党を利する結果になりませんか。
「そうならないようにやりましょうと言っている」
――前回は1人区のうち31選挙区を他党に譲りました。
「次はお互い納得できる形にする。1人区の候補者をどう配分するかは、直近の国政選挙の比例票が一つの目安になる」
――民進は希望や立憲との再結集をめざしているが、希望とは組めますか。
「野党共闘の『一丁目一番地』は安保法制の廃止と立憲主義の回復。こんな憲法違反の政治を横行させたら日本の政治は土台から崩れる、と。この一丁目一番地で裏切った人たちがつくった政党が希望の党だ。基本的な評価が変わることは現状ではない」
――衆院選後、ネット上では志位さんの引責辞任の情報が駆け回った。党執行部の責任を問う声は出ませんでしたか。
「まったくなかった。選挙後の総括でいろんな意見を聞き、アンケートも取ったが、そういう声はない。共闘は私たち執行部だけがやっているものではない。『この道しかない』というのは、二つの国政選挙に取り組んだみんなの気持ちじゃないか。共産党が議席を減らしたからと、安易に共闘を捨てたら、それこそ多くの人に批判されることになる」
(聞き手・石松恒)
聞き手・石松恒
朝日新聞 2017年12月28日3時12分
https://digital.asahi.com/sp/articles/ASKDT6V2FKDTUTFK019.html?rm=344
野党勢力が細分化されるなかで、「野党共闘」はどこに向かうのか――。共闘を引っ張ってきた共産党は先の衆院選で、野党の共倒れを避けようと、自発的に小選挙区の候補者を取り下げた。その結果、野党全体の議席数は増えたが、共産は21から12に激減した。次の参院選に向け、「共闘と党の躍進の両立」をめざすことにしたという志位和夫委員長に聞いた。
――共産党にとって衆院選は厳しい結果でした。
「野党が共闘して勝利を、という努力の最中に、民進党が希望の党と合流して、重大な逆流が持ち込まれた。それを乗り越えるため、67の小選挙区で候補者を取り下げた結果、共産、立憲民主、社民3党では公示前の38から69に伸びた。一方的(に候補者を取り下げる)対応をやったことに悔いはなく、正しかったと確信している」
「野党共闘と党の躍進は両立できる」と衆院選を総括しましたが、本当にできますか。
「可能だ。今度の衆院選でも、市民と野党の共闘が安倍政権に代わる受け皿だと広く有権者に伝わる戦いができたところでは、両立する結果が出ている。無所属の野党統一候補を各党が支援した新潟3、4区では野党候補が勝ち、共産党も比例票を伸ばした」
「党の力不足は率直に認めなければならない。『共産党は政策はいいけどちょっと』という人が多く、いろんな誤解もある。『他に入れるところがないから』ではなく、綱領、理念、歴史、丸ごと共産党のよさを伝え、積極的な支持者を広げる取り組みをはじめた。SNSを使ったサポーター制度やしんぶん赤旗の電子版もはじめる。党独自の努力が必要だと痛感している」
――共産党への疑問が解けないのはなぜですか。
「つぶれたソ連のような覇権主義・専制主義の体制をめざすのか、中国のような1党制をめざすのか、という誤解がかなり広くある。実際にはソ連や中国の干渉をはねのけてきた自主独立の歴史がある。自由と民主主義を将来にわたって継承、発展させると綱領に明記している。誤解を解くには我々の側の努力がいる」
――そのために党の自己改革が必要だと。
「そうです。私や小池晃書記局長、党三役も参加して、党への疑問や意見にこたえる双方向の対話集会を全国津々浦々でやっていく。安保法制廃止をめざして2015年9月から共闘をすすめてきたが、それを前にすすめるうえでも党のよさを丸ごと伝える活動がいよいよ大事だ」
――思い切って党名を変えたらどうですか。
「変えるつもりはない。人類の歴史は資本主義で終わりでなく、社会主義・共産主義にすすむという理想を刻んだ名前だ。党名を変えるときは、国民に顔向けできない誤りをやったときだ。平和と民主主義を命がけで守り抜いてきた95年の歴史に自信を持っている」
――綱領はどうですか?
「いま変えなければならないと感じるところはない。むしろ内外情勢に非常になじみ、綱領のめざす方向がいよいよ力を発揮していると感じている」
――19年の参院選では「一方的な対応は取らない」と決めました。候補者の取り下げには応じないということですか。
「次の参院選では、互いに譲り合い支援しあう、相互支援の本格共闘をめざす。一方的な対応はやらないと、先の中央委員会総会で決めた。総会決定は党大会決定につぐ重い決定で、執行部や委員長である私も決定や実践に責任を負う。共闘相手の政党にも、ぜひ乗り越えてもらいたいところだ」
――16年参院選も結局は候補者を降ろしました。
「共闘でたたかう最初の選挙であり、まず成功体験を積むことが大事だと考えた。次の参院選は、市民と野党の共闘をさらに発展させ、32の1人区で野党統一候補を実現する。自公を破る戦いを全国的に展開する決意でのぞむが、一方的な対応はやらない」
――相互支援や共通公約で合意できなければ候補者は降ろさないと。
「そうです」
――与党を利する結果になりませんか。
「そうならないようにやりましょうと言っている」
――前回は1人区のうち31選挙区を他党に譲りました。
「次はお互い納得できる形にする。1人区の候補者をどう配分するかは、直近の国政選挙の比例票が一つの目安になる」
――民進は希望や立憲との再結集をめざしているが、希望とは組めますか。
「野党共闘の『一丁目一番地』は安保法制の廃止と立憲主義の回復。こんな憲法違反の政治を横行させたら日本の政治は土台から崩れる、と。この一丁目一番地で裏切った人たちがつくった政党が希望の党だ。基本的な評価が変わることは現状ではない」
――衆院選後、ネット上では志位さんの引責辞任の情報が駆け回った。党執行部の責任を問う声は出ませんでしたか。
「まったくなかった。選挙後の総括でいろんな意見を聞き、アンケートも取ったが、そういう声はない。共闘は私たち執行部だけがやっているものではない。『この道しかない』というのは、二つの国政選挙に取り組んだみんなの気持ちじゃないか。共産党が議席を減らしたからと、安易に共闘を捨てたら、それこそ多くの人に批判されることになる」
(聞き手・石松恒)
2017年12月28日木曜日
立憲的憲法改正のスタートラインとは
立憲的憲法改正のスタートラインとは
http://webronza.asahi.com/politics/articles/2017122100003.html?iref=wrs_rnavi_rank&guid=on
権力拡大の改憲は論外。権力を統制する改正を視野に国民・政治家は憲法と向き合え
山尾志桜里 衆院議員
2017年12月26日
頭を悩ます改憲賛否の質問
政治家は選挙のたびに大量のアンケートの山に囲まれるが、常に頭を悩ますのが、「改憲に賛成か反対か」、あるいは「あなたは護憲派か改憲派か」という類の質問だ。
私は、権力者による権力拡大方向の改憲には断固反対だが、国民の側から国家権力を統制する方向の改憲、すなわち立憲的改憲議論は積極的にすべきだと考える。
とりわけ、安倍政権下で現行憲法が機能不全に陥っている現象を目の当たりにした現在、安倍政権の横暴を正すべく、権力統制規範たる憲法の「価値」を守るため、憲法の「文字」を変える必要があると考える。
したがって、私は憲法の価値を守るという意味では「護憲派」であるが、憲法典の文字に焦点をあてるならば、「改憲派」である。
「自衛隊明記」提案は最悪の憲法改悪
本来、憲法は権力統制規範である以上、「改憲」とはこの権力統制規範力を高めるものでなければならない。
その点、ここ数年自民党により提示されてきた「権力者による権力拡大方向の改憲」は、権力統制規範力をむしろ低下させるものであって「憲法改悪」にほかならない。
とりわけ安倍総理による「自衛隊明記」提案の本質は、歯止めなき自衛権の根拠規定を憲法に新設することにある。まさに自衛隊の最高指揮権者が、国家権力を最も先鋭化させる自衛権の歯止めを自ら外し、憲法による自衛権統制規範力をゼロにするものであって、グロテスクな「最悪の憲法改悪」である。
野党と国民がプレーヤーになる議論を
日本の憲法論議の不幸は、権力を拡大する「改憲」提案しかほとんど経験しておらず、権力者をしばる本来の「改憲」提案がされてこなかったことにある。
今こそ硬直化した「改憲議論」から前進し、「権力をしばる改憲」という本質的かつ新しいコンセプトのもと、野党と国民がプレーヤーとなって幅広い議論をかわすべきだ。憲法改正を通じて、国民の意思により、国家権力に対する統制力を高めることは可能である。
もちろん、安倍総理に対しては、「変える前に守れ」と声を大にして言い続けるが、安倍政権ですら守らざるを得ないよう、規範力の高い憲法に変えることは可能なのである。
本稿では、こうした立憲的な憲法改正の思考のスタートラインを示したい。
第2次安倍政権で起きている現象は……
そもそも、現代の日本社会は、憲法改正を必要としているか否か。
憲法は、「国家の権力を統制し、国民の人権を保障する」役割を担っている。とするならば、立てるべき問いは、「現代において、現行憲法は、国家の権力を統制し、国民の権利を保障するという役割を十分に果たしているか」ということになる。
この役割を果たしていれば変える必要はないし、果たしていなければ変える必要がある。
この点、第2次安倍政権のもとでは、たとえば以下の現象が起きている。
① 憲法9条があるにもかかわらず、集団的自衛権の一部を認める安保法制が成立した。
② 憲法69条、7条のもと、大義なき解散が頻発している。
③ 憲法53条の要件を満たした臨時国会召集要求が無視されている。
④ LGBTの権利保障が不十分で、与党幹部から差別的発言がなされ、LGBT差別解消法が審議拒否され、同性婚も認められていない。
⑤ 国家が保有する情報に対する国民のアクセスが十分に保障されず、南スーダンPKOの日報問題や森友・加計問題の真相解明が進まない。
⑥ 共謀罪の成立により、捜査権力による国民のプライバシー権制約は侵害のレベルにまで達しようとしている。
予想外の脆さを露呈させた現行憲法
こういった現象は、立憲主義を尊重しない国家権力に対する、現行憲法の予想外の脆(もろ)さを露呈させた。
言葉を変えれば、現行憲法は「安倍政権」を予定していなかったのである。
しかし翻って考えてみると、憲法の役割の神髄は、立憲主義を尊重しない横暴な国家権力をこそ制するものであるべきだ。第2次安倍政権のもとで、上記に象徴されるような憲法の機能不全が生じているなら、その不全を改善するための憲法改正から逃げるべきではない。
では、憲法をどのように改正すれば、機能を回復・強化できるのか。
憲法の「規律密度」を高めよ
そもそも、上記のような現象にいたる原因の共通項はなにか。
ひとつ目は、日本国憲法の「規律密度」が相対的に低いため、その行間を埋めてきた憲法解釈を尊重せずに、むしろ行間を逆手にとって解釈を恣意(しい)的に歪曲(わいきょく)するタイプの政権に対して、その統制力が弱いことである。ふたつ目は、そのような政権の恣意的憲法解釈を正す現実的手段を予定していないことである。
前者に対しては、日本国憲法の規律密度を高める、すなわち行間を埋めてきた適切な解釈を明文化することなどによって、恣意性の余地を極力減らすことで対応すべきだ。
憲法裁判所の設置検討が必要
後者に対しては、政権の恣意的憲法解釈を事前にチェックする機関として、政権から独立したいわゆる「憲法裁判所」を設け、チェックを委ねることを、積極的に検討すべきである。
こうしたチェック機能は、これまで内閣法制局が担ってきたが、その独立性・中立性をかろうじて担保してきたのは、人事上の不文律であった。すなわち、法制局長官人事は形式的には「政治任用」でありながら、事実上「行政任用」ポストとして政治が直接関与しないという不文律である。
この人事の不文律を破り、安保法制合憲論の人物を長官に据えたのが安倍政権であり、それこそ解釈や慣例や不文律を尊重しない政権の真骨頂ともいえよう。しかし、このような政権が登場した以上、不文律による内閣法制局の独立性・中立性に依拠することはもはや不可能である。
であるならば、必要なのは、三権分立のもとで明確に制度的独立が担保されている「憲法裁判所」による、閣法の事前の憲法適合性判断を制度化である。もちろん、この裁判所の人事権について、内閣からの独立性を強化すべき工夫が必要なことは当然である。
http://webronza.asahi.com/politics/articles/2017122100003.html?iref=wrs_rnavi_rank&guid=on
権力拡大の改憲は論外。権力を統制する改正を視野に国民・政治家は憲法と向き合え
山尾志桜里 衆院議員
2017年12月26日
頭を悩ます改憲賛否の質問
政治家は選挙のたびに大量のアンケートの山に囲まれるが、常に頭を悩ますのが、「改憲に賛成か反対か」、あるいは「あなたは護憲派か改憲派か」という類の質問だ。
私は、権力者による権力拡大方向の改憲には断固反対だが、国民の側から国家権力を統制する方向の改憲、すなわち立憲的改憲議論は積極的にすべきだと考える。
とりわけ、安倍政権下で現行憲法が機能不全に陥っている現象を目の当たりにした現在、安倍政権の横暴を正すべく、権力統制規範たる憲法の「価値」を守るため、憲法の「文字」を変える必要があると考える。
したがって、私は憲法の価値を守るという意味では「護憲派」であるが、憲法典の文字に焦点をあてるならば、「改憲派」である。
「自衛隊明記」提案は最悪の憲法改悪
本来、憲法は権力統制規範である以上、「改憲」とはこの権力統制規範力を高めるものでなければならない。
その点、ここ数年自民党により提示されてきた「権力者による権力拡大方向の改憲」は、権力統制規範力をむしろ低下させるものであって「憲法改悪」にほかならない。
とりわけ安倍総理による「自衛隊明記」提案の本質は、歯止めなき自衛権の根拠規定を憲法に新設することにある。まさに自衛隊の最高指揮権者が、国家権力を最も先鋭化させる自衛権の歯止めを自ら外し、憲法による自衛権統制規範力をゼロにするものであって、グロテスクな「最悪の憲法改悪」である。
野党と国民がプレーヤーになる議論を
日本の憲法論議の不幸は、権力を拡大する「改憲」提案しかほとんど経験しておらず、権力者をしばる本来の「改憲」提案がされてこなかったことにある。
今こそ硬直化した「改憲議論」から前進し、「権力をしばる改憲」という本質的かつ新しいコンセプトのもと、野党と国民がプレーヤーとなって幅広い議論をかわすべきだ。憲法改正を通じて、国民の意思により、国家権力に対する統制力を高めることは可能である。
もちろん、安倍総理に対しては、「変える前に守れ」と声を大にして言い続けるが、安倍政権ですら守らざるを得ないよう、規範力の高い憲法に変えることは可能なのである。
本稿では、こうした立憲的な憲法改正の思考のスタートラインを示したい。
第2次安倍政権で起きている現象は……
そもそも、現代の日本社会は、憲法改正を必要としているか否か。
憲法は、「国家の権力を統制し、国民の人権を保障する」役割を担っている。とするならば、立てるべき問いは、「現代において、現行憲法は、国家の権力を統制し、国民の権利を保障するという役割を十分に果たしているか」ということになる。
この役割を果たしていれば変える必要はないし、果たしていなければ変える必要がある。
この点、第2次安倍政権のもとでは、たとえば以下の現象が起きている。
① 憲法9条があるにもかかわらず、集団的自衛権の一部を認める安保法制が成立した。
② 憲法69条、7条のもと、大義なき解散が頻発している。
③ 憲法53条の要件を満たした臨時国会召集要求が無視されている。
④ LGBTの権利保障が不十分で、与党幹部から差別的発言がなされ、LGBT差別解消法が審議拒否され、同性婚も認められていない。
⑤ 国家が保有する情報に対する国民のアクセスが十分に保障されず、南スーダンPKOの日報問題や森友・加計問題の真相解明が進まない。
⑥ 共謀罪の成立により、捜査権力による国民のプライバシー権制約は侵害のレベルにまで達しようとしている。
予想外の脆さを露呈させた現行憲法
こういった現象は、立憲主義を尊重しない国家権力に対する、現行憲法の予想外の脆(もろ)さを露呈させた。
言葉を変えれば、現行憲法は「安倍政権」を予定していなかったのである。
しかし翻って考えてみると、憲法の役割の神髄は、立憲主義を尊重しない横暴な国家権力をこそ制するものであるべきだ。第2次安倍政権のもとで、上記に象徴されるような憲法の機能不全が生じているなら、その不全を改善するための憲法改正から逃げるべきではない。
では、憲法をどのように改正すれば、機能を回復・強化できるのか。
憲法の「規律密度」を高めよ
そもそも、上記のような現象にいたる原因の共通項はなにか。
ひとつ目は、日本国憲法の「規律密度」が相対的に低いため、その行間を埋めてきた憲法解釈を尊重せずに、むしろ行間を逆手にとって解釈を恣意(しい)的に歪曲(わいきょく)するタイプの政権に対して、その統制力が弱いことである。ふたつ目は、そのような政権の恣意的憲法解釈を正す現実的手段を予定していないことである。
前者に対しては、日本国憲法の規律密度を高める、すなわち行間を埋めてきた適切な解釈を明文化することなどによって、恣意性の余地を極力減らすことで対応すべきだ。
憲法裁判所の設置検討が必要
後者に対しては、政権の恣意的憲法解釈を事前にチェックする機関として、政権から独立したいわゆる「憲法裁判所」を設け、チェックを委ねることを、積極的に検討すべきである。
こうしたチェック機能は、これまで内閣法制局が担ってきたが、その独立性・中立性をかろうじて担保してきたのは、人事上の不文律であった。すなわち、法制局長官人事は形式的には「政治任用」でありながら、事実上「行政任用」ポストとして政治が直接関与しないという不文律である。
この人事の不文律を破り、安保法制合憲論の人物を長官に据えたのが安倍政権であり、それこそ解釈や慣例や不文律を尊重しない政権の真骨頂ともいえよう。しかし、このような政権が登場した以上、不文律による内閣法制局の独立性・中立性に依拠することはもはや不可能である。
であるならば、必要なのは、三権分立のもとで明確に制度的独立が担保されている「憲法裁判所」による、閣法の事前の憲法適合性判断を制度化である。もちろん、この裁判所の人事権について、内閣からの独立性を強化すべき工夫が必要なことは当然である。
2017年12月27日水曜日
蓮舫・れんほう @renho_sha 私の率直な想いです。
蓮舫・れんほう @renho_sha
私の率直な想いです。
https://twitter.com/renho_sha/status/945617597482987520
https://renho.jp/wp-content/uploads/2017/12/b4ae94ab6b6c203682ecda33c219cefb.pdf
私をご支援いただいている皆さまへ
年の瀬も迫り、寒さも厳しい季節となってきました。皆さま、お忙しい師走をお過ごしのことと存じます。
さて。今秋、民進党として民意を問う事のない衆議院議員選挙が終わり、構成員の大半が参議院議員となった民進党の「今後」について、これまで両院議員懇談会や全国幹事会などの場において、組織として議論をしてきました。メディアを通じての報道は「迷走」「決められない」というネガティブなものが目立ちましたが、実際の議論は、どれも真剣な意見であり、党改革のための真っ直ぐなものばかりだったことはぜひ、御理解をいただければとお願いします。
この間、私も議員懇談会で何度も発言をしました。同時に、大塚代表と 2 人で会い、時間をかけて党の在り方について意見交換、提案もしてきました。私の意見に耳を傾けてくれた代表には感謝しています。
『自由・共生・未来への責任』は旧民主党、民進党が掲げた理念であり、私が2004 年の初当選以来一貫して主張してきている「すべては子どもたちのために」を実現するための大切な理念でもあります。ただ、総選挙で民意を問わなかった民進党は「何のために存在しているのか」「私たちの掲げる政策、社会像とは何か」を今一度、見つめなおして、政策を前面に掲げ、国民の皆さまに私達の存在意義をきちんと訴える必要があると私は考え、そのことを代表に直接訴え、懇談会で仲間にも強く訴えてきました。
議論を始めて 5 回目の両院議員懇談会が 12 月 26 日に開かれ、両院議員総会・全国幹事会・自治体議員団等役員合同会議で議論を行い、両院総会で党改革の方向性をまとめました。立憲民主党及び希望の党に統一会派を呼び掛ける、と。野党を再結集する意味の大きさ、現政権に向き合う野党がまとまる必要性はもちろん肯定します。この方向性をまとめるために尽力された執行部に感謝します。他方、私が提案してきた民進党は何を実現するために集った政党なのか、政策を前面に掲げられなかったことが残念です。
2004 年の初当選から 14 年。一貫して訴えてきた次世代のための政治を行うために、脱原発社会の実現、教育無償化を始め子ども達への施策、立憲主義を守ることをこれからも最優先して行うことが私の政治家としての軸足だとの考えから、来年以降の私の立ち位置を熟考してきました。
そして。
立憲民主党で新しい再出発をしていくことを決めました。森友、加計学園問題は未だ終わっていません。行政が歪められたのかどうか、その再検証を不可能にする情報非公開の姿勢はあってはならないことです。さらには、スパコン補助金疑惑、リニアをめぐる談合疑惑など次から次へと過去にすでになくなったと思えていた事件が発覚しています。防衛予算や公共事業費は対前年比増額にもかかわらず、生活保護費は削られました。子ども達のために消費税増税分を使うと安倍総理は総選挙で明言しましたが、なぜ、今ではないのでしょうか。引き換えに先送りする財政再建のツケは、子ども達にのしかかります。
現政権が行ってきた政治の全てを否定はしませんが、立憲主義を守ること、税金に再分配のあり方を1人の政治家としてきちんと主張し、現政権に対峙するために、蓮舫は立憲民主党で心機一転、1議員として原点に戻った活動を始めて行きたいと思います。
これまで、後援会、党員・サポーターとしていつも温かく、そして時に厳しく私を見守り、支えてくださった皆さまにはぜひ、私の想いをご理解いただきたく心からお願い申し上げます。引き続きのご支援をいただくことで、さらに前に進んで行きたいとも思っています。どうぞ、よろしくお願いします。
平成 29 年 12 月 26 日
蓮舫
私の率直な想いです。
https://twitter.com/renho_sha/status/945617597482987520
https://renho.jp/wp-content/uploads/2017/12/b4ae94ab6b6c203682ecda33c219cefb.pdf
私をご支援いただいている皆さまへ
年の瀬も迫り、寒さも厳しい季節となってきました。皆さま、お忙しい師走をお過ごしのことと存じます。
さて。今秋、民進党として民意を問う事のない衆議院議員選挙が終わり、構成員の大半が参議院議員となった民進党の「今後」について、これまで両院議員懇談会や全国幹事会などの場において、組織として議論をしてきました。メディアを通じての報道は「迷走」「決められない」というネガティブなものが目立ちましたが、実際の議論は、どれも真剣な意見であり、党改革のための真っ直ぐなものばかりだったことはぜひ、御理解をいただければとお願いします。
この間、私も議員懇談会で何度も発言をしました。同時に、大塚代表と 2 人で会い、時間をかけて党の在り方について意見交換、提案もしてきました。私の意見に耳を傾けてくれた代表には感謝しています。
『自由・共生・未来への責任』は旧民主党、民進党が掲げた理念であり、私が2004 年の初当選以来一貫して主張してきている「すべては子どもたちのために」を実現するための大切な理念でもあります。ただ、総選挙で民意を問わなかった民進党は「何のために存在しているのか」「私たちの掲げる政策、社会像とは何か」を今一度、見つめなおして、政策を前面に掲げ、国民の皆さまに私達の存在意義をきちんと訴える必要があると私は考え、そのことを代表に直接訴え、懇談会で仲間にも強く訴えてきました。
議論を始めて 5 回目の両院議員懇談会が 12 月 26 日に開かれ、両院議員総会・全国幹事会・自治体議員団等役員合同会議で議論を行い、両院総会で党改革の方向性をまとめました。立憲民主党及び希望の党に統一会派を呼び掛ける、と。野党を再結集する意味の大きさ、現政権に向き合う野党がまとまる必要性はもちろん肯定します。この方向性をまとめるために尽力された執行部に感謝します。他方、私が提案してきた民進党は何を実現するために集った政党なのか、政策を前面に掲げられなかったことが残念です。
2004 年の初当選から 14 年。一貫して訴えてきた次世代のための政治を行うために、脱原発社会の実現、教育無償化を始め子ども達への施策、立憲主義を守ることをこれからも最優先して行うことが私の政治家としての軸足だとの考えから、来年以降の私の立ち位置を熟考してきました。
そして。
立憲民主党で新しい再出発をしていくことを決めました。森友、加計学園問題は未だ終わっていません。行政が歪められたのかどうか、その再検証を不可能にする情報非公開の姿勢はあってはならないことです。さらには、スパコン補助金疑惑、リニアをめぐる談合疑惑など次から次へと過去にすでになくなったと思えていた事件が発覚しています。防衛予算や公共事業費は対前年比増額にもかかわらず、生活保護費は削られました。子ども達のために消費税増税分を使うと安倍総理は総選挙で明言しましたが、なぜ、今ではないのでしょうか。引き換えに先送りする財政再建のツケは、子ども達にのしかかります。
現政権が行ってきた政治の全てを否定はしませんが、立憲主義を守ること、税金に再分配のあり方を1人の政治家としてきちんと主張し、現政権に対峙するために、蓮舫は立憲民主党で心機一転、1議員として原点に戻った活動を始めて行きたいと思います。
これまで、後援会、党員・サポーターとしていつも温かく、そして時に厳しく私を見守り、支えてくださった皆さまにはぜひ、私の想いをご理解いただきたく心からお願い申し上げます。引き続きのご支援をいただくことで、さらに前に進んで行きたいとも思っています。どうぞ、よろしくお願いします。
平成 29 年 12 月 26 日
蓮舫
2017年12月22日金曜日
生活保護切り下げ、「クリスマスなくていい」とシングルマザーから怒り続出
生活保護切り下げ、「クリスマスなくていい」とシングルマザーから怒り続出
AERA 2017/12/22
https://dot.asahi.com/amp/aera/2017122100078.html
厚生労働省が生活保護費を引き下げる案を打ち出した。食費や光熱費などの「生活扶助費」を最大5%減額する方針だ。生活保護基準の切り下げは、経済的に苦しい家庭の子どもへの就学援助や、介護保険料の減免、税制、最低賃金の水準など、受給者だけではなく、私たちの日々の暮らしにも影響を与える。実は、誰にとってもひとごとではない。
なかでも懸念されるのがシングルマザーなどひとり親世帯への影響だ。生活扶助の減額に加え、「母子加算」を2割削減し月額平均2万1000円から1万7000円に、3歳児未満の子どもへの「児童養育加算」を月額平均1万5000円から1万円に。さらにクラブ活動などにあてる「学習支援費」を定額支給から実費のみの支給に変更する。
「子ども自身が自分の生活をきりつめなければいけないと毎日気にしながら生きている。義務教育期間にこういうことをしていいのかなって、すごくおかしいなって思うんです」
そう言うのは12月19日、この引き下げ案に反対する大学教授・弁護士らが衆院第一議員会館で開いた院内集会に参加した生活保護受給者のシングルマザー。冬休みが始まれば、子どもに1日3食を家で食べさせなければならないが、どう食費を捻出するか頭が痛い。
「贅沢なんかしていないです。クリスマスプレゼントなんか買わないですよ? なんにもないけど、とりあえず生きているだけでありがたいって思わなきゃいけないって自分に言い聞かせています」(女性)
NPO法人「チャリティーサンタ」の調査によれば、シングルマザーの36.9%、約3人に1人が経済的困窮などを背景に「クリスマスなんてなくてもいい、来ないでほしい」と思ったことがあると回答したという。生活保護受給の母子世帯ならなおさらだ。
北九州市議の村上さとこさん(52)は、イルミネーションやイベントで華やぐ街をみるたびに強く思う。
「市議としては町づくりも大切ですが、そのにぎわいに参加できず孤立と困窮に苦しむ人もいることを忘れてはいけない」
それは自身の過去にも重なる。約15年前、村上さんも貧困に苦しみ、生活保護を受けながら2人の子どもを育てるシングルマザーだったからだ。
「クリスマスだって朝も夜も働いていました。にぎわう場所はみじめになるし、より孤独を感じるので避けていました。そもそも交通費も惜しいので外出ができなかった。子どもたちを遊びに連れて行った記憶がないんです」(村上さん)
会社員の夫と結婚し、関東で専業主婦として子育てをしていた村上さん。生活が一変したのは、夫がリストラされ、暴力をふるうようになってからだ。被害は徐々にエスカレートし、殴られて耳の鼓膜が破れることも。離婚の手続きを進めながら、夫から逃れるため当時小学1年の長女と幼稚園に通っていた次女を連れて東京へ引っ越した。昼は派遣の事務員、夜はファミレスなど飲食店でアルバイトしたが、それでも月々の収入は約20万円と苦しい生活だった。やがて派遣切りされるのが不安でアルバイトを三つかけもちするように。正社員になりたいとも思ったが、面接のためにはアルバイトを休まねばならない。その分の時給が惜しくて出来なかったという。
子どもたちの食事や洋服も切り詰めた。今でも覚えているのは大雪が降った日のことだ。年に数回しか履かない長靴はもったいなくて買えない。子どもたちは雨の日も運動靴をぐちゃぐちゃにして通っていたが、その日はさすがに無理だと村上さんが判断。学校を休ませ、村上さんは仕事へ向かった。
「子どもたちは学校が休めて無邪気に楽しそうだったけど、親としては申し訳なくてつらくて。当時は安い長靴を探そうと思うような時間的余裕も精神的余裕もなかったんです。朝も夜も休日もなく働いていましたから」(村上さん)
その後、派遣切りにあったのと同時に長女が入院。バイトの掛け持ちと病院の付き添いは両立できず、生活保護を受けることになった。受給期間は約7カ月。その間ヘルパーの講座に通い資格を取得した。非正規のヘルパーとアルバイトを掛け持ちする生活で、なんとか生計を立て直したという。今は再婚し、長女も次女も大学に進学、新たに三女も出産した。
「生活保護を受給できなければ生きていけなかった。子どもの病気も治せたし、落ち着いて家族の今後の生活や自分のキャリアについて考えられたのも助かりました。生活保護には感謝の気持ちしかありません。貧困の連鎖を断ち切るのが政治の役割なはず。まずは生活保護以下の水準で生活している約3千万人を支援することが大切。母子家庭を狙い撃ちするような今回の削減案には反対です」(村上さん)
しかし、昨年の北九州市議選に立候補するまで生活保護を受給していたことは10年以上、夫以外に誰にも話していなかったという。「生活保護なんて恥ずかしい」という自己責任論に絡めとられていたからだ。だが、北九州市で男性が「おにぎりを食べたい」と書き残して餓死した事件など、行政の「水際作戦」が明るみに出た。生活保護受給者へのバッシングが高まる中、経験者が声をあげ、生活保護は国民の権利だと伝えることが大切だと今は思い直したという。自身が周囲から孤立した体験から、生活保護受給者もルームシェアできるような制度改革が必要だと考えている。
前出の院内集会に参加した立憲民主党の池田真紀衆院議員もシングルマザーとして生活保護を受給していた経験がある。当時から福祉事務所の対応や制度の運用実態に疑問を感じていたという。
「今回の基準引き下げ問題について、厚労省の説明で本当に納得のいくものは一つもなかった。国民がただ生きるだけではなくて、安心と笑顔を勝ち取らなければいけないと思っています」(池田さん)
引き下げを検討した厚労省の生活保護基準部会は、客観的な数字にこだわり、最後まで当事者の声を聞かなかったという。来年1月召集の通常国会で国の予算案審議が始まる。彼女たちのような体験者の切実な声が、議論に反映されるよう願っている。(AERA編集部・竹下郁子)
AERA 2017/12/22
https://dot.asahi.com/amp/aera/2017122100078.html
厚生労働省が生活保護費を引き下げる案を打ち出した。食費や光熱費などの「生活扶助費」を最大5%減額する方針だ。生活保護基準の切り下げは、経済的に苦しい家庭の子どもへの就学援助や、介護保険料の減免、税制、最低賃金の水準など、受給者だけではなく、私たちの日々の暮らしにも影響を与える。実は、誰にとってもひとごとではない。
なかでも懸念されるのがシングルマザーなどひとり親世帯への影響だ。生活扶助の減額に加え、「母子加算」を2割削減し月額平均2万1000円から1万7000円に、3歳児未満の子どもへの「児童養育加算」を月額平均1万5000円から1万円に。さらにクラブ活動などにあてる「学習支援費」を定額支給から実費のみの支給に変更する。
「子ども自身が自分の生活をきりつめなければいけないと毎日気にしながら生きている。義務教育期間にこういうことをしていいのかなって、すごくおかしいなって思うんです」
そう言うのは12月19日、この引き下げ案に反対する大学教授・弁護士らが衆院第一議員会館で開いた院内集会に参加した生活保護受給者のシングルマザー。冬休みが始まれば、子どもに1日3食を家で食べさせなければならないが、どう食費を捻出するか頭が痛い。
「贅沢なんかしていないです。クリスマスプレゼントなんか買わないですよ? なんにもないけど、とりあえず生きているだけでありがたいって思わなきゃいけないって自分に言い聞かせています」(女性)
NPO法人「チャリティーサンタ」の調査によれば、シングルマザーの36.9%、約3人に1人が経済的困窮などを背景に「クリスマスなんてなくてもいい、来ないでほしい」と思ったことがあると回答したという。生活保護受給の母子世帯ならなおさらだ。
北九州市議の村上さとこさん(52)は、イルミネーションやイベントで華やぐ街をみるたびに強く思う。
「市議としては町づくりも大切ですが、そのにぎわいに参加できず孤立と困窮に苦しむ人もいることを忘れてはいけない」
それは自身の過去にも重なる。約15年前、村上さんも貧困に苦しみ、生活保護を受けながら2人の子どもを育てるシングルマザーだったからだ。
「クリスマスだって朝も夜も働いていました。にぎわう場所はみじめになるし、より孤独を感じるので避けていました。そもそも交通費も惜しいので外出ができなかった。子どもたちを遊びに連れて行った記憶がないんです」(村上さん)
会社員の夫と結婚し、関東で専業主婦として子育てをしていた村上さん。生活が一変したのは、夫がリストラされ、暴力をふるうようになってからだ。被害は徐々にエスカレートし、殴られて耳の鼓膜が破れることも。離婚の手続きを進めながら、夫から逃れるため当時小学1年の長女と幼稚園に通っていた次女を連れて東京へ引っ越した。昼は派遣の事務員、夜はファミレスなど飲食店でアルバイトしたが、それでも月々の収入は約20万円と苦しい生活だった。やがて派遣切りされるのが不安でアルバイトを三つかけもちするように。正社員になりたいとも思ったが、面接のためにはアルバイトを休まねばならない。その分の時給が惜しくて出来なかったという。
子どもたちの食事や洋服も切り詰めた。今でも覚えているのは大雪が降った日のことだ。年に数回しか履かない長靴はもったいなくて買えない。子どもたちは雨の日も運動靴をぐちゃぐちゃにして通っていたが、その日はさすがに無理だと村上さんが判断。学校を休ませ、村上さんは仕事へ向かった。
「子どもたちは学校が休めて無邪気に楽しそうだったけど、親としては申し訳なくてつらくて。当時は安い長靴を探そうと思うような時間的余裕も精神的余裕もなかったんです。朝も夜も休日もなく働いていましたから」(村上さん)
その後、派遣切りにあったのと同時に長女が入院。バイトの掛け持ちと病院の付き添いは両立できず、生活保護を受けることになった。受給期間は約7カ月。その間ヘルパーの講座に通い資格を取得した。非正規のヘルパーとアルバイトを掛け持ちする生活で、なんとか生計を立て直したという。今は再婚し、長女も次女も大学に進学、新たに三女も出産した。
「生活保護を受給できなければ生きていけなかった。子どもの病気も治せたし、落ち着いて家族の今後の生活や自分のキャリアについて考えられたのも助かりました。生活保護には感謝の気持ちしかありません。貧困の連鎖を断ち切るのが政治の役割なはず。まずは生活保護以下の水準で生活している約3千万人を支援することが大切。母子家庭を狙い撃ちするような今回の削減案には反対です」(村上さん)
しかし、昨年の北九州市議選に立候補するまで生活保護を受給していたことは10年以上、夫以外に誰にも話していなかったという。「生活保護なんて恥ずかしい」という自己責任論に絡めとられていたからだ。だが、北九州市で男性が「おにぎりを食べたい」と書き残して餓死した事件など、行政の「水際作戦」が明るみに出た。生活保護受給者へのバッシングが高まる中、経験者が声をあげ、生活保護は国民の権利だと伝えることが大切だと今は思い直したという。自身が周囲から孤立した体験から、生活保護受給者もルームシェアできるような制度改革が必要だと考えている。
前出の院内集会に参加した立憲民主党の池田真紀衆院議員もシングルマザーとして生活保護を受給していた経験がある。当時から福祉事務所の対応や制度の運用実態に疑問を感じていたという。
「今回の基準引き下げ問題について、厚労省の説明で本当に納得のいくものは一つもなかった。国民がただ生きるだけではなくて、安心と笑顔を勝ち取らなければいけないと思っています」(池田さん)
引き下げを検討した厚労省の生活保護基準部会は、客観的な数字にこだわり、最後まで当事者の声を聞かなかったという。来年1月召集の通常国会で国の予算案審議が始まる。彼女たちのような体験者の切実な声が、議論に反映されるよう願っている。(AERA編集部・竹下郁子)
171221(社説)憲法70年 筋道立たない首相発言
(社説)憲法70年 筋道立たない首相発言
朝日新聞 2017年12月21日
https://digital.asahi.com/sp/articles/DA3S13283044.html
自民党の憲法改正推進本部が、衆院選で公約に掲げた改憲4項目に関する「論点取りまとめ」を公表した。
焦点の9条については、1項と2項を維持して自衛隊を明記する安倍首相の案と、戦力不保持をうたう2項を削除し、自衛隊の目的・性格をより明確化するという2案を併記した。
両案を土台に年明けから自民党案のとりまとめに入り、早ければ来年中にも国会による発議と国民投票に踏み切る――。自民党内ではそんなシナリオも語られている。
旗振り役は言うまでもなく首相である。5月の憲法記念日に自衛隊明記の構想を示し、「2020年を新しい憲法が施行される年にしたい」と語った。
自民党が東京都議選で惨敗した7月以降、「スケジュールありきではない」と発言を変えたが、一昨日の講演で再びこう踏み込んだ。「2020年、日本が大きく生まれ変わる年にするきっかけとしたい。憲法について議論を深め、国の形、あり方を大いに論じるべきだ」
この日も「スケジュールありきではない」と付け加えたが、衆院選の大勝を受けてアクセルを踏んだようだ。
あらためて指摘しておく。
改憲を発議する権限は国会にある。行政府の長である首相が自らの案を期限を切って示し、強引に進めようとするなら筋違いというほかない。
「20年」を強調するのは、自らが首相であるうちに改憲したいためだろう。衆参で3分の2の与党勢力があるうちに発議したい、との思いもあろう。だが改憲は首相の都合で決めていいものではない。
時代や社会の変化に応じ、憲法を問い直す議論はあっていい。だがそれには前提がある。
憲法は、国家権力の行使を制限し、国民の人権を保障する規範である。その基本を踏みはずすような改憲は許されない。
法改正や予算措置など、改憲以外にその現実に対処する方法が見いだせないか。山積する政治課題の中で、限られたエネルギーを改憲に注ぐ必然性が本当にあるのか。厳しい吟味が求められる。
国民の目に見える形で、真摯(しんし)で丁寧な議論を積み重ねることが、国会の憲法審査会の使命だ。与党だけで押し通してはならない。
主権者である国民がその改憲を理解し、納得することが何よりも重要である。
数の力で進めた改憲が、社会に分断をもたらすことはあってはならない。
朝日新聞 2017年12月21日
https://digital.asahi.com/sp/articles/DA3S13283044.html
自民党の憲法改正推進本部が、衆院選で公約に掲げた改憲4項目に関する「論点取りまとめ」を公表した。
焦点の9条については、1項と2項を維持して自衛隊を明記する安倍首相の案と、戦力不保持をうたう2項を削除し、自衛隊の目的・性格をより明確化するという2案を併記した。
両案を土台に年明けから自民党案のとりまとめに入り、早ければ来年中にも国会による発議と国民投票に踏み切る――。自民党内ではそんなシナリオも語られている。
旗振り役は言うまでもなく首相である。5月の憲法記念日に自衛隊明記の構想を示し、「2020年を新しい憲法が施行される年にしたい」と語った。
自民党が東京都議選で惨敗した7月以降、「スケジュールありきではない」と発言を変えたが、一昨日の講演で再びこう踏み込んだ。「2020年、日本が大きく生まれ変わる年にするきっかけとしたい。憲法について議論を深め、国の形、あり方を大いに論じるべきだ」
この日も「スケジュールありきではない」と付け加えたが、衆院選の大勝を受けてアクセルを踏んだようだ。
あらためて指摘しておく。
改憲を発議する権限は国会にある。行政府の長である首相が自らの案を期限を切って示し、強引に進めようとするなら筋違いというほかない。
「20年」を強調するのは、自らが首相であるうちに改憲したいためだろう。衆参で3分の2の与党勢力があるうちに発議したい、との思いもあろう。だが改憲は首相の都合で決めていいものではない。
時代や社会の変化に応じ、憲法を問い直す議論はあっていい。だがそれには前提がある。
憲法は、国家権力の行使を制限し、国民の人権を保障する規範である。その基本を踏みはずすような改憲は許されない。
法改正や予算措置など、改憲以外にその現実に対処する方法が見いだせないか。山積する政治課題の中で、限られたエネルギーを改憲に注ぐ必然性が本当にあるのか。厳しい吟味が求められる。
国民の目に見える形で、真摯(しんし)で丁寧な議論を積み重ねることが、国会の憲法審査会の使命だ。与党だけで押し通してはならない。
主権者である国民がその改憲を理解し、納得することが何よりも重要である。
数の力で進めた改憲が、社会に分断をもたらすことはあってはならない。
2017年12月20日水曜日
よくわかる予算の話 ~特別会計と一般会計
よくわかる予算の話 ~特別会計と一般会計、合わせた歳入・歳出は何兆円?~
http://johoseiri.net/entry/2016/08/15/220907/
http://johoseiri.net/entry/2016/08/15/220907/
2017年12月18日月曜日
ウーマンラッシュアワー
動画
https://m.facebook.com/story.php?story_fbid=1939867323007155&id=100009517184867
神津ゆかりさんFBより
https://m.facebook.com/story.php?story_fbid=1636482253108554&id=100002403842982
<書き起こしました(抜粋)>
僕のこと知ってもらいたいんです。福井県出身なんです。福井県の場所だけでも覚えて帰ってください。いいですか?北朝鮮の向かい側!
福井県の大飯町です。大飯原発のある町、大飯町。大飯町の隣は高浜町、高浜原発。その隣は美浜町。美浜原発。その隣は敦賀のもんじゅ!小さい地域に原発が4基あるんです。
夜の7時には真っ暗になるんです。これだけは言わしてください。
電 気 は ど こ へ 行 くぅぅぅ???
<略>
東京!
東京都知事の名前は? 小池百合子 小池都政が大事にしていることは? 都民ファースト 都民ファーストの次はどうした? 希望の党を作った 希望の党を作ったということは? 国民ファーストをめざした 負けるとわかったら? 代表を降りた 結局あの人は? 自分ファースト!
次は沖縄!
沖縄が現在抱えている問題は? 米軍基地辺野古移設問題 あとは? 高江のヘリパット問題 それは沖縄だけの問題か? いいえ、日本全体の問題 東京で行われるオリンピックは? 日本全体が盛り上がる 基地問題は? 沖縄だけに押しつける 楽しいことは? 日本全体のことにして めんどくさいことは? 見て見ぬふりをする 在日米軍に支払っている金額は? 9465億円 その金額のことをなんと言う? 思いやり予算 アメリカに思いやりを持つ前に 沖縄に思いやりを持てぇ!
熊本
熊本地震から何年経った? 1年半経った 現在熊本の仮説住宅に住んでいるのは? 4万7千人 東北の仮説住宅に住んでいる人は? 8万2千人 2020年東京で何がある? 東京オリンピック 新国立競技場、いくらかかる? 1500億円 国民はオリンピックが見たいんじゃなくて? 自分の家で安心してオリンピックが見たいだけ! だから豪華な競技場を建てる前に? 被災地に家を建てろ!
アメリカ
現在アメリカと一番仲の良い国は? ニッポン! 仲の良い国はアメリカに何してくれる? たくさんミサイルをたくさん買ってくれる あとは? たくさん戦闘機を買ってくれる あとは? たくさん軍艦を買ってくれる それは仲がいい国じゃなくて? 都合のいい国!
日本
現在日本が抱えている問題は? 被災地の復興問題 基地問題 原発問題 北朝鮮のミサイル問題 でも結局ニュースになっているものは? 議員の暴言問題 議員の不倫 あとは? 芸能人の不倫 それは本当に大事なニュースか? 表面的な問題 でもなんでそれがニュースになる? 数字が取れるから なぜ数字が取れる? それを見たい人がたくさんいるから だから本当に危機を感じなくてはいけないのは? 被災地の問題よりも 原発問題よりも 基地の問題よりも 北朝鮮の問題よりも 国民の意識の低さだあああ!
(どうもありがとうございました)
(村本さん、観客に向かって)おまえたちのことだ (笑)
https://m.facebook.com/story.php?story_fbid=1939867323007155&id=100009517184867
神津ゆかりさんFBより
https://m.facebook.com/story.php?story_fbid=1636482253108554&id=100002403842982
<書き起こしました(抜粋)>
僕のこと知ってもらいたいんです。福井県出身なんです。福井県の場所だけでも覚えて帰ってください。いいですか?北朝鮮の向かい側!
福井県の大飯町です。大飯原発のある町、大飯町。大飯町の隣は高浜町、高浜原発。その隣は美浜町。美浜原発。その隣は敦賀のもんじゅ!小さい地域に原発が4基あるんです。
夜の7時には真っ暗になるんです。これだけは言わしてください。
電 気 は ど こ へ 行 くぅぅぅ???
<略>
東京!
東京都知事の名前は? 小池百合子 小池都政が大事にしていることは? 都民ファースト 都民ファーストの次はどうした? 希望の党を作った 希望の党を作ったということは? 国民ファーストをめざした 負けるとわかったら? 代表を降りた 結局あの人は? 自分ファースト!
次は沖縄!
沖縄が現在抱えている問題は? 米軍基地辺野古移設問題 あとは? 高江のヘリパット問題 それは沖縄だけの問題か? いいえ、日本全体の問題 東京で行われるオリンピックは? 日本全体が盛り上がる 基地問題は? 沖縄だけに押しつける 楽しいことは? 日本全体のことにして めんどくさいことは? 見て見ぬふりをする 在日米軍に支払っている金額は? 9465億円 その金額のことをなんと言う? 思いやり予算 アメリカに思いやりを持つ前に 沖縄に思いやりを持てぇ!
熊本
熊本地震から何年経った? 1年半経った 現在熊本の仮説住宅に住んでいるのは? 4万7千人 東北の仮説住宅に住んでいる人は? 8万2千人 2020年東京で何がある? 東京オリンピック 新国立競技場、いくらかかる? 1500億円 国民はオリンピックが見たいんじゃなくて? 自分の家で安心してオリンピックが見たいだけ! だから豪華な競技場を建てる前に? 被災地に家を建てろ!
アメリカ
現在アメリカと一番仲の良い国は? ニッポン! 仲の良い国はアメリカに何してくれる? たくさんミサイルをたくさん買ってくれる あとは? たくさん戦闘機を買ってくれる あとは? たくさん軍艦を買ってくれる それは仲がいい国じゃなくて? 都合のいい国!
日本
現在日本が抱えている問題は? 被災地の復興問題 基地問題 原発問題 北朝鮮のミサイル問題 でも結局ニュースになっているものは? 議員の暴言問題 議員の不倫 あとは? 芸能人の不倫 それは本当に大事なニュースか? 表面的な問題 でもなんでそれがニュースになる? 数字が取れるから なぜ数字が取れる? それを見たい人がたくさんいるから だから本当に危機を感じなくてはいけないのは? 被災地の問題よりも 原発問題よりも 基地の問題よりも 北朝鮮の問題よりも 国民の意識の低さだあああ!
(どうもありがとうございました)
(村本さん、観客に向かって)おまえたちのことだ (笑)
2017年12月17日日曜日
【歩きつづけろ】大袈裟太郎 Official Video
【歩きつづけろ】大袈裟太郎 Official Video
https://m.youtube.com/watch?v=zM5K3KNKyhU&feature=youtu.be
高江 辺野古 沖縄を想うすべての仲間たちへ
この国に生きる すべての人々へ
この世界を愛する すべての友達へ
愛とユーモアをこめて
「歩きつづけろ」大袈裟太郎
それぞれの街に それぞれの暮らし
それぞれの島に それぞれの営み
それをぶち壊す 影と痛み
怒りが憎しみに変わる前に
祈りを込めて歌と踊り
僕らが本当の家族になるために
歩きつづけろ 歩きつづけろ 歩きつづけろ 歩きつづけろ 歩きつづけろ
雨が上がるまで
歩きつづけろ 歩きつづけろ 歩きつづけろ 歩きつづけろ 歩きつづけろ
雨が上がっても
テレビを消して少しだけ聴いてくれ
東京から2時間 那覇からまた3時間
高江の森で起こってる現実に
少しだけ耳を澄ましておくれ
150人の村に1000人の機動隊
オスプレイは事故っても捜査もできない
23時まで低空を飛び回り
爆音と恐怖で人々は眠れない
眼が合うくらい低く飛ぶオスプレイ
集落を標的(まと)にして戦争の訓練
住民たちは反対してもう10年
少しでも工事遅らせるために座りこめ
初めはひとりで座り込んでた
10年で全国から人が、集まった
少しでも工事遅らせることで
その間に民意はオール沖縄まとまった
それでもなぜか止まらない工事
地方自治は国の前に無力なのか?
東京、大阪、愛知、福岡、神奈川、千葉
機動隊の数は増えるばかりだ
もしもあなたの街で起こったらどうする?
他人事じゃないやんばるの現実
あなたが子供と遊ぶベランダや
あなたが恋人と歩く遊歩道
説明もなくオスプレイ飛んできたらどうする?
いきなり機動隊に囲まれたらどうする?
だからおれはチャリで検問突破して
あんたの耳元までこの歌を届ける
民主主義がたとえ まぼろしでも
資本主義がたとえ まやかしでも
人々のちからを やさしさを
おれはまだ信じてる
歩きつづけろ 歩きつづけろ 歩きつづけろ 歩きつづけろ 歩きつづけろ
夜が終わるまで
歩きつづけろ 歩きつづけろ 歩きつづけろ 歩きつづけろ 歩きつづけろ
夜が終わっても
今だけ金だけ自分だけ?
気づいたやつだけ 一歩抜け出せ
消費することも されることも
飽き飽きなんだ おれたちは商品じゃない
いのち使い潰し その先で誰が笑う?
資源使い果たし 人はどこへ向かう?
正義と正義のぶつかり合いは終わらない
正論じゃ人の心は動かない
守りたいのは当たり前の暮らし
守りたいのは当たり前の誇り
星空の下でそれに気づく
いのちを学ぶ旅は続く
おれたちも所詮 大自然の一部
あーまん!やどかりと変わらない
こうべを垂れて共存するしかない
郷土愛あるだろう?兄弟姉妹!
この森をこの海を失えば
人間だってきっと正気じゃいられない
きれいごとに聞こえるかもしれないが
そのきれいごとにしか救えない夜をおれは知ってる
うちなー ないちゃー 島ないちゃー
これ以上誰も泣いちゃならんどー
うちなー ないちゃー 島ないちゃー
歴史を越えて 家族になれるさ
踊りつづけろ 踊りつづけろ 踊りつづけろ 踊りつづけろ 踊りつづけろ 踊りつづけろ
夜が終わるまで 夜が終わっても
それぞれの街に それぞれの暮らし
それぞれの島に それぞれの営み
それをぶち壊す 影と痛み
怒りが憎しみに変わる前に
祈りを込めて歌と踊り
僕らが本当の家族になるために
大袈裟通信アーカイブス
http://blog.livedoor.jp/oogesataro/
大袈裟太郎Twitter
https://twitter.com/oogesatarou
大袈裟太郎Facebook
https://www.facebook.com/oogesa
大袈裟太郎メルマガ
https://goo.gl/forms/HXHGK07Cku7UAmzi2
https://m.youtube.com/watch?v=zM5K3KNKyhU&feature=youtu.be
高江 辺野古 沖縄を想うすべての仲間たちへ
この国に生きる すべての人々へ
この世界を愛する すべての友達へ
愛とユーモアをこめて
「歩きつづけろ」大袈裟太郎
それぞれの街に それぞれの暮らし
それぞれの島に それぞれの営み
それをぶち壊す 影と痛み
怒りが憎しみに変わる前に
祈りを込めて歌と踊り
僕らが本当の家族になるために
歩きつづけろ 歩きつづけろ 歩きつづけろ 歩きつづけろ 歩きつづけろ
雨が上がるまで
歩きつづけろ 歩きつづけろ 歩きつづけろ 歩きつづけろ 歩きつづけろ
雨が上がっても
テレビを消して少しだけ聴いてくれ
東京から2時間 那覇からまた3時間
高江の森で起こってる現実に
少しだけ耳を澄ましておくれ
150人の村に1000人の機動隊
オスプレイは事故っても捜査もできない
23時まで低空を飛び回り
爆音と恐怖で人々は眠れない
眼が合うくらい低く飛ぶオスプレイ
集落を標的(まと)にして戦争の訓練
住民たちは反対してもう10年
少しでも工事遅らせるために座りこめ
初めはひとりで座り込んでた
10年で全国から人が、集まった
少しでも工事遅らせることで
その間に民意はオール沖縄まとまった
それでもなぜか止まらない工事
地方自治は国の前に無力なのか?
東京、大阪、愛知、福岡、神奈川、千葉
機動隊の数は増えるばかりだ
もしもあなたの街で起こったらどうする?
他人事じゃないやんばるの現実
あなたが子供と遊ぶベランダや
あなたが恋人と歩く遊歩道
説明もなくオスプレイ飛んできたらどうする?
いきなり機動隊に囲まれたらどうする?
だからおれはチャリで検問突破して
あんたの耳元までこの歌を届ける
民主主義がたとえ まぼろしでも
資本主義がたとえ まやかしでも
人々のちからを やさしさを
おれはまだ信じてる
歩きつづけろ 歩きつづけろ 歩きつづけろ 歩きつづけろ 歩きつづけろ
夜が終わるまで
歩きつづけろ 歩きつづけろ 歩きつづけろ 歩きつづけろ 歩きつづけろ
夜が終わっても
今だけ金だけ自分だけ?
気づいたやつだけ 一歩抜け出せ
消費することも されることも
飽き飽きなんだ おれたちは商品じゃない
いのち使い潰し その先で誰が笑う?
資源使い果たし 人はどこへ向かう?
正義と正義のぶつかり合いは終わらない
正論じゃ人の心は動かない
守りたいのは当たり前の暮らし
守りたいのは当たり前の誇り
星空の下でそれに気づく
いのちを学ぶ旅は続く
おれたちも所詮 大自然の一部
あーまん!やどかりと変わらない
こうべを垂れて共存するしかない
郷土愛あるだろう?兄弟姉妹!
この森をこの海を失えば
人間だってきっと正気じゃいられない
きれいごとに聞こえるかもしれないが
そのきれいごとにしか救えない夜をおれは知ってる
うちなー ないちゃー 島ないちゃー
これ以上誰も泣いちゃならんどー
うちなー ないちゃー 島ないちゃー
歴史を越えて 家族になれるさ
踊りつづけろ 踊りつづけろ 踊りつづけろ 踊りつづけろ 踊りつづけろ 踊りつづけろ
夜が終わるまで 夜が終わっても
それぞれの街に それぞれの暮らし
それぞれの島に それぞれの営み
それをぶち壊す 影と痛み
怒りが憎しみに変わる前に
祈りを込めて歌と踊り
僕らが本当の家族になるために
大袈裟通信アーカイブス
http://blog.livedoor.jp/oogesataro/
大袈裟太郎Twitter
https://twitter.com/oogesatarou
大袈裟太郎Facebook
https://www.facebook.com/oogesa
大袈裟太郎メルマガ
https://goo.gl/forms/HXHGK07Cku7UAmzi2
中国の戦争被害 死者数の真実は?
中国の戦争被害 死者数の真実は?
http://doro-project.net/archives/1714
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=732132816&owner_id=12631570
「砂漠の中の一粒」コミュ「南京」トピで、こんなコメントがありました。
「南京の死者は2万人」のことはすぐにカタがつきました。東中野教授のねつ造でした。でも、日中戦争の被害が年代を経る事に水増しされているってのは、おかしいですよ。そこで相手の方にその根拠を調べてくださいとお願いしたけど、調べてくれません。なのでしかたなく自分で調べました。
この「死者のアヤしい増え方表」はネットのあちこちで使われているので、何かの折りに反論する時、この日記の内容を使うと便利ですよ。
共産主義による民衆被害を研究しているハワイ大学のR.J.ルメル名誉教授が『中国流血の世紀(China’s Bloody Century)1900年以降のジェノサイドと大量殺戮』で詳細な分析を試みています。
http://www.hawaii.edu/powerkills/CHINA.CHAP1.HTM
ここではその全体を紹介できませんので、結論部分だけを示します。
1946年、国民党の発表が130万人
1946年、GHQの発表が130万人
結論:これは国民党軍参謀長が発表した数字で、国民党軍兵士の戦死者推計です。中国全体の死者ではありません(*末尾注1)。
1950年、中国共産党の発表 600万人
結論:これは国民党軍と共産党軍の戦死者と戦病死者数の合計です。被害者総数ではありません。
戦死者 下位推計160万人、上位推計220万人。
戦病死 最大で5,887,000人と推計。
上位推計だけを合計すれば800万人となりますが、共産党は中位推計を採用しているようです。ここでも軍人の死者だけが算出されており、民間人が含まれていません。
1960年、中国共産党の発表 1000万人
結論:これはおそらく民間人を含む死者のうち、直接の戦闘死者の数です。ルメル教授はその政治的立場から下位推計を採用していますが、中位推計を採用すればおよそ1000万人になります。(*末尾注2)
1970年、中国共産党の発表 1800万人
結論:被害者の概念が拡張され、直接の戦闘死以外の殺人行為による死者(処刑・虐殺・人体実験など)も合算され、重複部分を引いて算出されたと思われます(*末尾注3)。
1985年、中国共産党の発表 2100万人
結論:さらに戦争被害の概念が拡張され、これまでの死者に加えて飢饉などで死亡した民間人も含めて戦争被害ととらえるようになったのでしょう。
反共のルメル教授の下位推計によっても、こういう数字になっています(*末尾注4)。中国政府の被害概念はコジツケではなく、私たちにも許容できると思います。
1995年、中国共産党の発表 死傷者3500万人
結論:ここでは死者ではなく「死傷者」となっています。死者が約2000万人として、傷病者を加えれば3500万人なら不自然とは言えません。
1997年、中国共産党の発表 死者3500万人
結論:これは中国共産党の発表ではありません。1997年の翌年の1998年に江沢民が来日したときも「中国軍人市民3500万人が死傷し」と演説していますので、中国政府の認識が「死傷者」から「死者」に変化した形跡はありません(*末尾注5)。ではこの数字は何かと調べると、中国のネットに書かれていました(*末尾注6)。
まあ日本には南京事件虐殺数ゼロという大学教授がいるのですから、あちらにもトンデモないことを言う人はいるんでしょう。しかし民間人の勝手な主張のことを「中国政府の発表」と書いたら、それはねつ造になります。また軍人の死者だけの発表なのに中国全体の被害のように書いて、全体数とのギャップを強調するのも感心できませんね。
ということですので、時代時代の発表数字にはそれなりの根拠があったわけで、根拠もなくコロコロと言うことが変わっているのではありませんでした。また中国政府のことだから考え得る最大の数字を意図的に選択しているだろうと私は予測していたんですが、そういうことはありませんでした。中位推計か下位推計を採用していて、結構冷静で客観的なのだなと驚きました。
この表はネットのあちこちで見かけます。みんな中国政府の信頼性のなさを強調したいのでしょうけど、そのやり口はほとんどねつ造に近いものだということが、これで明らかになったわけです。やはり、よく調べもしないで鵜呑みにするのはよくありませんね。
*注1
「一瞥して分かるように、1937年7月から1945年8月までの戦死(あるいは単なる死亡)推計は全て相対的に近い範囲-死者131万人から220万人-に収まっている。132万人の死者数は明らかに国民党のものであり(22段a)、国民党軍の参謀総長によって1946年に公表されたものである。」
*注2
「これにより中国人死者は346万7千人から1,691万4千人、おそらくは708万4千人となる。これらの数は戦争捕虜、民間人の爆撃や細菌戦死者その他の日本のジェノサイド、及び国民党による……ジェノサイドを除外していることに留意されたい。」(China’s Bloody Century)
*注3
「日本のジェノサイドは別に章を立てる必要があり、補論6.1の表6.Aで分析されている。
そこでは日本軍が157万8千人から632万5千人の中国人、おそらくは394万9千人であり、そのうち支配下の住民299万1千人を殺害したと計算されている。これらの数値は本表にも掲載されている。」(China’s Bloody Century)
*注4
「おそらくは1,960万5千人の中国人が戦争、反乱、ジェノサイド、または飢饉で死亡した。」(China’s Bloody Century)
*注5
「歴史を鏡として、未来を切り開こう」
早稲田大学における演説
中華人民共和国主席 江沢民
1998年11月28日
「20世紀30年代から、日本軍国主義は全面的な対中国侵略戦争を起こし、その結果、中国は軍民3500万人が死傷し、6000億ドル以上の経済的損失を蒙りました。この戦争は中国人民に大きな民族的災難をもたらし、日本人民もそれによって少なからぬ害を受けました。」
*http://www.waseda.jp/jp/news98/981128k.html
*注6
「变成了死于日军之手的三千万民众的坟墓。」
愛國網
*http://www.china918.net/91802/njpic/ReadNews.asp?NewsID=7
(1) 国民党政権時代、国民党軍の戦死者数だけを発表。
(2) 共産党が政権をとり、それまでの数字に共産党軍の戦死者を加えた。
(3) おそらく朝鮮戦争の義勇軍の功績を称えたのが契機となって、抗日戦争義勇軍の功績も称えてほしいと言う声があがり、義勇兵の戦死者を追加した。
(4) 戦争の捉え方が「功績」から「被害」に移り、民衆被害が視野に入ってきた。
(5) 国際的に戦争被害の概念が広くなったのにあわせて、戦争関連被害も視野に入れて算定した。ただし死者のみ。
(6) 戦争被害とは死者だけではないとの概念拡大があり、死者だけでなく傷病者も加え、経済被害も具体的数字で語られ始めた。
こういうふうな移り変わりなんですね。それぞれ異なるカテゴリーの数字を積み上げていっただけですから、基本の資料は変わっていないんです。軍人の戦死者数が増えたとか、民間被害者が水増しされたということではないんですよ。
(1)(2)(3)は功績を称えるため。
(4)(5)(6)は被害を訴えるため。
こういう概念なんですね。
ルメル先生はもともとは中国共産党による民衆虐殺をテーマに研究している人なんです。でもそれだけではただの反共論文になってしまうので、アカデミックな論文にするため、20世紀代中国の虐殺史としたようです。で、時期的にたまたま日本軍による被害というのも視野に入ってきただけで、これが主題ではないんですよね。
国民党による民衆虐待も、ですから別の章で扱っています。国民党軍の民衆虐殺も凄まじい数字ですよ。私は中国政府の発表数には、国共内戦の死者とか、黄河決壊の死者なんかも広義の被害者としてぶっこみで入れてあるんだろうと思っていました。でもそういうことではなかったので、お、中国共産党、わりに公正じゃんて、ちょっと驚きでしたね。
「砂漠の中の一粒」コミュ「南京」トピで、こんなコメントがありました。
1938年、国際連盟で中国政府代表が、「南京の死者は2万人」と演説。
1946年、東京裁判では「南京大虐殺で死者20万人」。
1985年、南京大虐殺記念館が建てられる、死者30万人。
2000年、教科書で死者40万人という数字が記載されたモノまで出る。
そういえば日中戦争の死者も、どんどん増えていってますよね。
1946年、国民党の発表が 130万人
1946年、GHQの発表が 130万人
1950年、中国共産党の発表 600万人
1960年、中国共産党の発表 1000万人
1970年、中国共産党の発表 1800万人
1985年、中国共産党の発表 2100万人
1995年、中国共産党の発表 死傷者3500万人
1997年、中国共産党の発表 死者3500万人
なんなんだろう、これ。
ふむ。これが事実なら、ほんとうにヘンですよね。「南京の死者は2万人」のことはすぐにカタがつきました。東中野教授のねつ造でした。でも、日中戦争の被害が年代を経る事に水増しされているってのは、おかしいですよ。そこで相手の方にその根拠を調べてくださいとお願いしたけど、調べてくれません。なのでしかたなく自分で調べました。
この「死者のアヤしい増え方表」はネットのあちこちで使われているので、何かの折りに反論する時、この日記の内容を使うと便利ですよ。
共産主義による民衆被害を研究しているハワイ大学のR.J.ルメル名誉教授が『中国流血の世紀(China’s Bloody Century)1900年以降のジェノサイドと大量殺戮』で詳細な分析を試みています。
http://www.hawaii.edu/powerkills/CHINA.CHAP1.HTM
ここではその全体を紹介できませんので、結論部分だけを示します。
1946年、国民党の発表が130万人
1946年、GHQの発表が130万人
結論:これは国民党軍参謀長が発表した数字で、国民党軍兵士の戦死者推計です。中国全体の死者ではありません(*末尾注1)。
1950年、中国共産党の発表 600万人
結論:これは国民党軍と共産党軍の戦死者と戦病死者数の合計です。被害者総数ではありません。
戦死者 下位推計160万人、上位推計220万人。
戦病死 最大で5,887,000人と推計。
上位推計だけを合計すれば800万人となりますが、共産党は中位推計を採用しているようです。ここでも軍人の死者だけが算出されており、民間人が含まれていません。
1960年、中国共産党の発表 1000万人
結論:これはおそらく民間人を含む死者のうち、直接の戦闘死者の数です。ルメル教授はその政治的立場から下位推計を採用していますが、中位推計を採用すればおよそ1000万人になります。(*末尾注2)
1970年、中国共産党の発表 1800万人
結論:被害者の概念が拡張され、直接の戦闘死以外の殺人行為による死者(処刑・虐殺・人体実験など)も合算され、重複部分を引いて算出されたと思われます(*末尾注3)。
1985年、中国共産党の発表 2100万人
結論:さらに戦争被害の概念が拡張され、これまでの死者に加えて飢饉などで死亡した民間人も含めて戦争被害ととらえるようになったのでしょう。
反共のルメル教授の下位推計によっても、こういう数字になっています(*末尾注4)。中国政府の被害概念はコジツケではなく、私たちにも許容できると思います。
1995年、中国共産党の発表 死傷者3500万人
結論:ここでは死者ではなく「死傷者」となっています。死者が約2000万人として、傷病者を加えれば3500万人なら不自然とは言えません。
1997年、中国共産党の発表 死者3500万人
結論:これは中国共産党の発表ではありません。1997年の翌年の1998年に江沢民が来日したときも「中国軍人市民3500万人が死傷し」と演説していますので、中国政府の認識が「死傷者」から「死者」に変化した形跡はありません(*末尾注5)。ではこの数字は何かと調べると、中国のネットに書かれていました(*末尾注6)。
まあ日本には南京事件虐殺数ゼロという大学教授がいるのですから、あちらにもトンデモないことを言う人はいるんでしょう。しかし民間人の勝手な主張のことを「中国政府の発表」と書いたら、それはねつ造になります。また軍人の死者だけの発表なのに中国全体の被害のように書いて、全体数とのギャップを強調するのも感心できませんね。
ということですので、時代時代の発表数字にはそれなりの根拠があったわけで、根拠もなくコロコロと言うことが変わっているのではありませんでした。また中国政府のことだから考え得る最大の数字を意図的に選択しているだろうと私は予測していたんですが、そういうことはありませんでした。中位推計か下位推計を採用していて、結構冷静で客観的なのだなと驚きました。
この表はネットのあちこちで見かけます。みんな中国政府の信頼性のなさを強調したいのでしょうけど、そのやり口はほとんどねつ造に近いものだということが、これで明らかになったわけです。やはり、よく調べもしないで鵜呑みにするのはよくありませんね。
*注1
「一瞥して分かるように、1937年7月から1945年8月までの戦死(あるいは単なる死亡)推計は全て相対的に近い範囲-死者131万人から220万人-に収まっている。132万人の死者数は明らかに国民党のものであり(22段a)、国民党軍の参謀総長によって1946年に公表されたものである。」
*注2
「これにより中国人死者は346万7千人から1,691万4千人、おそらくは708万4千人となる。これらの数は戦争捕虜、民間人の爆撃や細菌戦死者その他の日本のジェノサイド、及び国民党による……ジェノサイドを除外していることに留意されたい。」(China’s Bloody Century)
*注3
「日本のジェノサイドは別に章を立てる必要があり、補論6.1の表6.Aで分析されている。
そこでは日本軍が157万8千人から632万5千人の中国人、おそらくは394万9千人であり、そのうち支配下の住民299万1千人を殺害したと計算されている。これらの数値は本表にも掲載されている。」(China’s Bloody Century)
*注4
「おそらくは1,960万5千人の中国人が戦争、反乱、ジェノサイド、または飢饉で死亡した。」(China’s Bloody Century)
*注5
「歴史を鏡として、未来を切り開こう」
早稲田大学における演説
中華人民共和国主席 江沢民
1998年11月28日
「20世紀30年代から、日本軍国主義は全面的な対中国侵略戦争を起こし、その結果、中国は軍民3500万人が死傷し、6000億ドル以上の経済的損失を蒙りました。この戦争は中国人民に大きな民族的災難をもたらし、日本人民もそれによって少なからぬ害を受けました。」
*http://www.waseda.jp/jp/news98/981128k.html
*注6
「变成了死于日军之手的三千万民众的坟墓。」
愛國網
*http://www.china918.net/91802/njpic/ReadNews.asp?NewsID=7
追記
読み返すと分かりにくい書き方になっているのに気付きました。死者が増えていった理由は、要するに以下のようなことです。(1) 国民党政権時代、国民党軍の戦死者数だけを発表。
(2) 共産党が政権をとり、それまでの数字に共産党軍の戦死者を加えた。
(3) おそらく朝鮮戦争の義勇軍の功績を称えたのが契機となって、抗日戦争義勇軍の功績も称えてほしいと言う声があがり、義勇兵の戦死者を追加した。
(4) 戦争の捉え方が「功績」から「被害」に移り、民衆被害が視野に入ってきた。
(5) 国際的に戦争被害の概念が広くなったのにあわせて、戦争関連被害も視野に入れて算定した。ただし死者のみ。
(6) 戦争被害とは死者だけではないとの概念拡大があり、死者だけでなく傷病者も加え、経済被害も具体的数字で語られ始めた。
こういうふうな移り変わりなんですね。それぞれ異なるカテゴリーの数字を積み上げていっただけですから、基本の資料は変わっていないんです。軍人の戦死者数が増えたとか、民間被害者が水増しされたということではないんですよ。
(1)(2)(3)は功績を称えるため。
(4)(5)(6)は被害を訴えるため。
こういう概念なんですね。
ルメル先生はもともとは中国共産党による民衆虐殺をテーマに研究している人なんです。でもそれだけではただの反共論文になってしまうので、アカデミックな論文にするため、20世紀代中国の虐殺史としたようです。で、時期的にたまたま日本軍による被害というのも視野に入ってきただけで、これが主題ではないんですよね。
国民党による民衆虐待も、ですから別の章で扱っています。国民党軍の民衆虐殺も凄まじい数字ですよ。私は中国政府の発表数には、国共内戦の死者とか、黄河決壊の死者なんかも広義の被害者としてぶっこみで入れてあるんだろうと思っていました。でもそういうことではなかったので、お、中国共産党、わりに公正じゃんて、ちょっと驚きでしたね。
2017年10月16日月曜日
衆院選で問われる日本政治の新しい対決軸、リベラル陣営のリアリズムとは(山下芳生×中島岳志)
週刊金曜日公式ブログ 週刊金曜日ニュース
http://www.kinyobi.co.jp/kinyobinews/2017/10/14/news-7/
緊急対談 衆院選で問われる日本政治の新しい対決軸、リベラル陣営のリアリズムとは(山下芳生×中島岳志)
2017年10月14日
衆院選の投票日が刻々と迫る。「安倍vs.小池」の対決構図が作られる中で、従来の「保守vs.革新」という枠組みは崩壊した。リベラル陣営は「野党共闘」を進め、日本の政治の対決軸は新しい構図となったが、保守と共産党は主張を同じくできるのか。リベラル陣営の一翼を担う共産党に、保守思想に基づく本来の保守を唱える中島岳志『週刊金曜日』編集委員が、とことん意見を付き合わせた。
中島 岳志
なかじま たけし・東京工業大学リベラルアーツ研究教育院教授、『週刊金曜日』編集委員。1975年、大阪府生まれ。ヒンディー語専攻。インド政治や近代日本の思想史を研究。著書に『中村屋のボース インド独立運動と近代日本のアジア主義』(2005年、白水社)、『「リベラル保守」宣言』(13年、新潮社)、『アジア主義 その先の近代へ』(14年、潮出版社)、『親鸞と日本主義』(17年、新潮選書)など。
中島 私はこれまで、保守思想に基づいての思考や議論をしてきましたが、今の自民党をはじめ日本で「保守」を掲げる人たちには強い疑念を持っています。これは従来の「保守vs.革新」という枠組みが崩れているからで、衆院選を前に、その枠組みを見直す必要があると思っています。
保守の立場から自分自身の話をすると、私は今まで共産党に投票したことはありません。けれど、自民党を選択する可能性はどんどんなくなっていて、このところは民進党をさまざまな面からサポートしてきました。この中でここ数年間、面白い現象が起きています。新聞社などがやっている、自分の考えと各政党のマニフェストとの相性診断をしてみると、どれをやっても結果は共産党になるんです。保守の論理を追求すると、内政面では共産党の政策と近くなる。
山下 芳生
やました よしき・共産党副委員長。1960年、香川県生まれ。大学卒業後、大阪かわち市民生協に勤務。95年、参院大阪選挙区に35歳で初当選。2001年には「党リストラ反対・雇用を守る闘争本部事務局長」となり、全国の職場・地域を巡る。07年に6年ぶりに参院議員に再選し、13年に3選。14年党書記局長、16年副委員長に就任した。モットーは「あったかい人間の連帯を国の政治に」。
山下 今のお話で思い出したのは、2015年10月の宮城県議選で、“保守の地盤”といわれた大崎市選挙区において初めて共産党の県会議員が当選した時のことです。勝利できたのは、JA(農業協同組合)の県中央会の会長やその地域の元首長、議会の議長など保守の方々が本気で応援してくれたからです。
この年の9月に安倍政権は安保法案を強行採決し、さらにTPP(環太平洋連携協定)へとまっしぐらに向かおうとしていて、みなこれに怒っていた。中島さんが政党との相性診断で共産党に行きつくというのも特別なことではなく、安倍政権の暴走によって、保守を自任し、地域の絆を大切にしてきた方々がさまざまなところで立ち上がっている。
本来の保守から見ると安倍首相は「デタラメ」
中島 安保法制に対して本来の保守が最も怒っているのは、その決め方です。保守は、懐疑主義的な人間観を持っている。それは、理性は不完全で万能でないという考えからくるもので、「多くの庶民たちによって形成されてきた良識や経験値を大切にして、徐々に変えていこう」という考えが保守思想の王道だからです。
それゆえに保守の言う民主主義とは、単純な多数決ではない。少数者にも理があるので意見を汲み取りながら合意形成をして、前に進めていくというもので、大平正芳さん(注1)などの保守政治家が実践してきたことです。大平さんは共産党とも社会党ともさまざまな議論をしながら合意形成をしていた。それが政治における保守の人間の肌感覚、人間観なんです。
しかし、安倍晋三首相には決定的にそれが欠如している。国会というものを非常に軽視し、議論というよりは単に時間をクリアすれば安保法案は通るんだという姿勢を取り続けた。これに対して保守は、「あいつはデタラメだ」と感じているし、違和感を持っています。自民党の重鎮の方々にも、同じ感覚を持っている人が多くいると思います。
山下 私は大阪に住んでいますが、「日本維新の会」の法律顧問の橋下徹さんもその典型かもしれないですね。選挙で多数を得れば、後は何をやっても許されるんだという考えに立っていて、民主主義とは相対する。
選挙で決まった力関係で何をやってもいいというのであれば、議会はいらないわけです。安倍さんも、自分は選挙で選ばれ、国会で首相に指名されたんだから、文句言うなというやり方。7月の東京都議選の応援演説の時に市民に向かって「こんな人たち」という発言をしたことにも象徴されている。これは非常に危ないことです。
中島 それで現在の政治状況を把握するために、<図>を見て考えていきたいのですが、縦軸はお金、つまり再配分の問題です。税金を集めて、それをどこに使うかという非常に強い権限を政治は持つわけですが、下に行けば行くほど小さな政府になります。つまりリスクの個人化が図られ、自己責任にされてしまう社会。上に行けば行くほど、それを社会みんなで支え合うというセーフティーネット強化型の大きな政府になる。
横軸はリベラルとパターナルという価値観の問題です。リベラルは、基本的に個人の内的な価値の問題について権力は土足で踏み込まないという原則を持つ。これは寛容ということです。その反対語は、保守ではなくてパターナルで、価値を押しつける権威主義や父権制といった観念のこと。これは夫婦別姓、LGBT(性的少数者)の権利、歴史認識の問題などに現れやすい。
明らかに今の自民党は〈ローマ数字4〉の一番下のラインに位置すると思います。日本は、租税負担率や全GDP(国内総生産)に占める国家歳出の割合、公務員数などあらゆる指標がOECD(経済協力開発機構)諸国最低レベルとなっていて、もはや自己責任がいきすぎている社会です。
小池百合子さんも〈ローマ数字4〉に属します。彼女はかつて夫婦別姓に大反対しており(編集部注・「希望の党」は「寛容な保守」をアピールするために選択的夫婦別姓の導入に取り組んでいくとしている)、完全に思想的にはパターナル。極右的で歴史認識もひどい有様です。
山下 永住外国人の地方参政権反対を希望の党の公認候補になるための踏み絵にもしていましたよね。
中島 そうなんです。小池さんはリスクの個人化や規制緩和を促進してきた。生活保護の受給に厳しい発言を行ない、自助を強調してきた。それなので、現在「安倍vs.小池」と言われていますが、これは〈ローマ数字4〉という狭いコップの中の争いでしかありません。パターナルかつリスクの個人化が極まった〈ローマ数字4〉の一番下のラインに位置する日本を〈ローマ数字2〉の方向に向かわせるためには、〈ローマ数字2〉の軸をしっかり作ること、つまり野党共闘ということになる。
ただ、〈ローマ数字2〉は部分的には〈ローマ数字1〉や〈ローマ数字3〉と連携ができるかもしれないけれども、(ローマ数字4)と組むことだけは絶対にしてはいけない。しかし民進党は小池都知事を代表とする希望の党と組んでしまったので、わけがわからないことになっています。民進党の前原誠司さんがやったことは政治の問題以前の話で、保守って最後はシンプルに「仲間を裏切ってはならない」という常識を重視しますが、それすらも守れていない。
自民党もかつては、田中角栄さんなど旧経世会(注2)が〈ローマ数字1〉で、大平さんなど宏池会(注1参照)が〈ローマ数字2〉でした。このバランスでやってきたはずでしたが、1990年代後半から一気に下のラインにきている。ここを取り戻したい。公明党は本来〈ローマ数字2〉ですが、政権にすり寄ることで生き残りをかけようと、〈ローマ数字4〉であることに甘んじています。
「暴走政治」をリセットできない希望の党
山下 BSフジの討論番組で先日、希望の党の若狭勝さんと同席したんですよ。若狭さんは民進党から希望の党に移籍する人の選別係で、その基準は安保法制を容認すること、9条を含む憲法改定に反対しないことだと説明していました。小池さんはしきりに「リセット」と言うけれども、選別基準は安倍政権による暴走の最たるものです。それをリセットしないのなら、自民党の補完勢力でしかないじゃないかと指摘すると、若狭さんは「自民党の補完勢力を作るために希望の党を立ち上げたんじゃありません」と色をなして反論していましたが、説得力を感じられなかった。安倍自民党と小池希望の党の間には対立軸がない。
今年1月に共産党が党大会で打ち出した、日本の政治の新しい対決の軸である「自公とその補完勢力」対「野党と市民の共闘」の構図は、現在も同じだと思います。こうした構図に至る背景には、2015年に起きた安保法案廃案を求める市民運動が、野党間にあった壁を壊してくれたことがあります。野党は、初めは「充実した審議」で一致し、次は「(安保法案)成立阻止」で一致し、最後には「内閣不信任案を共同提出」というところまで向かっていった。強行採決された後も、安保法制廃止のうねりが起き、翌16年の参院選での野党共闘につながりました。
今回、その一翼を担っていた民進党が希望の党に吸収され、非常に混乱もしましたが、再び市民のみなさんが声を上げてくれる中で立憲民主党ができた。安保法制廃止と安倍9条改憲反対、立憲主義回復を貫く流れの中から新しい党が生まれ、復元力が発揮されたのは、この2年間の野党と市民の共闘の積み重ねがあったからこそだと思います。
中島 重要なのは、立憲主義を回復するという共通意識です。立憲主義は、「人間は不完全なので、権力も暴走する。だから、それに対して国民の側から縛りをかけないといけない」というもの。同時に、保守の立憲主義は、英国的な立憲主義の考え方と同じなのですが、基本的に国民が権力を縛っていて、この国民の中には死者が含まれていると考える。つまり、過去の多くの蓄積の中でさまざまな経験を積み重ねてきた人たちの思いというのが、現在の政府までを縛っていると。
この死者たちの積み重ねてきた歴史の上に現在の自分というものを捉えているので、英国人は今の人間が特権的に何かを明文化するということに対して慎重ですし、明文化できないと判断してきた。そのため、英国には単一の憲法典として成文化されたものはありません。その都度、マグナ=カルタ(注3)や権利の章典(注4)、慣習法や判例の積み重ねによって判断されてきた。
山下 日本の憲法にも、アジア・太平洋戦争で犠牲となった310万人の日本人と2000万人とも言われるアジアの人々の“死者の叫び”が込められていると思います。
雑誌「暮しの手帖」編集部が約50年前に読者から寄せられた投書を編纂した『戦争中の暮しの記録』という本があると知り、復刻版を取り寄せて読んでみました。そこには突然の召集で一家の大黒柱だった夫を戦地にとられ、幼子とともに残された妻の、「この苦しみを二度とくりかえされないようお願いしたいものです」と結ばれた手記や、焼夷弾の猛火の中を幼い弟と逃げるも、ついに両親には会えなかった姉の、「いつかは両親が訪ねてきてくれると信じていたかった」と記された手記など、人々の日常の暮らしが戦争によってどのように変えられてしまったかが、250頁にわたって記録されていた。
創刊者であり編集長だった花森安治さんは後書きに、「どの文章も、これを書きのこしておきたい、という切な気持ちから出ている。書かずにはいられない、そういう切っぱつまったものが、ほとんどの文章の裏に脈うっている」と書いています。
日本国憲法は、多くの日本人が持っていた「切な気持ち」の中から生まれ、歓迎され、定着し、そして今も力を発揮し続けている。
中島 若狭さんは希望の党設立前、新党の一番のテーゼは一院制にすることだと言っていました。ですが、国家意思を決めるのに時間がかかる二院制を取っているのは、死者からの私たちに対する歯止めなんです。これを簡単に崩壊させることはあってはならないし、安倍さんが議会内の慣習などを平気で破り、閣議決定によって憲法の解釈を変えていくやり方も見すごせない。この姿勢は、死者の経験値をないがしろにすることで、死者に対する冒涜です。
大切なものを“守る”ための改革が必要
中島 そこで<図>の〈の軸、野党共闘について考えてみると、保守である私の考えと共産党の挙げる政策には一致点が非常に多い。最近、面白い論考が『中央公論』10月号に出ていて、世論調査をしたところ、共産党を保守の側だと位置づける若者が多いというんです。これは、国民の生活を守る、地方における零細企業の雇用を守る、グローバル資本主義経済の餌食にならないよう農家の所得を守るなど、共産党が「生活の地盤を守る」ということを非常に強く言っているからだと思います。それが若者にとっては大変保守的なものだとうつる。
私はこの若者の感覚はするどいと思っていて、私自身もここ5年ほど、保守を考えれば考えるほど共産党の主張と近くなっていくという現象を体験しています。「大切なものを守るためには変わらないといけない」というのが基本的に今の共産党の政策だとするならば、保守の哲学者エドマンド・バークが言ってきた「保守するための改革」ということとまったく同じなんです。
共産党はTPP反対であり、日豪EPA(経済連携協定)や日米FTA(自由貿易協定)についても非常に厳しい立場ですので、グローバル資本主義や新自由主義の暴走への対峙というその姿勢も私と一致します。さらに、大企業に課税し、引き下げられすぎた所得税の最高税率を元に戻すべきだとする共産党の姿勢も当然の話で、安倍さんの言う消費税増税より先に手をつけないといけない。内部留保を社会に還元して、最低賃金を上げるという共産党の政策もその通りだとしか言いようがなく、保守的な政策に見える。
山下 アベノミクスは開始から5年弱経つのに、恩恵の実感を持つ人が非常に限られている。これは失敗であったと位置づけられるべきものなのに、自民党は今回の選挙公約にアベノミクスの「加速」を挙げています。グローバル資本主義や新自由主義のもとで、安倍さんのやっている政治は、ごく一握りの富裕層と大企業の利益をさらに増やしているだけにすぎません。「大企業が豊かになれば、やがて富が国民全体にしたたり落ち(=トリクルダウン)、経済が成長する」という説明でしたが、大企業の利益は史上最高を更新し続けているのに、労働者の実質賃金はずっと減り続けている。中間層がやせ細り、貧困層が増大しています。
その最大の原因は、1990年代の雇用破壊だと思います。1999年の労働者派遣法改訂により雇用の規制が緩和され、派遣労働が基本的に自由化されました。2004年には製造業への派遣も解禁された。こうして、どんなに企業が利益をあげても、それが労働者にトリクルダウンしない仕組みが作られ、企業の内部留保が膨らみ続けている。
日本経済全体が健全に成長発展するには、労働者派遣法を抜本改正して規制を元に戻す、中小企業の支援とセットで最低賃金を引き上げるなど、内部留保を社会全体に還元する政策を進める必要があります。破壊された雇用のルールを再構築しなくてはいけない。
中島 その通りだと思います。私は保守の立場から派遣労働に反対してきました。福田恆存という戦後保守を支えてきた文芸批評家の著書『人間・この劇的なるもの』(56年、新潮社)が私の座右の書なのですが、ここでは人間は演劇的な動物であると述べられている。社会の中で人間は役割というものを演じ、その役割を味わいながら生きていると。自分がその場で必要とされ、役割が与えられているということが人間にとっては重要だと彼は言っている。
これはきわめて保守的な人間観だと思います。しかし、派遣労働あるいは非正規労働は、ここを破壊する。とくに派遣労働者は、現場で「派遣さん」と呼ばれ、代替可能性というものを常に突きつけられている。
アベノミクスには“未来”がない
中島 アベノミクスも保守としてどうおかしいのか考えると、企業の内部留保の問題に行きつきます。アベノミクスは一時的な現象であって、未来は不安定だと考えているから、企業は内部留保を貯める。数十年先の安定的なビジョンと政策があってこそ、思い切った投資や企業の活性化というものができるわけで、それがない以上、みんな内向きに縮小していく。中小の零細企業まで政治が支えていくという体制がなければ、経済の循環は生まれません。
アベノミクスは年金をさまざまなマーケットにつぎ込み、結果、そのお金はグローバル企業に流れていっており、これが日本の土台をどんどん潰していっています。こんなことをしている人間に保守を名乗ってほしくない。
山下 派遣労働者は90年には全国で50万人でした。しかし、2008年のリーマンショックの直前には400万人にまで増えていた。「若者が正社員になれないのは、働く意欲と能力が足らないからだ」という自己責任論も盛んに振りまかれましたが、個々の若者の「意欲と能力」の問題にしたのでは、派遣労働のこれほどの急増は説明がつきません。雇用のルールを変えた政治の責任なのは明らかです。
リーマンショック後、派遣切りの嵐が吹き荒れ、08年末から09年初めにかけて派遣切りされた人たちに食事や居場所を提供するために東京・日比谷公園に「年越し派遣村」が開設されました。非正規雇用というのは、単に不安定で低賃金な雇用というだけではなく、いざという時には使い捨てられ、住むところまでなくなるんだということが可視化された。
リーマンショック後、首都のど真ん中に派遣村が出現したのは、日本くらいじゃないでしょうか。それほど雇用と社会保障のセーフティーネットがない。全国各地で派遣切りされた労働者への支援、労働組合を結成するなど闘いに立ち上がった労働者への連帯が広がり、共産党は、「だれもが人間らしく働けるルールある経済社会」をキャッチフレーズに、国会論戦と政策活動に取り組みました。
中島 私は自民党ではなく共産党のほうが、正しい意味での「愛国者」だと思っているんですよね。愛国というものはもともと「民主」という概念とともに生まれてきたものなんですが、少なくとも困っている国民がいたら、ちゃんと助けましょうという連帯意識が含まれている。もちろん排外主義にならないようにリベラルな規制がなければいけないんですが、それがまっとうな愛国。日本共産党という名前の意味は、多分そこにあるんですよね。
山下 はい、「国民の苦難軽減」が立党の精神です。
中島 自己責任という観念についても、ちゃんと乗り越えていかなければいけない。社会的な弱者として位置づけられる人たちが自己責任論に魅了されてしまうケースもあります。維新の橋下さんが典型で、「自分はこんなに頑張って這い上がってきたんだから、この人生を認めてほしい」という承認欲求や実存的アピールが自己責任論になっている。この構造をうまくほぐさないといけない。
批評家の小林秀雄が面白いことを言っていて、伝統がどういう時に現れるかというと、大きな破壊の嵐に見舞われた時だというんです。これを現在に当てはめて考えると、自民党や維新、希望の党の人たちが破壊者であり、それに対して伝統を大切にせよと言うのが共産党と本来の保守ということになる。
山下 競争と分断を特徴とする新自由主義の政治の暴走に抗う中で、私たちと保守の方々との接点が広がり、地域での連帯がむしろ再生されてきたと感じます。
中島 おっしゃる通り、破壊者が出てきた時にようやく、共産党と保守の溝が埋まった。なんだ、同じこと考えていたんじゃないかって(笑)。
脱原発、対米従属からの脱却、安倍9条改悪反対というリアリズム
中島 原発についても同じで、保守の人間は原発なんてそう簡単に推進できない。少なくとも福島における伝統、慣習っていうものの総合体を失っているわけですよね。大量破壊兵器や原発は慎重に避けるべきであるというのが保守の叡智であると思うんです。つまり原発は廃止したほうがいいということになる。ここの考えも現在の共産党と一致していると思いますが、それは、ある種の科学万能主義っていうところから、共産党も変わってきているからだと思います。
山下 原発の焦点は今、再稼働の問題です。希望の党の小池さんは「原発ゼロ」を目指すと言う反面、原子力規制委員会が認めた原発は再稼働させるとも言っている。しかし、規制委員会の規制基準というものが、いかにいい加減なものか。そもそも福島第一原発事故の原因さえ究明されていないんですから。
共産党は、ただちに「原発ゼロ」の政治決断を行ない、再稼働させずに、すべての原発を廃炉のプロセスにのせるべきだと考えています。3・11をきっかけにして2013年から約2年間、国内の原発が一基も動かなくても電力は足りていたわけですから。原発なしでも日本社会はやっていける。本当に「原発ゼロ」を目指すなら、再稼働は必要ありません。
私は希望の党の「排除の論理」も気になっています。先ほど話した若狭さんと同席した討論番組の中で、彼は選別基準を二つ示した後に、「私は検察官出身。嘘を見抜くプロだ」とニタニタしながら言ったんです。ゾッとしました。かりにもこれから同じ党の同志になろうという人に対して発する言葉なのかと。一人ひとりを大事にして、包摂していく政治や社会を作ることができるとは思えません。
これが永住外国人の地方参政権反対という主張にもつながっている。永住外国人は納税もしているわけですから、地方参政権を付与されるのは住民自治の見地からも当たり前です。これに反対する小池さんが、東京オリンピック・パラリンピックを主催することの矛盾も感じます。
中島 そういった主張を聞いていると、どこが「寛容な保守」なのかと思いますよね。
山下 もうすでに「寛容」でないことは見透かされつつありますが。
中島 日米関係については、本来の保守は基本的に、米国の従属に対して主権を取り戻せという立場です。日本の国土の中に実質的な治外法権の場所があるというのは、半独立国であるということ。さらに現状のまま集団的自衛権を認めるとなると、日米安保は完全な不平等条約になります。日本は米国を守らなくていい代わりに、基地を提供し、思いやり予算を提供してきた。
しかし、集団的自衛権が双方向的なものであるということになると、バーターが成り立たなくなる。日本に米国の軍事基地が残るという不平等性が顕在化する。なんで保守派を称する人たちが、喜んで不平等条約を抱きしめているのか。
山下 対米従属の問題を考える時、その「米」の世界戦略が今どのような状況に陥っているのか、検証する必要があると思います。01年のイラク戦争、03年のアフガン戦争は、数十万人の市民の命を奪い、泥沼の内戦を作り出し、「テロ」を世界中に拡散させて、IS(「イスラム国」)のような過激な武装組織が出現する要因となった。世界にこうした状況をもたらした米国の軍事的覇権主義は大破綻しています。その破綻した米国のやり方に追随していくのが安保法制です。そこに未来はあるのでしょうか。
非現実的な自民、希望、維新の主張
中島 自民党や希望の党の人たちは、リアリズムというものが日米安保にあると言うんですけども、これはまったくリアリズムを欠いている。冷静にリアリズムという観点に立つのであれば、これから10年、20年のスパンで考えるべきで、そこを見据えると、日米安保こそヤバい。米国のトランプさんが大統領選の時に、「在日米軍の経済的負担を日本が担わなければ、米軍を撤退させる」と言っていたのは米国人の本音で、さらに今は米国で日本は核武装すべきだという議論やデカップリング論(引き離し論)が非常に強い形で出てきている。
これはなぜかというと、北朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国)が大陸間弾道ミサイル(ICBM)を完成させると、防衛構想がかなり変わるからです。ICBMが飛んでくるとなると、米国も大きな被害を受けるので、北朝鮮の日本への攻撃に対する報復に慎重になる。集団的自衛権は割に合わなくなる。日本をサポートすることによって、ワシントンやニューヨークが核攻撃の対象となり、火の海になるかもしれない。
米国ではどんどん日米の切り離し論が現実味を帯びているんです。そうした時に、日本の安全保障はどうするのかというと、アジア諸国のアライアンス(連携)を強化しながら、アジアの国々となんとか緊張緩和を図っていくいくしかない。これがリアリズムだと思うんです。
山下 北朝鮮の核ミサイル問題をリアリズムで見ると、米朝間で軍事的緊張がエスカレートする中、最も懸念されるのは、当事者たちの意図にも反して偶発的な事態や計算違いによって軍事衝突が起こることです。このことはペリー元米国防長官も、ジェフリー・フェルトマン国連事務次長も指摘しています。これを避けるには米朝が直接対話をするしかない。もし戦争が起こればその時は核戦争ですから。そうなれば、安倍さんが言っている「国民の命と安全を守る」なんてことはできるはずがない。本当に「守る」ということに責任を持つのだったら、米朝の軍事衝突の危険をなくすことです。それには対話しかないんです。
同時に、米国も核保有国なので、北朝鮮に核放棄を説得しようがありません。やはり北朝鮮の問題を根本的に解決しようと思ったら、7月7日に採択された核兵器禁止条約を米国や日本が率先して批准すべきです。
中島 完全に同意します。さらに北朝鮮問題を考える上でも、原発は廃炉に決まっていると思います。ミサイルを撃ち込まれたら終わりですから。なぜそのリアリズムを軽視するのか。「保守」を掲げる人たちは、共産党が最終的には自衛隊廃止と言っているので国防問題について無責任だと言いますが、私はこの議論は違うと思います。共産党は即時の自衛隊廃止は謳っておらず、当面自衛隊というものは必要であるとしている。しかし長期的な理想的ビジョンとしては、それを縮小しながら廃止に持っていくんだと。そういう二段構えなわけです。
これは基本的に保守と同じ発想です。福田恆存さんは、現実的な防衛論を説く自分の超越的な観念には、絶対平和という観念があると言っている。哲学者カントの言う統整的理念と構成的理念で考えるとわかりやすいのですが、前者は、絶対平和、まったく武器のない世界など、おそらく人間が不完全である以上そう簡単には実現しないような理念で、後者は、現実的な政治の場面におけるマニュフェストのような一個一個の理念です。理念というものは二重の存在でなければ成立しない。共産党の理念はこの構造になっている。
山下 安倍さんが変えたがっている憲法9条も、悲惨な戦争への反省から生まれてきた人類社会が進むべき理想ですから、統整的理念ですよね。
中島 9条には、自衛隊の縛りをどう考えるのかという構成的理念も含まれるべきだと私は考えていますが、これを具体化するのは安倍さんのもとでではない。
山下 「安倍政権のもとでの憲法9条改悪に反対する」というのが、野党の党首合意で、市民連合ともそういう一点で野党共闘が再生されているわけです。今は一致する点を大事にし、相手のことをよく知り、相手の立場に立って考える、これが共闘だと思っています。
中島 その姿勢が基本的な民主主義であり保守的態度だと思います。日本が〈ローマ数字2〉の方向に向かってほしいです。
10月6日、東京都・共産党本部にて
写真・まとめ/渡部睦美(編集部)
※『週刊金曜日』10月13日号に加筆修正しました。
(注1)「保守本流」の政治家。吉田茂氏以来の旧自由党の流れを継ぐ自民党派閥の原点・宏池会の会長に1971年に就任。72年に田中角栄首相の外相として日中国交正常化を実現させた。
(注2)現在の平成研究会。田中(角栄)派である竹下登元首相や金丸信元自民党副総裁らが旗揚げした自民党内の派閥。
(注3)国王の権限を制限する内容などが盛り込まれた、立憲主義の出発点となる憲章。1215年制定。
(注4)1689年、名誉革命直後に制定された、王権の制限、議会の権限などを定めた文書。
http://www.kinyobi.co.jp/kinyobinews/2017/10/14/news-7/
緊急対談 衆院選で問われる日本政治の新しい対決軸、リベラル陣営のリアリズムとは(山下芳生×中島岳志)
2017年10月14日
衆院選の投票日が刻々と迫る。「安倍vs.小池」の対決構図が作られる中で、従来の「保守vs.革新」という枠組みは崩壊した。リベラル陣営は「野党共闘」を進め、日本の政治の対決軸は新しい構図となったが、保守と共産党は主張を同じくできるのか。リベラル陣営の一翼を担う共産党に、保守思想に基づく本来の保守を唱える中島岳志『週刊金曜日』編集委員が、とことん意見を付き合わせた。
中島 岳志
なかじま たけし・東京工業大学リベラルアーツ研究教育院教授、『週刊金曜日』編集委員。1975年、大阪府生まれ。ヒンディー語専攻。インド政治や近代日本の思想史を研究。著書に『中村屋のボース インド独立運動と近代日本のアジア主義』(2005年、白水社)、『「リベラル保守」宣言』(13年、新潮社)、『アジア主義 その先の近代へ』(14年、潮出版社)、『親鸞と日本主義』(17年、新潮選書)など。
中島 私はこれまで、保守思想に基づいての思考や議論をしてきましたが、今の自民党をはじめ日本で「保守」を掲げる人たちには強い疑念を持っています。これは従来の「保守vs.革新」という枠組みが崩れているからで、衆院選を前に、その枠組みを見直す必要があると思っています。
保守の立場から自分自身の話をすると、私は今まで共産党に投票したことはありません。けれど、自民党を選択する可能性はどんどんなくなっていて、このところは民進党をさまざまな面からサポートしてきました。この中でここ数年間、面白い現象が起きています。新聞社などがやっている、自分の考えと各政党のマニフェストとの相性診断をしてみると、どれをやっても結果は共産党になるんです。保守の論理を追求すると、内政面では共産党の政策と近くなる。
山下 芳生
やました よしき・共産党副委員長。1960年、香川県生まれ。大学卒業後、大阪かわち市民生協に勤務。95年、参院大阪選挙区に35歳で初当選。2001年には「党リストラ反対・雇用を守る闘争本部事務局長」となり、全国の職場・地域を巡る。07年に6年ぶりに参院議員に再選し、13年に3選。14年党書記局長、16年副委員長に就任した。モットーは「あったかい人間の連帯を国の政治に」。
山下 今のお話で思い出したのは、2015年10月の宮城県議選で、“保守の地盤”といわれた大崎市選挙区において初めて共産党の県会議員が当選した時のことです。勝利できたのは、JA(農業協同組合)の県中央会の会長やその地域の元首長、議会の議長など保守の方々が本気で応援してくれたからです。
この年の9月に安倍政権は安保法案を強行採決し、さらにTPP(環太平洋連携協定)へとまっしぐらに向かおうとしていて、みなこれに怒っていた。中島さんが政党との相性診断で共産党に行きつくというのも特別なことではなく、安倍政権の暴走によって、保守を自任し、地域の絆を大切にしてきた方々がさまざまなところで立ち上がっている。
本来の保守から見ると安倍首相は「デタラメ」
中島 安保法制に対して本来の保守が最も怒っているのは、その決め方です。保守は、懐疑主義的な人間観を持っている。それは、理性は不完全で万能でないという考えからくるもので、「多くの庶民たちによって形成されてきた良識や経験値を大切にして、徐々に変えていこう」という考えが保守思想の王道だからです。
それゆえに保守の言う民主主義とは、単純な多数決ではない。少数者にも理があるので意見を汲み取りながら合意形成をして、前に進めていくというもので、大平正芳さん(注1)などの保守政治家が実践してきたことです。大平さんは共産党とも社会党ともさまざまな議論をしながら合意形成をしていた。それが政治における保守の人間の肌感覚、人間観なんです。
しかし、安倍晋三首相には決定的にそれが欠如している。国会というものを非常に軽視し、議論というよりは単に時間をクリアすれば安保法案は通るんだという姿勢を取り続けた。これに対して保守は、「あいつはデタラメだ」と感じているし、違和感を持っています。自民党の重鎮の方々にも、同じ感覚を持っている人が多くいると思います。
山下 私は大阪に住んでいますが、「日本維新の会」の法律顧問の橋下徹さんもその典型かもしれないですね。選挙で多数を得れば、後は何をやっても許されるんだという考えに立っていて、民主主義とは相対する。
選挙で決まった力関係で何をやってもいいというのであれば、議会はいらないわけです。安倍さんも、自分は選挙で選ばれ、国会で首相に指名されたんだから、文句言うなというやり方。7月の東京都議選の応援演説の時に市民に向かって「こんな人たち」という発言をしたことにも象徴されている。これは非常に危ないことです。
中島 それで現在の政治状況を把握するために、<図>を見て考えていきたいのですが、縦軸はお金、つまり再配分の問題です。税金を集めて、それをどこに使うかという非常に強い権限を政治は持つわけですが、下に行けば行くほど小さな政府になります。つまりリスクの個人化が図られ、自己責任にされてしまう社会。上に行けば行くほど、それを社会みんなで支え合うというセーフティーネット強化型の大きな政府になる。
横軸はリベラルとパターナルという価値観の問題です。リベラルは、基本的に個人の内的な価値の問題について権力は土足で踏み込まないという原則を持つ。これは寛容ということです。その反対語は、保守ではなくてパターナルで、価値を押しつける権威主義や父権制といった観念のこと。これは夫婦別姓、LGBT(性的少数者)の権利、歴史認識の問題などに現れやすい。
明らかに今の自民党は〈ローマ数字4〉の一番下のラインに位置すると思います。日本は、租税負担率や全GDP(国内総生産)に占める国家歳出の割合、公務員数などあらゆる指標がOECD(経済協力開発機構)諸国最低レベルとなっていて、もはや自己責任がいきすぎている社会です。
小池百合子さんも〈ローマ数字4〉に属します。彼女はかつて夫婦別姓に大反対しており(編集部注・「希望の党」は「寛容な保守」をアピールするために選択的夫婦別姓の導入に取り組んでいくとしている)、完全に思想的にはパターナル。極右的で歴史認識もひどい有様です。
山下 永住外国人の地方参政権反対を希望の党の公認候補になるための踏み絵にもしていましたよね。
中島 そうなんです。小池さんはリスクの個人化や規制緩和を促進してきた。生活保護の受給に厳しい発言を行ない、自助を強調してきた。それなので、現在「安倍vs.小池」と言われていますが、これは〈ローマ数字4〉という狭いコップの中の争いでしかありません。パターナルかつリスクの個人化が極まった〈ローマ数字4〉の一番下のラインに位置する日本を〈ローマ数字2〉の方向に向かわせるためには、〈ローマ数字2〉の軸をしっかり作ること、つまり野党共闘ということになる。
ただ、〈ローマ数字2〉は部分的には〈ローマ数字1〉や〈ローマ数字3〉と連携ができるかもしれないけれども、(ローマ数字4)と組むことだけは絶対にしてはいけない。しかし民進党は小池都知事を代表とする希望の党と組んでしまったので、わけがわからないことになっています。民進党の前原誠司さんがやったことは政治の問題以前の話で、保守って最後はシンプルに「仲間を裏切ってはならない」という常識を重視しますが、それすらも守れていない。
自民党もかつては、田中角栄さんなど旧経世会(注2)が〈ローマ数字1〉で、大平さんなど宏池会(注1参照)が〈ローマ数字2〉でした。このバランスでやってきたはずでしたが、1990年代後半から一気に下のラインにきている。ここを取り戻したい。公明党は本来〈ローマ数字2〉ですが、政権にすり寄ることで生き残りをかけようと、〈ローマ数字4〉であることに甘んじています。
「暴走政治」をリセットできない希望の党
山下 BSフジの討論番組で先日、希望の党の若狭勝さんと同席したんですよ。若狭さんは民進党から希望の党に移籍する人の選別係で、その基準は安保法制を容認すること、9条を含む憲法改定に反対しないことだと説明していました。小池さんはしきりに「リセット」と言うけれども、選別基準は安倍政権による暴走の最たるものです。それをリセットしないのなら、自民党の補完勢力でしかないじゃないかと指摘すると、若狭さんは「自民党の補完勢力を作るために希望の党を立ち上げたんじゃありません」と色をなして反論していましたが、説得力を感じられなかった。安倍自民党と小池希望の党の間には対立軸がない。
今年1月に共産党が党大会で打ち出した、日本の政治の新しい対決の軸である「自公とその補完勢力」対「野党と市民の共闘」の構図は、現在も同じだと思います。こうした構図に至る背景には、2015年に起きた安保法案廃案を求める市民運動が、野党間にあった壁を壊してくれたことがあります。野党は、初めは「充実した審議」で一致し、次は「(安保法案)成立阻止」で一致し、最後には「内閣不信任案を共同提出」というところまで向かっていった。強行採決された後も、安保法制廃止のうねりが起き、翌16年の参院選での野党共闘につながりました。
今回、その一翼を担っていた民進党が希望の党に吸収され、非常に混乱もしましたが、再び市民のみなさんが声を上げてくれる中で立憲民主党ができた。安保法制廃止と安倍9条改憲反対、立憲主義回復を貫く流れの中から新しい党が生まれ、復元力が発揮されたのは、この2年間の野党と市民の共闘の積み重ねがあったからこそだと思います。
中島 重要なのは、立憲主義を回復するという共通意識です。立憲主義は、「人間は不完全なので、権力も暴走する。だから、それに対して国民の側から縛りをかけないといけない」というもの。同時に、保守の立憲主義は、英国的な立憲主義の考え方と同じなのですが、基本的に国民が権力を縛っていて、この国民の中には死者が含まれていると考える。つまり、過去の多くの蓄積の中でさまざまな経験を積み重ねてきた人たちの思いというのが、現在の政府までを縛っていると。
この死者たちの積み重ねてきた歴史の上に現在の自分というものを捉えているので、英国人は今の人間が特権的に何かを明文化するということに対して慎重ですし、明文化できないと判断してきた。そのため、英国には単一の憲法典として成文化されたものはありません。その都度、マグナ=カルタ(注3)や権利の章典(注4)、慣習法や判例の積み重ねによって判断されてきた。
山下 日本の憲法にも、アジア・太平洋戦争で犠牲となった310万人の日本人と2000万人とも言われるアジアの人々の“死者の叫び”が込められていると思います。
雑誌「暮しの手帖」編集部が約50年前に読者から寄せられた投書を編纂した『戦争中の暮しの記録』という本があると知り、復刻版を取り寄せて読んでみました。そこには突然の召集で一家の大黒柱だった夫を戦地にとられ、幼子とともに残された妻の、「この苦しみを二度とくりかえされないようお願いしたいものです」と結ばれた手記や、焼夷弾の猛火の中を幼い弟と逃げるも、ついに両親には会えなかった姉の、「いつかは両親が訪ねてきてくれると信じていたかった」と記された手記など、人々の日常の暮らしが戦争によってどのように変えられてしまったかが、250頁にわたって記録されていた。
創刊者であり編集長だった花森安治さんは後書きに、「どの文章も、これを書きのこしておきたい、という切な気持ちから出ている。書かずにはいられない、そういう切っぱつまったものが、ほとんどの文章の裏に脈うっている」と書いています。
日本国憲法は、多くの日本人が持っていた「切な気持ち」の中から生まれ、歓迎され、定着し、そして今も力を発揮し続けている。
中島 若狭さんは希望の党設立前、新党の一番のテーゼは一院制にすることだと言っていました。ですが、国家意思を決めるのに時間がかかる二院制を取っているのは、死者からの私たちに対する歯止めなんです。これを簡単に崩壊させることはあってはならないし、安倍さんが議会内の慣習などを平気で破り、閣議決定によって憲法の解釈を変えていくやり方も見すごせない。この姿勢は、死者の経験値をないがしろにすることで、死者に対する冒涜です。
大切なものを“守る”ための改革が必要
中島 そこで<図>の〈の軸、野党共闘について考えてみると、保守である私の考えと共産党の挙げる政策には一致点が非常に多い。最近、面白い論考が『中央公論』10月号に出ていて、世論調査をしたところ、共産党を保守の側だと位置づける若者が多いというんです。これは、国民の生活を守る、地方における零細企業の雇用を守る、グローバル資本主義経済の餌食にならないよう農家の所得を守るなど、共産党が「生活の地盤を守る」ということを非常に強く言っているからだと思います。それが若者にとっては大変保守的なものだとうつる。
私はこの若者の感覚はするどいと思っていて、私自身もここ5年ほど、保守を考えれば考えるほど共産党の主張と近くなっていくという現象を体験しています。「大切なものを守るためには変わらないといけない」というのが基本的に今の共産党の政策だとするならば、保守の哲学者エドマンド・バークが言ってきた「保守するための改革」ということとまったく同じなんです。
共産党はTPP反対であり、日豪EPA(経済連携協定)や日米FTA(自由貿易協定)についても非常に厳しい立場ですので、グローバル資本主義や新自由主義の暴走への対峙というその姿勢も私と一致します。さらに、大企業に課税し、引き下げられすぎた所得税の最高税率を元に戻すべきだとする共産党の姿勢も当然の話で、安倍さんの言う消費税増税より先に手をつけないといけない。内部留保を社会に還元して、最低賃金を上げるという共産党の政策もその通りだとしか言いようがなく、保守的な政策に見える。
山下 アベノミクスは開始から5年弱経つのに、恩恵の実感を持つ人が非常に限られている。これは失敗であったと位置づけられるべきものなのに、自民党は今回の選挙公約にアベノミクスの「加速」を挙げています。グローバル資本主義や新自由主義のもとで、安倍さんのやっている政治は、ごく一握りの富裕層と大企業の利益をさらに増やしているだけにすぎません。「大企業が豊かになれば、やがて富が国民全体にしたたり落ち(=トリクルダウン)、経済が成長する」という説明でしたが、大企業の利益は史上最高を更新し続けているのに、労働者の実質賃金はずっと減り続けている。中間層がやせ細り、貧困層が増大しています。
その最大の原因は、1990年代の雇用破壊だと思います。1999年の労働者派遣法改訂により雇用の規制が緩和され、派遣労働が基本的に自由化されました。2004年には製造業への派遣も解禁された。こうして、どんなに企業が利益をあげても、それが労働者にトリクルダウンしない仕組みが作られ、企業の内部留保が膨らみ続けている。
日本経済全体が健全に成長発展するには、労働者派遣法を抜本改正して規制を元に戻す、中小企業の支援とセットで最低賃金を引き上げるなど、内部留保を社会全体に還元する政策を進める必要があります。破壊された雇用のルールを再構築しなくてはいけない。
中島 その通りだと思います。私は保守の立場から派遣労働に反対してきました。福田恆存という戦後保守を支えてきた文芸批評家の著書『人間・この劇的なるもの』(56年、新潮社)が私の座右の書なのですが、ここでは人間は演劇的な動物であると述べられている。社会の中で人間は役割というものを演じ、その役割を味わいながら生きていると。自分がその場で必要とされ、役割が与えられているということが人間にとっては重要だと彼は言っている。
これはきわめて保守的な人間観だと思います。しかし、派遣労働あるいは非正規労働は、ここを破壊する。とくに派遣労働者は、現場で「派遣さん」と呼ばれ、代替可能性というものを常に突きつけられている。
アベノミクスには“未来”がない
中島 アベノミクスも保守としてどうおかしいのか考えると、企業の内部留保の問題に行きつきます。アベノミクスは一時的な現象であって、未来は不安定だと考えているから、企業は内部留保を貯める。数十年先の安定的なビジョンと政策があってこそ、思い切った投資や企業の活性化というものができるわけで、それがない以上、みんな内向きに縮小していく。中小の零細企業まで政治が支えていくという体制がなければ、経済の循環は生まれません。
アベノミクスは年金をさまざまなマーケットにつぎ込み、結果、そのお金はグローバル企業に流れていっており、これが日本の土台をどんどん潰していっています。こんなことをしている人間に保守を名乗ってほしくない。
山下 派遣労働者は90年には全国で50万人でした。しかし、2008年のリーマンショックの直前には400万人にまで増えていた。「若者が正社員になれないのは、働く意欲と能力が足らないからだ」という自己責任論も盛んに振りまかれましたが、個々の若者の「意欲と能力」の問題にしたのでは、派遣労働のこれほどの急増は説明がつきません。雇用のルールを変えた政治の責任なのは明らかです。
リーマンショック後、派遣切りの嵐が吹き荒れ、08年末から09年初めにかけて派遣切りされた人たちに食事や居場所を提供するために東京・日比谷公園に「年越し派遣村」が開設されました。非正規雇用というのは、単に不安定で低賃金な雇用というだけではなく、いざという時には使い捨てられ、住むところまでなくなるんだということが可視化された。
リーマンショック後、首都のど真ん中に派遣村が出現したのは、日本くらいじゃないでしょうか。それほど雇用と社会保障のセーフティーネットがない。全国各地で派遣切りされた労働者への支援、労働組合を結成するなど闘いに立ち上がった労働者への連帯が広がり、共産党は、「だれもが人間らしく働けるルールある経済社会」をキャッチフレーズに、国会論戦と政策活動に取り組みました。
中島 私は自民党ではなく共産党のほうが、正しい意味での「愛国者」だと思っているんですよね。愛国というものはもともと「民主」という概念とともに生まれてきたものなんですが、少なくとも困っている国民がいたら、ちゃんと助けましょうという連帯意識が含まれている。もちろん排外主義にならないようにリベラルな規制がなければいけないんですが、それがまっとうな愛国。日本共産党という名前の意味は、多分そこにあるんですよね。
山下 はい、「国民の苦難軽減」が立党の精神です。
中島 自己責任という観念についても、ちゃんと乗り越えていかなければいけない。社会的な弱者として位置づけられる人たちが自己責任論に魅了されてしまうケースもあります。維新の橋下さんが典型で、「自分はこんなに頑張って這い上がってきたんだから、この人生を認めてほしい」という承認欲求や実存的アピールが自己責任論になっている。この構造をうまくほぐさないといけない。
批評家の小林秀雄が面白いことを言っていて、伝統がどういう時に現れるかというと、大きな破壊の嵐に見舞われた時だというんです。これを現在に当てはめて考えると、自民党や維新、希望の党の人たちが破壊者であり、それに対して伝統を大切にせよと言うのが共産党と本来の保守ということになる。
山下 競争と分断を特徴とする新自由主義の政治の暴走に抗う中で、私たちと保守の方々との接点が広がり、地域での連帯がむしろ再生されてきたと感じます。
中島 おっしゃる通り、破壊者が出てきた時にようやく、共産党と保守の溝が埋まった。なんだ、同じこと考えていたんじゃないかって(笑)。
脱原発、対米従属からの脱却、安倍9条改悪反対というリアリズム
中島 原発についても同じで、保守の人間は原発なんてそう簡単に推進できない。少なくとも福島における伝統、慣習っていうものの総合体を失っているわけですよね。大量破壊兵器や原発は慎重に避けるべきであるというのが保守の叡智であると思うんです。つまり原発は廃止したほうがいいということになる。ここの考えも現在の共産党と一致していると思いますが、それは、ある種の科学万能主義っていうところから、共産党も変わってきているからだと思います。
山下 原発の焦点は今、再稼働の問題です。希望の党の小池さんは「原発ゼロ」を目指すと言う反面、原子力規制委員会が認めた原発は再稼働させるとも言っている。しかし、規制委員会の規制基準というものが、いかにいい加減なものか。そもそも福島第一原発事故の原因さえ究明されていないんですから。
共産党は、ただちに「原発ゼロ」の政治決断を行ない、再稼働させずに、すべての原発を廃炉のプロセスにのせるべきだと考えています。3・11をきっかけにして2013年から約2年間、国内の原発が一基も動かなくても電力は足りていたわけですから。原発なしでも日本社会はやっていける。本当に「原発ゼロ」を目指すなら、再稼働は必要ありません。
私は希望の党の「排除の論理」も気になっています。先ほど話した若狭さんと同席した討論番組の中で、彼は選別基準を二つ示した後に、「私は検察官出身。嘘を見抜くプロだ」とニタニタしながら言ったんです。ゾッとしました。かりにもこれから同じ党の同志になろうという人に対して発する言葉なのかと。一人ひとりを大事にして、包摂していく政治や社会を作ることができるとは思えません。
これが永住外国人の地方参政権反対という主張にもつながっている。永住外国人は納税もしているわけですから、地方参政権を付与されるのは住民自治の見地からも当たり前です。これに反対する小池さんが、東京オリンピック・パラリンピックを主催することの矛盾も感じます。
中島 そういった主張を聞いていると、どこが「寛容な保守」なのかと思いますよね。
山下 もうすでに「寛容」でないことは見透かされつつありますが。
中島 日米関係については、本来の保守は基本的に、米国の従属に対して主権を取り戻せという立場です。日本の国土の中に実質的な治外法権の場所があるというのは、半独立国であるということ。さらに現状のまま集団的自衛権を認めるとなると、日米安保は完全な不平等条約になります。日本は米国を守らなくていい代わりに、基地を提供し、思いやり予算を提供してきた。
しかし、集団的自衛権が双方向的なものであるということになると、バーターが成り立たなくなる。日本に米国の軍事基地が残るという不平等性が顕在化する。なんで保守派を称する人たちが、喜んで不平等条約を抱きしめているのか。
山下 対米従属の問題を考える時、その「米」の世界戦略が今どのような状況に陥っているのか、検証する必要があると思います。01年のイラク戦争、03年のアフガン戦争は、数十万人の市民の命を奪い、泥沼の内戦を作り出し、「テロ」を世界中に拡散させて、IS(「イスラム国」)のような過激な武装組織が出現する要因となった。世界にこうした状況をもたらした米国の軍事的覇権主義は大破綻しています。その破綻した米国のやり方に追随していくのが安保法制です。そこに未来はあるのでしょうか。
非現実的な自民、希望、維新の主張
中島 自民党や希望の党の人たちは、リアリズムというものが日米安保にあると言うんですけども、これはまったくリアリズムを欠いている。冷静にリアリズムという観点に立つのであれば、これから10年、20年のスパンで考えるべきで、そこを見据えると、日米安保こそヤバい。米国のトランプさんが大統領選の時に、「在日米軍の経済的負担を日本が担わなければ、米軍を撤退させる」と言っていたのは米国人の本音で、さらに今は米国で日本は核武装すべきだという議論やデカップリング論(引き離し論)が非常に強い形で出てきている。
これはなぜかというと、北朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国)が大陸間弾道ミサイル(ICBM)を完成させると、防衛構想がかなり変わるからです。ICBMが飛んでくるとなると、米国も大きな被害を受けるので、北朝鮮の日本への攻撃に対する報復に慎重になる。集団的自衛権は割に合わなくなる。日本をサポートすることによって、ワシントンやニューヨークが核攻撃の対象となり、火の海になるかもしれない。
米国ではどんどん日米の切り離し論が現実味を帯びているんです。そうした時に、日本の安全保障はどうするのかというと、アジア諸国のアライアンス(連携)を強化しながら、アジアの国々となんとか緊張緩和を図っていくいくしかない。これがリアリズムだと思うんです。
山下 北朝鮮の核ミサイル問題をリアリズムで見ると、米朝間で軍事的緊張がエスカレートする中、最も懸念されるのは、当事者たちの意図にも反して偶発的な事態や計算違いによって軍事衝突が起こることです。このことはペリー元米国防長官も、ジェフリー・フェルトマン国連事務次長も指摘しています。これを避けるには米朝が直接対話をするしかない。もし戦争が起こればその時は核戦争ですから。そうなれば、安倍さんが言っている「国民の命と安全を守る」なんてことはできるはずがない。本当に「守る」ということに責任を持つのだったら、米朝の軍事衝突の危険をなくすことです。それには対話しかないんです。
同時に、米国も核保有国なので、北朝鮮に核放棄を説得しようがありません。やはり北朝鮮の問題を根本的に解決しようと思ったら、7月7日に採択された核兵器禁止条約を米国や日本が率先して批准すべきです。
中島 完全に同意します。さらに北朝鮮問題を考える上でも、原発は廃炉に決まっていると思います。ミサイルを撃ち込まれたら終わりですから。なぜそのリアリズムを軽視するのか。「保守」を掲げる人たちは、共産党が最終的には自衛隊廃止と言っているので国防問題について無責任だと言いますが、私はこの議論は違うと思います。共産党は即時の自衛隊廃止は謳っておらず、当面自衛隊というものは必要であるとしている。しかし長期的な理想的ビジョンとしては、それを縮小しながら廃止に持っていくんだと。そういう二段構えなわけです。
これは基本的に保守と同じ発想です。福田恆存さんは、現実的な防衛論を説く自分の超越的な観念には、絶対平和という観念があると言っている。哲学者カントの言う統整的理念と構成的理念で考えるとわかりやすいのですが、前者は、絶対平和、まったく武器のない世界など、おそらく人間が不完全である以上そう簡単には実現しないような理念で、後者は、現実的な政治の場面におけるマニュフェストのような一個一個の理念です。理念というものは二重の存在でなければ成立しない。共産党の理念はこの構造になっている。
山下 安倍さんが変えたがっている憲法9条も、悲惨な戦争への反省から生まれてきた人類社会が進むべき理想ですから、統整的理念ですよね。
中島 9条には、自衛隊の縛りをどう考えるのかという構成的理念も含まれるべきだと私は考えていますが、これを具体化するのは安倍さんのもとでではない。
山下 「安倍政権のもとでの憲法9条改悪に反対する」というのが、野党の党首合意で、市民連合ともそういう一点で野党共闘が再生されているわけです。今は一致する点を大事にし、相手のことをよく知り、相手の立場に立って考える、これが共闘だと思っています。
中島 その姿勢が基本的な民主主義であり保守的態度だと思います。日本が〈ローマ数字2〉の方向に向かってほしいです。
10月6日、東京都・共産党本部にて
写真・まとめ/渡部睦美(編集部)
※『週刊金曜日』10月13日号に加筆修正しました。
(注1)「保守本流」の政治家。吉田茂氏以来の旧自由党の流れを継ぐ自民党派閥の原点・宏池会の会長に1971年に就任。72年に田中角栄首相の外相として日中国交正常化を実現させた。
(注2)現在の平成研究会。田中(角栄)派である竹下登元首相や金丸信元自民党副総裁らが旗揚げした自民党内の派閥。
(注3)国王の権限を制限する内容などが盛り込まれた、立憲主義の出発点となる憲章。1215年制定。
(注4)1689年、名誉革命直後に制定された、王権の制限、議会の権限などを定めた文書。
登録:
投稿 (Atom)
